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チャイを求めてインド縦断 旅の記録

2023年1月から3月までの約2ヶ月間、僕はチャイにまつわる文化を自身の目で直接見たく、インド縦断の旅にでていました。
理由はシンプル。チャイの味や文化が大好きで、現地ではエリアによってどんな違いがあるのか知りたかったから。

インドの映画やYouTubeなどのショート動画で回ってくるインドを見ていると様々な淹れ方や味が登場しており、ひとつひとつの成り立ちを現地の植生や文化を踏まえ、紐解きながら自身の体で感じてみたかったのです。


南インドコチから始まり、電車とバスを使って移動。北はデリーを通り過ぎてマナリまで、総移動距離はなんと2,970kmもありました(笑)

特別ここのチャイが!みたいな目的は特に決めておらず、ほとんどのお店がそのエリアでの聞き込みとインドの人特有の温かくウェルカムな雰囲気によって決まっていきました。偶発的で日記的な書き込みです。

まずはお茶やスパイスの有名な生産地に足を運んでみることに決め、南インド、ケララ州のクミリーへと旅立つことに。

『スパイスが有名な産地なら絶対美味しいチャイもあるはず!』

ふんわりとスケジュールと滞在先を決め、事前にアポイントなどはそこまで取らず、とにかく動いてみる戦法です。チャイのためなら自然と体が動きました。

始まりの街 Kumily クミリー にて


クミリーは南インド、ケララ州に属する小さな山の中にある街です。標高が高く、ここではお茶やスパイス、コーヒーなどの生産が有名で人口の約8割の人々が農業を生業にしているそう。

歩いているとみんな気さくに「where are u from?」「what's your name?」と話しかけくれます。穏やかで暖かい街、優しいな。


早速街角ではチャイを頼む人々の姿が

ついて早々にチャイをいただいたのですが早速新しい発見が。
これまで僕が飲んでいたチャイとは、根本的に作り方が違いました。


濃ゆく煮出した紅茶を
沸騰して熱々の牛乳を後入れ
お砂糖は先にコップの中に。攪拌してしっかり混ぜます。
最後に濃ゆい紅茶を上から注ぎ完成。

このチャイにはスパイスが入っておらず、すっきりと飲みやすい。
紅茶の渋みや香りも攪拌してできる泡に混ざっているため、泡が弾けて鼻に香りがスッと入ってきます。

というのも、インドでチャイにスパイスは基本的に使われていないものが多く、プレーンなものが一般的に好まれ飲まれています。
これには諸説ありますが、スパイス自体がそもそも輸出目的の食品であることから、高価なものを使う=もてなしの意 であったり
お店の宣伝文句として「うちではこんなチャイ出してまっせ!」な差別化として使っていたり。

日本人が淹れるものの方がどちらかというとスパイスはきつめの印象です。南インドの人は基本的にカレーにはスパイスをガンガン使うのに対して甘い物にはあまり使いたがらない印象でした。




茶葉の工場に関する書き込み


南インドの高地ではお茶の葉やコーヒーの生産、スパイスなどが盛んに行われています。

中でもチャイ専用の紅茶もこの辺りでは多く作られているため、ぜひ一度農園に訪れてみたいと思っていましたのでこれを機に行ってみることに。
クミリーからバスに乗り、揺られること40分。早速茶畑が見えてきました。

見渡す限り、山の一面全て茶畑です。

景色を見て思わずびっくりしました。

  • 茶樹のひとつひとつが不思議な丸のカタチをしている

  • 等間隔で植っている謎の大木も見慣れないものです


日本の茶畑だと霜が降りないように備わっている防霜ファン(ぼうそう)がこんな感じに見えますが、にしても量が多いです。笑

これは Shade tree といい日の当たりが強いこのエリアで茶樹を守るために植えているそうです。その木にはブラックペッパーのつるが巻きついており、一緒に育てるそうです。面白い!!


茶樹のカタチについてはというと、日本の茶畑は機械で効率よく収穫できるように綺麗に縦長になるように整備されていたりしますが、この茶畑は大部分の収穫を手作業で行っており、このような形をしているそうです。

日本の畑の風景はこんな感じ(宮崎県 宮崎茶房 さん)
奥に見えるのが防霜ファンです。

日本も今のような便利な機械が開発されるより前はインドのような畑のカタチが主だったと聞きます。インドが手作業で収穫する方法が今も主流な理由は日本に比べてお茶の消費が多い、労働人口が多い、などから会社側も多くの人を雇用できるという状態にあることが読み取れます(その代わり低賃金


目的地の工場はこちらの Connemara tea factory
敷地の周りには広々とした茶畑が!

こちらでは工場案内ツアーをやってますので誰でも気軽にアポを取れば見学させて貰えます。(料金いくらか後ほど調べます…!!)

畑から工場まで順番に案内しながらガイドのStebinという僕と同い年の青年が英語でお茶が出来上がるまでのプロセスを説明してくれました。

CTC製法の茶葉はどうやってできるのか、解説されています。

少し専門的な話になるのですが、紅茶にはオーソドックス製法とCTC製法と呼ばれる二種類の製造方法があります。チャイ用の茶葉を作る方法かそれ以外か、みたいな分類分けですかね。

オーソドックスな製法は茶葉の形状がしっかりあるのに対して、チャイ用の茶葉は丸くコロコロした細かい砂のようなカタチです。

インドは紅茶をとても多く飲む国でも知られているのですが、インド国内で生産されている紅茶の95%はチャイ用だと言われており、南インドではその内の約80%もが作られています。
そのため、工場の規模はかなり大きな会社が多いです。
行く道行く道、見渡す限りの山が丸っとお茶畑、面白いです本当に。


工場案内を担当してくれた同い年のStebin 流暢な英語で細かく説明してくれます。
今回の旅で出会えてよかった人のひとりです!!


一通り案内が終わるとお茶の試飲もさせてくれます。畑で飲むお茶が一番美味しいね。


具体的なプロセスなどについては別記事で載せますね!
それでは一旦街へ戻ります。。




早朝のチャイ職人


こちらはバスターミナルの目の前にあるお店で早朝4:00から7:00までの時間にしかオープンしていないお店です。様々な労働者の方々がこのバスターミナルを利用しており、この場所からそれぞれの職場に向かう乗り合いトラックへと乗り換えます。

インドでチャイは朝昼晩と四六時中飲むものなのですが、みんな出勤前にチャイを飲む。日本では見かけない独特な雰囲気ですね。

夜明けとともに人が少なくなって街が動きだします

駆けつけ一杯、寒い朝に染みる味と温もりです。
お父さんの所作に痺れます。かっこいい。
州の境目にあるこの街は人の往来が激しいです。大きなトラックも沢山。

インドの牛乳事情、購入方法

牛乳を調達する方法も日本とはかなり変わっていて、インドでは量にもよりますが、欲しい分だけ計り売りで購入するのが一般的だそうです。
(もちろんパックに入ってる物もあります!)

初見じゃ絶対辿り着けないお店の佇まい、この奥です。難しすぎる笑
欲しい分だけ購入、自分で容器は持ってきます。
僕は飲み干したお水のペットボトルに入れてもらいました。
1リットルあたり52ルピー(80円くらいです、安い!)
これは営業時間短すぎる。1日で2時間しか空いていません(笑)

ここで購入できる牛乳はフレッシュなもので品質が良いのでみんな早起きして購入しにきます。

市販の牛乳でビニール製の袋に入っているものがあり、そちらは四六時中購入できます(ただしフレッシュじゃないから量り売りタイプしか購入しないとゲストハウスのお母さんは言ってました。)

ゲストハウスのお母さん、すっごく優しいお方で様々な現地の料理も教えてくださいました😢

カルダモン農家さんにて

クミリーではカルダモンの農園さんにも訪問させていただきました。

カルダモンの収穫をしているところ

こんな感じで生のカルダモンを険しい山の中で収穫しています。僕も一緒になって収穫のお手伝いなどをさせていただきましたが、本当に大変な作業でした。斜面は急だし、崩れやすいし、危ない動物と遭遇する危険性もある。

木の根元に実ができるのですが摘菜時期は粒によって違うので、作業者が目で見て選定しければならないので当然手作業です。機械で収穫しているところは他の農家さんでも見られませんでした。

一粒づつサイズを見極め、手で収穫します。
小さすぎてもダメなので一気にまとめて刈り取ったりはできません…

収穫した後は乾燥、精製作業(カルダモンに付着している花びらや枝を取り除くこと)サイズ分け、オークションで取引されたのちに一般市場へと出回ります。
この辺のお話はチャイの話とは逸れるのでまた別の記事にて更新します。

ただ、こうして細かく品質によって分類分けされたカルダモンは普段日本で使っているものと比べ、香りは芳醇、少しの甘味と後味にしっかりと残る清涼感や苦味、それはもう格別なものでした。

長年カルダモンを使ってきたからわかる品質の良さは確かなものでとても感動しました。チャイに使われるスパイス一つをとっても、このように複雑な工程が人の手によって細かくこなされ、世に出回っていることを目の当たりにして、そりゃあ高値で取引されるわなと。納得でした。。

同時に今回の旅で途中に見てきたお茶や紡績産業などとも重なりますが、この状況が成り立つのは”低賃金で多くの作業者がいる”が条件で、まだまだ先の話ですが、働き手が減り始めれば緩やかに失われていく文化だろうと思います。日本や台湾のお茶産業がまさにそれです。。。

手紡ぎ手織りの布、手摘みのお茶、日本でこれらの産業が今現在どんな状況に置かれているのかを踏まえるとその感謝やありがたみは絶対に忘れてはいけませんし、一人の淹れ手として伝えるべき義務がありますね。

感謝の心を忘れてはいけないなと思わせていただけた体験でした。

この街にはトータルで約1ヶ月ほど滞在し、チャイに関することだけではなく、郷土料理や現地の友達、スパイスやチャイ用の茶葉などがどのように作られているかを知ることができました。

海沿いの空港からだとバス移動は少し大変かもしれませんが、標高も高くに日中はそれなりに暑いですが夕方から朝方にかけては涼しいどころか肌寒いくらいです。街の規模としてもそこまで大きくありませんしインドのゴミゴミした街並みに疲れた方におすすめの街かもしれません。
南の人々は北インドと比べるとすごく親切な方が多いですし、ぜひ行ってみて欲しいおすすめの場所です。

そんな感じで次の街へと向かいます。ありがとうクミリー!

行きつけのチャイ屋さん、優しいおじさん
カルダモン工場のおっちゃん達、休憩中でも撮れ!と
お世話になったカルダモン農家さん達、素敵な笑顔のAnil!!
現地の料理も教えてもらいました。
カルダモン収穫の休憩一コマ、あまーいお茶を飲みます。
いい笑顔のベテランママ
カルダモン乾燥業者さん。
一緒に農家さんにてステイしていた美沙さん💃🕺
お礼に家族写真をとパシャリ、本当に暖かい皆様でした。


海沿いの街 Kochi コチ 


海沿いの街へ

クミリーからバスで山を下っていくこと約6時間、コチへ戻ってきました。
標高の高いクミリーとは違い、コチは朝から晩まで2月ですがすでにかなり暑く気温差は昼間で10度、夜間は20度くらい違います。

初めてのストリートではなく綺麗なカフェでチャイ


観光地ということもあり、ここらで一度路上のストリートチャイではなく、カフェとしてお店を構えていらっしゃるチャイ屋さんを探して訪問してみることに。方法としてはTripAdvisorやGoogleマップ、ブログなどで口コミ評価の高いチャイ屋さんでいい感じのレビューがあるところにしました。

Teapot Café という良さげなお店を見つけ向かうことに。内装もいい感じでこちらで人気だというマサラチャイとチーズケーキを注文しました。


おしゃれな店内と美味しいスイーツさすが観光地です。
什器や器なども可愛いですね。
猫がのびのびとくつろいでいる店内、ゆったりでした。

想像以上に海辺は暑くて意識朦朧としていたのですが、チャイとケーキで大復活。チャイはスパイスが少し強めに効いていて、あまり他の路上では飲まないスパイシーなテイストでした。量もたっぷりで大満足!
チーズケーキは食べてびっくり。いわゆるインドテイストの砂糖たっぷりな味ではなく、甘さ控えめでしっかり酸味の効いた美味しいレアチーズケーキでした。インドでこの優しい味が食べれるのか!と安心。癒されました…


店内でチャイを提供していたカップはインドでよく見かける素焼きの器” kullad / クッラル ”で、一度使ったら割って粉々にすることで有名ですが、このお店のカップは色味こそ似ていますが、耐水性のある丈夫な器でした。
お家やお店などで何度でも使いたい場合やお土産で買うならこっちのタイプの方が丈夫でいいかもしれません。

※インドのチャイ=クッラルで飲むもの とイメージされる方も多いと思いますが、正直なところ大きな町で見かける回数は非常に少ないです。
今は紙やガラス製のカップで提供するお店などの方が多く、その方が軽いし丈夫だし安いし、とのこと。その通りですね(笑)
ですが、時折その店の売りとして素焼きのカップで提供しているお店もありますのでぜひ探して見て下さい。

美味しいチャイ屋さんは大学周辺を探すべし!


近くには昔から変わらないFort kochiの伝統的な網の漁が見れたりもします。
海辺を散策しながらこちらのカフェでゆっくりするのもオススメです。

客引きの手にするする連れ込まれ一緒に漁に参加(笑)


チャイとの食べ合わせ、南インドでは

南インドは食文化も北インドとは全く違います。チャイの食べ合わせも様々でこの写真にある”ワダ”と呼ばれる揚げドーナツ(甘くない)はどこにでもあり、みなさんよく食べています。このセットを見かけると南インドに来たな〜という感じ。

チャイとワダ、ピンクのお皿がキュートで良い感じ。美味しいです!

こんな感じで数日間ほど滞在したKochiでした、チャイの作り方は様々でしたがこの町でもクミリー同様の作り方が多く見られたように思います。

南インドのチャイは全体的に北と比べてあっさりでミルキーな印象です。南インドの料理もそうですが、ココナッツ使ったりシャバシャバでさらっとしたカレーだったり、あまりコテコテなものは少なくチャイも同じで茶葉感控えめな味わいが多く優しい印象でした。最後にフォームミルクの上に濃ゆい茶液をかける方法はよく見かけ、興味深かったです。
そしてやはり基本的にスパイスは使わないものがほとんどですね〜

チャイを仲良く飲むおじさんたち、仲良しで微笑ましい風景。


それでは次の街へ



インド随一の人口密度 大都市ムンバイ 


電車に乗って次の街へ移動、大きな駅に停まるたびに「チャイ、コーフィー」と聞こえてきます。


コチから約12時間、電車に揺られたどり着いたのはインドで一番人口が多い街とも言われているムンバイです。場所はインドの地図で東の中心あたり。

ムンバイでも様々なチャイを飲みましたがほとんどが路上のお店でした。

中でも印象的だったのが夜の港で飲んだチャイ、かなりクリーミーで脂肪分が高く夜の海辺の雰囲気も相まってとても美味しかったのを覚えています。

夜の海辺で飲んだチャイ、同じ宿で知り合った友達が連れてきてくれました。

普通のチャイが10ルピーだったのに対しこちらは30ルピーと少し高めの値段設定、観光地だったからなんだと思いますが。

たまーにやる生クリームを使用した濃厚でクリーミーなチャイに味が似ていてすごく美味しかったです。甘さがもう少し控えめならなお良かったのですが。。。観光客の方々特に若者が多く、夜10時でもこれだけ外出している人がいる光景は都会だなあという印象です。

デリーとかでもその辺のリスク管理は徹底しているはずですが、この街は夜でも賑やかでした。なんだか東京の繁華街にいるみたいなね。

ここでチャイを売り歩いているおじさんたちは、近くのチャイ屋さんから卸値で購入、自分の持っている大きめのポット等に入れてもらい、そこから自分の足で直接売り歩きます。

ムンバイで人気な海辺のスポットMarine Drive、夜景が綺麗です。

ちなみに、ついでに立ち寄ったこちらのアイスクリーム屋さんがめちゃめちゃ美味しかったのでシェア、ぜひ行ってみて欲しいです。


こうして旅をしながら様々なチャイ屋さんを観察していると、大きく分けてふたつのスタイルあります。

①お店のような場所を持ち、チャイを提供している人
③チャイをお店で売っている人から購入し、場所関係なく売り歩いている人

大小問わず、チャイという飲み物が中心となって交流が生まれる。
常日頃から大人子供問わずに飲み、喋る。文化的な消費、需要と供給、その収入で生活している人々、田舎や都会どちらにも。これが素晴らしい。

この大小問わずな規模間でどこにでも似たようなお店があることの素晴らしさと言いますか、、、日本の都会を初め中規模都市でもよく見られるどこに行っても同じチェーンの店ばかり、その土地の色みたいなものがお金という目先の利益を選んだ末にどんどん失われているのを目の当たりにしていて。

個人のお店で生まれる交流やその土地に息づく暮らしの知恵、文化は先人の様々な知恵などが含まれていることも多々、学びが多いです。ので、そういった人たちとの関係性が希薄になっていく社会の様子に危機感を覚えます。この商品がどこからどんな風に運ばれてくるのか、作られているのか、安心して食べられるものなのか、なるべく安心できるように近しい人やお世話になっている友人から購入したい僕は今の日本が少し心配です。

インドではこういった偶発性に満ちたエネルギーが溢れていて、日本の高度経済成長期ってこんな感じだったのかなと思ったり。日本はこれから人口は減っていくことは明らかなので「推しは推せる時に推せ」ですね〜。


まだムンバイ編は続きます。

次におすすめのお店です。創業50年くらいのお店でかなりの人気店。
お客さんもいい雰囲気の方々が多く、暖かく迎え入れてくれました。
※適当に歩いていてたどり着いたお店ですのでお店の詳細がわからず、申し訳ないです😭僕もここで紹介したかった!!

みんながチャイを囲みながら笑顔に喋っている雰囲気が幸せでした。素晴らしい〜
ソーサーに淹れて飲む光景。イギリス貴族の昔の飲み方で植民地時代の名残かな。


若い人からお年を召した方々にまで、たくさんの人に愛されているのが伝わってくる。素敵なお店でした。ぜひ店内に座りながらその雰囲気を肌で感じていただきたいです。

ちなみにチャイはもちろん美味しかったのですが、ここの売りは?と店主の方に聞くとなんとレモンティーとの答えが。生搾りのレモンの果汁に胡椒とお砂糖がたっぷり入っていてパンチの強い飲み物でした。風邪ひいた時なんかにこれ飲んだらイチコロだと思います!

こんな感じのムンバイ旅、またしても数日間の滞在でしたが非常に楽しい旅となりました。ありがとう〜!!


ジョードプール


ムンバイからそのまま、インドの西側を北上していきます。
別名ブルーシティとも呼ばれるこの街はこの砦とお城が有名な城下町です

街のすぐ横には大きなマハラジャのお城があります。でかい〜

この町あたりから素焼きのチャイカップ、クッラルを普通に街中で見かけるようになってきた気がします。今のインドは紙やガラス製のコップが主に使われています。

まずは駆けつけ一杯、チャイにパールジーをひたして食べるのがたまらないっす。
壁の作りが美しい街並みです。
みんなチャイを飲みます、観光の人も現地の人も。
よくみたら赤い布の上に素焼きのカップが置いてあるのがわかりますね。
こんな具合に店先に並んでいます。
このお店の経営陣、奥の少年はなんとまだ15歳!3代目だそうです。
チャイ屋の目の前にたむろするおっちゃンズ、ニヤリ😆

こちらのお店はおすすめのチャイ屋さん、駅からは少し遠いですが旧市街おの時計台近くのお店です。

お店の情報は出てこなかったのでこの辺りの位置情報を載せておきます!参考までにどうぞ🙆


チャイのカップについて

話を詳しく聞いていくと、これらのカップはオーナーさんの実家がある村で作られているそう。一応村も見てみたいとお願いさせていただいたのですが、見に行くことはできませんでした。

ただ断られたのではなく、このカップをどういった人たちが作っているのか見せ物ではないので〜ってことでした。日本にいる時からお話には聞いていたのですが、この辺りにはカーストなども関わっており、シビアな話になってきますので僕もあまり口は突っ込まず、関係性を作って少しづつお話が聞きにいけたらと思います。
デリーに戻ってからまた別の場所で見れたら嬉しいですが。
→今回見るのは少し難しかったです、残念…

そしてこの辺りのエリアから、執拗に話しかけてきては、騙してきたりぼったくってきたりとする人もすこーしづつ見えて来ます。無視しましょう。
が、誤解してほしくないのでしっかりと書いておきますが、普通に生活している現地の人々は本当に親切で助け合いの心、精神性をとても大切にしています。それは家族との距離感だったり、困っている人との関わり方であったり、様々な瞬間に見受けられることができ、学べき姿勢が沢山ありました。

旅をしていると様々なハプニングに出くわしますが、決まって助けてくれたのは優しいインドの人々。言葉の壁もありながらですが本当に感謝しています、、、

ジョードプールにて、助けてくれたチントゥと近所のおっちゃん、ありがとう。
いい笑顔だなあ。


ここまで南から北へ大きく縦断してきたわけですが、現時点で南と北のエリアによるチャイの違いをまとめてみると

南はあっさりした味、スパイスも控えめが好まれる。
チャイの作り方に関しても濃ゆく煮出した茶葉をミルクと混ぜるだけが多く仕上がりの味としてはミルキーな味わいが好まれるようでした。


対して北のエリアはチャイも脂肪分が高めでスパイスもガツンと効かせた味わいが好まれるように感じます。
特に生姜とカルダモンの二種類を使ったチャイが一般的で美味しく飲むことができ、お店や家庭どこでも好んで飲まれる味です。

北はエリアにもよりますが、乾燥や気温の寒暖差がハードなエリアが多く、砂漠に近い畑などで従事している労働者の方々は1日に数十キロ以上歩くことも珍しくはないそう。
そういった人々は毎日のエネルギー補給にカロリーの高いものを摂取することを大切にしているらしく、食事の量や味付けがしっかりしているものが多いとインドの方に聞きました。

結果、スパイスやミルクがなどの使い方や味わいが南に比べて濃ゆかったり、塩味を加えてエネルギー摂取として飲むといった機会が多かったりします。食文化の違いですね。

でも一般の人々も大好きなことには変わりありませんし、家庭でもチャイは好んでよく飲まれます。(砂糖入りの紅茶やハーブティーなんかもそれなりに飲まれているけど)
長々と話し込んでお茶するといったイメージよりもサクッといっぱい飲みながら顔見知りの店主と駄弁りつつものの5分くらいで去っていく、あのラフさがすごくいい温度感で思わず通いたくなってしまいます。



ここからは少し若者の文化や宗教観も絡めたチャイのお話になってきます。やっとインドの大都会、首都デリーです。ワクワク!!


デリー


この街にはインド国内だけではなく、近隣の国々や世界中から様々な人々が集まり暮らしており、文化も様々です。流行りなども加わり、老若男女が様々な文化の中でチャイの時間を楽しんでいます。

デリーで楽しめるチャイもいくつかご紹介させていただきますね。


こちらはニューデリーで有名なモスクJama Masjid

モスクにお祈りをしに集まりくる人々はイスラム教。ここはデリーで一番大きなモスクで礼拝にはとても多くの人が訪れることからイスラム教向けの美味しいビーフやマトン系のカレー、服や雑貨などもイスラム教の人々とは少し違った装いの人々をみることができます。

このモスクから正面の賑わっている通りに面したチャイ屋さん。ここではパキスタンで有名な陶器のコップで飲むことができます。

これがその器、カップにカップでどうやって飲めばいいのか。
南インドでの作り方に少し似ています、濃ゆい紅茶に泡を乗せる感じ!
最後に泡立てたフォームミルクを上に乗せて完成です。面白い


次に移動して別のエリアへ
最近流行りのタンドールチャイとやらを飲んできました。

伺ったのはデリーの北側に位置するこのお店 Engineer'ss Tandoori Chai 


タンドールで熱した熱々のチャイカップに出来上がったチャイを注ぎ、その場でチャイをさらに煮立たせて飲むという最近流行りのスタイルです。これがなかなかに面白い。

詳しい工程の動画は僕のインスタグラムに投稿しております。

パフォーマンス的な意味合いももちろんあるのですが、少し理に叶っている部分もあるなと思いまして…

というのも、大前提としてこのチャイすごく美味しいんですよね。
少し香ばしい焙煎香のような奥行きのある味にスパイスの清涼感や刺激的な味わい。砂糖がすでに溶けている状態で熱するのでキャラメリゼ的な意味合いもあるのでしょうか。
それを素焼きのカップでいただくことによって、土の味わいや舌触り、複雑なようで調和の取れている。これぞインドの美味しいチャイ!って感じです。最高。

カップが熱くて沸騰しているところ

僕がよく日本で淹れるすっきりとした舌触りのチャイとは違って、たまに鍋が焦げ付いた状態で再加熱する時の、ちょっと塩味が加わったような味がします。なんとも言えない香ばしいあの味です。みたらしっぽいね、

このお店はチャイだけでなく一緒に食べることのできる惣菜的なスナック菓子もめちゃめちゃ美味しいので一緒にぜひオーダーしていただきたいです。

甘いチャイには塩けのあるお菓子が乙なのです…

irani chaiに引き続き、あまりにも美味しくておかわりしてしまいました。
この素焼きのカップでいただくことでしか感じることのできないチャイの味は格別なものです。インドで見かけることがあったらぜひチャレンジしてみて下さい。

半地下チャイ屋さん、とてもいい関係性だけど暑そうでした(笑)

次にスパイスマーケットの方へも足を伸ばしてみることに。
アジア最大規模のマーケット "Khari Baoli(カリバオリ)"に行ってきました

スパイスマーケット、こちらは唐辛子のエリア。目が痛すぎる!!


唐辛子の辛味成分って凄まじい、、
カリバオリのチャイ屋さん、みんなの憩いの場所です。オアシス〜
時折流れてくる唐辛子の風が目や鼻、喉に来ます…
熱々のチャイをいただいて休憩。日本人にはみなさんとても良くしてくださいます。
別のチャイ屋さんにも。手作り感満載のチャイカップホルダーが気になる
その場で大量にチャイを購入している少年を発見
こうやって道ゆく人に売り歩く、仲介系チャイ屋さん。賢い循環!

ムンバイ編でも言っていた、路上で売り歩くスタイルのチャイ屋さん。店舗を持っている人はある程度歳を重ねたベテランで駆け出しの頃はこうやって日銭を稼ぐそうです。

そこからだんだんと固定のお客さんや提携先のような人々がつく形で規模が大きくなってきます。こういった大小様々なチャイ屋さんで子供から大人まで、インドではあらゆる場所で見ることができます。

日本では考えられない景色で全て面白かったです。

今回はインドの中でも比較的都心部が多く、西側の街ばかりでしたが東側はかなり違うと聞きます。その辺りも次回の渡印で飲み歩きながら調べられたらと思います。

チャイを飲む際に用いられる器も聞くところによると場所によって様々な用途があり、形状や色味、素材や規模などもかなり差があるそうです。
また茶畑などは南の比較的温暖なエリアばかりで北の冷涼な地域。
ダージリンやアッサムなどのお茶作りなども改めて足を運んでみたいと思います。



おわりに


今まで自分が知っているチャイの世界が何倍も広く、深くなった濃密で素晴らしい旅だったように思います。

たくさんの方々に助けられ、こうして日本にも無事に帰国して今があります。皆様本当にありがとうございました。

帰国後はというと、東京から始まり、千葉、愛知、三重、京都、大阪を渡り歩きインドで仕入れた茶葉やスパイスなどを用いて
CRS (chai report session.) と題してチャイを淹れる旅を行いました。


カルダモン畑の様子やインドでチャイが飲まれている原風景

言葉では言い表せない、不思議な暖かさと安心感があるような気がします。
朝、宿泊先のホテルから散歩がてら行きつけのチャイ屋さんへ向かう

どこから来たのか、何をしているのか、どこへ向かうのか

一期一会のチャイが導いてくれた、素敵な旅。


次は東のインドを探索予定です、どうぞお楽しみに。



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