無くなるということ。

鹿が鳴けば
秋が来たということ。
それは、柿が熟すということ。
それは、山が衣を着るということ。
そして、夏がなくなったということ。

君が泣けば
飽きがきたということ。
それは、苛立ちが積もったということ。
それは、終わりが近いということ。
そして、僕の心がそこにはもうないということ。
君の心の動きに揺れ動かなくなったということで
だから、泣かせることをしたということ。

蝉が鳴けば
夏が来たということ。
それは、消えたはずの夏が来たということ。
それは、うだるような暑さが部屋に籠るということ。
そして、僕もクーラーの効いた部屋に籠りたい気分だということ。

その理由が夏の暑さではないことに気づいたけれど、
君がこの部屋にいないということは、
今年だけのことだと思いたい。



然有琉 湊(さあり みなと)


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