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続・平熱ダイアリー

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小説を書きながら考えたこと。子どもが生まれてから。
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浮き沈みする私たちを肯定する

子どもが生まれて一年が経った。ありきたりな感想だけれど、一日一日は長いのに、一年はあっという間だった。 子どもが三ヶ月ぐらいになるまでは、思春期と並ぶぐらい、過去いちばんで情緒が安定していなくて、こんなことしても意味はないと分かっているのに悲しくて泣いたり怒ったりしていた。「こんなことしても意味はないと分かっている」ところが、思春期とは違う。けれども、分かっていてもどうにもならないものはどうにもならない。そのことがよく分かった。 子どもをみていてもそれはよく思うことで、一

はじめて同人誌即売会に出店した話【当日編】

9/6(日)に開催された文学フリマ大阪に出店しました。出店しようと思った経緯はこちら。 簡単に感想を述べると、とても楽しかったです。そしてこのような世情の中、運営してくださった事務局の皆さま、来場してくださった方々、本当にありがとうございました、ということです。 忘れたくないことが色々とあったので、備忘録として当日の流れと、考えたことをここに書き残しておこうと思います。 当日の流れ10:00 出店者入場 10時少し過ぎに到着。入口にて体温計測とcocoaの画面確認。手指

¥100

即売会に出ようと思っている

先日、文芸系webマガジン「蓼食う本の虫」さんに以下の記事を掲載していただいた(ありがたや……)。 この記事にも書いているように、今年も計画に沿って文芸活動を続けている。その一つに「文フリに出店する」というものがある。 文フリには昨年の京都に初めてお客さんとして足を運んだ。それ以前は小説を書いていなかったので文フリというイベントがある…というぐらいの認識だったのだけれど、そこで手にした本がどれもみなさんプロではないのか……?ぐらいのクオリティですごくて(語彙…)憧れの場所

普通な人なんていない

先日、学生時代の友人と会った。友人は最近籍を入れたので、自然と話題はそのことになる。 友人はもう数年前から夫となった人と一緒に暮らしていたが籍を入れていなかった。今回も本当は籍を入れたくなかったという。特に入れる必要を感じないし、名字が変わるのが嫌だからという理由だった。なので通称として旧姓を使える制度を利用し、世帯主も分けたという。 一方、私は名字が変わることに何の抵抗もなかった。名前が変わっても自分は自分だという感覚があるからだ。 ここで言いたいのは、名字が変わるこ

しんどさはどこへゆく

今日は産婦人科へ行くのに通っていた駅に行った。 最寄りの沿線とは違うので久しぶりに訪れた。とても懐かしかった。入院する当日、その駅のスタバでストロベリーショートケーキのフラペチーノみたいな、期間限定のやつを飲んでいこ!と思って寄ったら売り切れていたこととか、その後母と合流したこととか、鮮明に思い出した。 お宮参りやハーフバースデーよりも、そのときのことの方が、現在に近い気がしたのはなんでだろう。でも行き交う人々は皆マスクをしていて、あのときと今は明らかな断絶があることを知

格好つけないでいる場所

今日は学生時代の友人たちが会いに来てくれた。リモートでプラス数名と通話。私の子どもと、もう一人小さな子どもがいてなんだかもう阿鼻叫喚みたいな感じでとても疲れたが、ほんとうの人生に帰っていくような心地がした。 思えば11月に出産してすぐ帰省、年明けにここに戻ってきたけれど生後3か月なので長時間のお出かけはできず、そのまま自粛期間に突入。今日までに会った家族以外の近しい人は、帰省中に友だちと、3月ごろに先輩と。どちらも1時間ぐらいのおしゃべりだった。つまり普通に友人と遊んだのは

いまの私と神戸

「どっか行ってきたら」 子どもは見ておくから、と同居人が言った。昨日の昼だった。 私は会いたいと思った友人に連絡をしたが、誰も空いていなかった。明日突然、昼限定、しかも自粛明けだ。無理もない。みんな恋人に会いに行ったり遊んだりするのだろう。 そのときふととても懐かしい気持ちになった。週末や仕事上がりに恋人や友だちと会う。美術館や映画館へ行き、美味しいご飯を食べお酒を飲み、真夜中の電車で一人へと帰っていく。そうだったときの気持ちが手で触れそうなぐらい、自分の心にしっとりと降

加速するこの世界で覚えておきたいこと

先日の記事を公開した後、1通のDMをいただいた。その文面からは、記事を隅々まで読み、こちらの意図を汲みとってくださったことがよく分かった。私はとても嬉しかった。 上記の記事で私は以下のようなことを書いた。 文章でなく画像で、画像でなく動画で。また文章も動画もより短く。人の思考はより感覚的になってきている。 「スマホはもはや俺の臓器」と歌われてからもう7年経つけれど、この傾向は変わっていない、むしろ加速していると感じる。 流れていくコンテンツの速さ。すぐにレスポンスしな

#ふぁぼされた数だけ自分の創作環境について語る

表題のようなタグを見つけたので、今週の日記のお題にしようと思います。 ちなみに私は普段小説と日記を書いています。ときどきTwitterに散文をあげたり。140字小説も最近書き始めました。という文字書きなので創作環境というほどの環境はないのですが、こういうの書くのも読むのも好きなので……。 1.Evernote創作に使っているもの、ほぼこれです。4作目あたりまで使っていたのはこのアプリと紙のノートだけでした。 スマホでいつでもどこでも書けるし、パソコンで開けば腰を据えて書

世界は優しさでできていることを肯定したい

子どもが生まれて半年が過ぎた。あっという間だった。 今思うことは、子どもはかわいいということである。大切だし、いなくなってしまったときのことを考えるとそれだけで涙が出そうになる。子どもはできなかったらそれでいいぐらいに思っていたが、それでもそう思う。学生時代の子ども嫌いの友人も、子どもが生まれてから子ども好きになった。 ここで言いたいのは、子どもを産みたくない人も考え直してみるといいとか、親なら子どもを可愛がって当たり前とか、そういうことでは断じてない。子どもには、かわい

小説を書いているとき、楽しいか苦しいか(回答結果)

先日、透明文芸部のマガジンに以下の記事を追加させていただきました。 表題の問いに対し、丁寧で深いコメントをいただきました。本当にありがとうございました。この記事ではその結果を書きたいなと思います。 小説を書いているとき、楽しいか苦しいか※「小説を書くこと」ではなく「小説を書いているとき、楽しいか苦しいか」に変えて質問しました。 楽しいだけ、苦しいだけ、という方はあまりおられず、楽しいときもあれば苦しいときもある、という意見が多数でした。ちなみに楽しいとき、苦しいときはど

小説を書くことは楽しいか、苦しいか

はじめまして。先月より透明文芸部に入部させていただきましたりんです。 入部するきっかけになったのは、haccaノベルを通して主宰の丹宗さんとSNSでお知り合いになったことです。今まで一人で書いて黙々と書いてきましたが、作品を読みあったり、創作についてのお話をしたりして誰かと交流しながら書くということをしたいなあと思い入部を希望しました。 自己紹介は以下の記事に……。 元々遅筆ですが、昨年子が生まれてさらに遅くなりました。noteは基本的に日記を投稿していましたが、最近は小

そして生活はつづく

子どもが隣で眠っている。眠そうに目を開いたり閉じたりしている。ふっと笑うと、それに気づいたようでにやりと笑った。そんなとき私はしあわせでしあわせで涙ぐんでしまう。 世の中はもう、コロナ、コロナ、コロナ。当たり前だ。 それに伴い情報が滝のように流れてくる。Twitterでいうと、タイムラインの密度が濃いみたいな、誰がしたか分からんリツイートでタイムライン埋まっちゃうみたいな、そんな感じ。コロナで身内を亡くした方の訴え、政府への批判、はみだした行動をした者の吊し上げ。 私は

一瞬をつかまえる

今日で子どもが生まれて4ヶ月が経った。 あらためて生まれたときから今日までの動画や写真を見返した。 生まれたときなんて目もあいてるのか分からない。1ヶ月目のときも表情がない。2ヶ月目から少ししゃべるようになり、3ヶ月目にはよく笑うようになった。 人間の感情というのはいつ生まれるんだろうとつい考えてしまう。表情のなかった頃は、嬉しいとか悲しいという気持ちはなかったのだろうか。それって心の中はどんな状態なのだろうか。それとも感情はあって、表情にでていないだけなのだろうか。