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りん
2020年3月14日 22:45
坂を下るとき、いつだって私は一人だった。 職員室の明かりを背に校門を出るとそこは夜の海のようで、街灯が灯台みたいに坂道を照らしている。映す影は濃く、あたりには人ひとりいない。そうしたらもう世界は消えてしまって、私は暗闇にたった一人になってしまったのではないかと思う。そして決まって叫びたくなる。「誰か」と。 イヤフォンを耳にさす。ピアノの音に自分の足音を重ねる。そうやって私は坂を下る。下った