【詩】生に触れるということは
生に触れるということは
死に触れるということだった
生に小指の先でも付けてしまえば
死はその指を決して離しはしない
それは夕間暮れに
地面に落ちる影法師の如く
生に触れるということは
孤独に触れるということであった
人は信じ、これを裏切るのもまた人だ
然しそれでも、人は信じる
それ故、孤独の伴侶は自由である
生に触れるということは
永遠に触れるということだった
例えば何処かで老人が
その身を管で繋がれて
めいっぱい生を感じるように
例えば何処かで乳飲み子が
めいっぱい死を感じるから
大声をあげて泣き叫ぶ
之を永遠に繰り返す
生とは全く、呪いに近い
断ち切れば良いものを
何故こうも続けたがるか
良く晴れた昼下がり、私はひとり途方に暮れる
生とは全く、美しくて叶わない