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KJ-GPTのプロンプト解説🤖📝/大塚

今年1月からnoteで紹介してきたKJ-GPTですが……

この度オープンソース化しました🥳!

内部のコードやプロンプトを公開しています。
コードについては取りあえず動けばいいで作っている(😨)ので、今後読みやすくしていきます!

今回の記事では、その中のKJ法プロンプトを解説していきます。

KJ法の流れ

まずKJ法がどのような段取りで進んでいくのかを簡単に説明します。
★のステップについて、プロンプトを解説します。

ラベルづくり

KJ法によるまとめの対象となる元データ(元ラベル)を作ります。
これはユーザーが手作業で入れることを前提としています。

ラベル集め(★)

入力したひとつひとつのラベル(データ)について、全ラベルの中で相対的に意味が近いものを集めます。意味の似ているものがない場合はそのままにします。

ラベルを並べた例(川喜田二郎『KJ法——渾沌をして語らしめる』、p.125)
それを集めた例(同、p.127)

表札作り(★)

集まった各ラベルグループについて、その内容を要約して表札を作ります。

表札作りの例(同、p.128)

シンボルマーク作り(★)

ラベルの数が少なくとも10枚以下になったら、その最後に残ったラベルについて、視覚的かつ直観的に訴えるようなシンボル化された言葉で表現します。

「閉ざされた社会」「願い」などがシンボルマーク
(同、p.137)
※LW=ライフワーク

A型図解化

出来上がったラベルのグループを、バラしながら空間上に配置します。
本来のKJ法では、この作業が終わってから、シンボルマークを作るが、KJ-GPTでは都合上逆にしています。

B型叙述化(★)

出来上がったKJ法図解をもとに、文章化するプロセスです。

プロンプト①ラベル集め

### Instruction:
{theme}
Please group all of these items with those that are closer in deeper underlying meaning.

### Condition:
Please write in Japanese.
Each group should have at most 3 items. Items that cannot be grouped should be listed as is.
Items with conflicting content should be grouped separately.

### Input:
#### Theme:
ネパール山地に技術協力するには?
#### Data:
僻地でも活性化の道はあることを小地域で成功させ、同じ僻地の広域の人々を励ましたい。
近代文明にはネパール山民にとって有害な面も多くある。
経済的向上は福祉向上の必要条件だが十分条件ではない。
山岳地域を国際紛争の温床にせぬためには、住民の福祉向上こそ未然の防止策である。
まず現地から学び、山岳地帯での暮らし方を生態系として捉え直し、その生態系の病因をつきとめよう。
最初から大きな資本投下をするのは、私の力では及ばない。
ヒマラヤ山中の土地と人とが好きなので、住民の生活苦を見るに忍びない。
近代文明の開発力の型通りな押しつけでなく、ネパール山地の独自な地域性を活用するのでなければ、過疎化の弊害をもたらすのみ。
人口急増を伴う近代化の直接間接の影響下に、生活問題をめぐる全体状況の変化で過疎過密化が進み、ひいては伝統的な文化・環境が解体され、重大問題化している。
山地の村々が持つらしい素朴な活力を信頼し、住民と一体になり地域の活性化を図ることが成功の鍵。
私にできることは近代文明の遺産を活用し、そこで培われた地域理解についての専門家的経験をもとに、内政干渉にならぬ技術協力を行うこと。
山中の村々が黒字で自力更生でき活性化することを励ますような技術協力をやり、住民の喜ぶ顔を見たい。

### Output:
グループ1:
近代文明にはネパール山民にとって有害な面も多くある。
経済的向上は福祉向上の必要条件だが十分条件ではない。
近代文明の開発力の型通りな押しつけでなく、ネパール山地の独自な地域性を活用するのでなければ、過疎化の弊害をもたらすのみ。
グループ2:
山地の村々が持つらしい素朴な活力を信頼し、住民と一体になり地域の活性化を図ることが成功の鍵。
まず現地から学び、山岳地帯での暮らし方を生態系として捉え直し、その生態系の病因をつきとめよう。
グループ3:
私にできることは近代文明の遺産を活用し、そこで培われた地域理解についての専門家的経験をもとに、内政干渉にならぬ技術協力を行うこと。
最初から大きな資本投下をするのは、私の力では及ばない。
グループ4:
ヒマラヤ山中の土地と人とが好きなので、住民の生活苦を見るに忍びない。
山中の村々が黒字で自力更生でき活性化することを励ますような技術協力をやり、住民の喜ぶ顔を見たい。
グループ5:
人口急増を伴う近代化の直接間接の影響下に、生活問題をめぐる全体状況の変化で過疎過密化が進み、ひいては伝統的な文化・環境が解体され、重大問題化している。
グループ6:
僻地でも活性化の道はあることを小地域で成功させ、同じ僻地の広域の人々を励ましたい。
グループ7:
山岳地域を国際紛争の温床にせぬためには、住民の福祉向上こそ未然の防止策である。

### Input:

「### Instruction:」には、指示を入れています。
つまり、「これらすべての項目について、より深い根本的な意味が近いものでグループ分けしてください。」と伝えています。
加えて、ユーザーが入力したテーマについても入れています。

「### Condition:」は、その時の注意点です。
「日本語で書いて」だったり、「一つのグループは3つ以上」、「矛盾する内容については別々のグループにして」などの条件を伝えています。

「### Input:」「### Output:」は入力と出力の例です。ここでは川喜田二郎氏の実際のKJ法作品の例をお借りしています。

(例示データの出典)
「R1 ネパール山地に技術協力するには?」
四注記 (1) 1985.1.11 (2)自宅 (3)川喜田二郎 (4)川喜田二郎 (5)『KJ法』執筆用 (6)川喜田二郎1986『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、pp.374-375

一番最後の「### Input:」の下に、ユーザーの入力したデータが来ます。

プロンプト②表札作り


### Instruction:
{theme}
Please summarize the items of groups in one concise sentence with a deeper meaning.

### Conditions:
Please write in Japanese.

###Input:
ネパール山中に車道のみ発達させ個々の村の活性化がないと、筋肉を忘れ血管のみ太らせたのと同じく、過疎化の弊害をもたらすのみ。
近代文明のやり方の型通りの押しつけでなく、現地の独自な地域性を活用すべきだ。
###Output:
近代文明の開発力の型通りな押しつけでなく、ネパール山地の独自な地域性を活用するのでなければ、過疎化の弊害をもたらすのみ。

###Input:
近代化のもとで、過疎化は伝統的な文化と環境の解体までもたらし、過疎過密化は重大問題化している。
自然環境がどんどん破壊されつつあるらしい。
ネパールの人口は急増しているが、どうやって人々は食っていけば良いのか。
###Output:
人口急増を伴う近代化の直接間接の影響下に、生活問題をめぐる全体状況の変化で過疎過密化が進み、ひいては伝統的な文化・環境が解体され、重大問題化している。

###Input:
住民と一緒になって活性化を図ることが成功の鍵。
山岳地の村々には、素朴な活力がありそうだ。
###Output:
山地の村々が持つらしい素朴な活力を信頼し、住民と一体になり地域の活性化を図ることが成功の鍵。

###Input:
ネパール山村の活性化に役立つ近代文明の遺産については、住民より私の方が詳しい。
私は外国人だから内政干渉は好まず、ネパールに対してできることは技術協力である。
私にできることは、地理学・民族学での経験を活かすことだ。
###Output:
私にできることは近代文明の遺産を活用し、そこで培われた地域理解についての専門家的経験をもとに、内政干渉にならぬ技術協力を行うこと。

###Input:
山中の村々の自力更生による活性化を励ますような技術協力を行い、住民の喜ぶ顔を見たい。
住民の力で黒字の事業として維持できる、最も効果的な技術協力から始めたい。
###Output:
山中の村々が黒字で自力更生でき活性化することを励ますような技術協力をやり、住民の喜ぶ顔を見たい。

### Input:

集まったラベルの表札を作るには、「### Instruction:」にあるように、「各グループの項目の内容について、より本質的なレベルで簡潔な一文にまとめてください。」と指示しています。条件は「日本語で書いて」だけです。

その後、いくつかの入出力例を与えています。こちらの出典はラベル集めと同じものです。

プロンプト③シンボルマーク作り

### Instruction:
{theme}
Paraphrase each group of sentences in a couple of words that can be understood instantaneously.

### Conditions:
Please write in Japanese.
Rephrase it with an adjective, verb or metaphor with creativity.

###Input:
ネパール山地の独自な地域性を無視し、経済至上主義その他の弊害を持った近代文明の開発力を型通り押しつけるのでは、過疎化の弊害を除いた本物の技術協力はできない。
###Output:
アテハメは失敗

###Input:
僻地でも活性化の道はあることを小地域で成功させ、同じ僻地の広域の人々を励ましたい。
###Output:
インパクト

###Input:
人口急増を伴う近代化の直接間接の影響下に、生活問題をめぐる全体状況の変化で過疎過密化が進み、ひいては伝統的な文化・環境が解体され、重大問題化している。
###Output:
過疎過密

###Input:
山岳地域を国際紛争の温床にせぬためには、住民の福祉向上こそ未然の防止策である。
###Output:
国際紛争の防止

###Input:
実態把握による山岳地生態系の診断と、住民の素朴な活力を信頼した相互参画とが、互いに強めあってこそ、地域の活性化に通ずる技術協力に成功しよう。
###Output:
実態把握と参画

###Input:
私にできることは、小資本で足りる対象を選び、近代文明の遺産を生かし、身につけた地域理解についての専門家的経験をもとに、内政干渉にならぬ技術協力を行うこと。
###Output:
小さなモデルを!

###Input:
ヒマラヤ山中の土地と人とが好きなので、その村々が黒字の自力更生で生活苦を除き、活性化するのを励ますような技術協力を行い、住民の喜ぶ顔を見たい。
###Output:
自立を励ます

### Input:

こちらでは、「各グループの文章を、パッと見でわかるような2、3語で言い換えて」という指示を出しています。条件は、「日本語で書いて」と「形容詞や動詞、比喩などを使って創造性あふれたものをお願い」との2つです。

その後、先ほどと同じ出典から、文章とそのシンボルマークの例を渡しています。

プロンプト④文章化

### Instructions:
{translated_theme}
Act as an introspective person who excels at looking deep into his or her own mind.
Make bulleted items into creative sentences by supplementing them with conjunctions.

### Condition:
Please write in Japanese.
Any additional explanations should be enclosed in parentheses.
Please unify the writing style in the Japanese standard form, like as "〜だ" or "〜である".

### Input:
(子どもだけじゃなく大人の教育も必要だと思う)
## 目先の宿題を消化するだけではなく、将来の社会に意義のある学びをしたい
### 宿題が多すぎて課題をこなすだけになっているのが嫌
### 未来の社会を発展させるような意味ある勉強がしたい

### Output:
とにかく宿題が多すぎて、考える余裕がなくて課題をこなすだけになっているのが嫌だ。(答えのある問題をただ強制的に解答させられるのは無駄だと思う。インターネットやChatGPTなどが急速に発展しているので、そういった単なる暗記や論理計算は、そのうち人間がやる必要はなくなると思う。それなのに、このまま偏差値至上主義の詰め込み教育で今後もやっていくならば、何の役にも立たない大人を育てることになるだろう。)そうではなくて、もっと未来の社会を発展させるような意味ある勉強に集中できたらどんなに良いだろうか。(答えのない問いに試行錯誤しながら立ち向かったり、自分だけの特別な興味関心を育てて専門性を高めたりする勉強の方が今後求められるのは明らかだ。大人も自分の興味関心とスキルを結びつけることが仕事で求められるのだ。)つまり、目先の宿題を消化するだけの作業は懲り懲りで、将来の社会のことを考えてもっと有意義な学びをしたいということ。

### Input:
({last_answer_summarized})

最後の文章化では、箇条書きの文章を接続詞で繋ぎながらクリエイティブな文章に書き換えるように指示しています。累積KJ法でいう第一ラウンド(問題提起ラウンド)を想定しているので、内省的な人物として振る舞うようにお願いしています。

条件については、「日本語で」と、「追加の文章についてはカッコ書きで」、そして口調を揃えるため「だ・であるで終わって」と伝えています。

ここでの入出力例は、自分で作ったものを渡しています。

最後の{last_answer_summarized}という変数には、その直前の文章をまとめたテキストが入っています。話の流れを理解して文章化してもらうためです。


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