野生の鹿が暮らす島
五島列島の北端に、小値賀(おぢか)島という島がある。この島の東にある「野崎島」は世界文化遺産 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の構成資産のひとつです。
昨年(2019年)9月の下旬に、このふたつの島を訪ねることができた。高速船も定期船もぶじに通って3日間を過ごした。
到着はお昼ごろで、レンタカーを借りて小値賀島内をゆっくりまわる。橋で繋がっている斑島まで行った。橋の手前に牛が草を食んでいた。この島の玉石鼻では「ポットホール」をみて、波の音を聴いて過ごす。吸い込まれそうだ。
島の東側にある「地ノ神嶋神社」から、向こう側にある野崎島の「沖ノ神嶋神社」を眺める。鳥居が向い合せになっているのだ。次の日は野崎島に行く予定にしていたが、沖ノ神嶋神社へは10月以降しか行かない方がいいとされている。残念だ。だからその分、ここでゆっくりと遥拝をした。
夕方、レンタカーを返却して(鍵をつけたまま放置)宿に行く。お腹がすいたから、近くの食堂で夕飯をとった。次の日の定期船は朝の7時25分発なので、お風呂を済ませて早めに眠った。
町営船「はまゆう」は、ちょっと海が荒れると欠航になるという。渡航日の海は穏やかで、ほっとした。野崎島には8時に着く。当地ではガイドツアーを申し込んでおいた。野崎島島内をめぐるツアーである。
野崎島に住民はいない。ただ、観光で来る方々が船で往来しやすいよう、ひとりだけ住民票をおいておられる。暮らしているのは400頭以上の野生のニホンジカ、珍しい動植物たちと聞いた。鹿にはあちこちで会える。すこしの物音で、こっちをじいっと見たり、さっと走り去る姿がかわいらしい。
ガイドの方は、以前は野崎島に暮らしていた方だ。この日のツアーは他に参加者がない中での催行をしてもらったので、かぶりつきの贅沢なものだった。しばらくガイドをしてもらい、帰りの船の時刻まで好きなように過ごした。
小値賀島行きの船は15時10分発。行きと反対側の航路を使うから、往復で島の全景を見られる。こちらも今回行けなかった「舟森集落跡」が遠くに見えた。
次の1泊は、別の宿をとった。貸切の1軒家で、周りのお宅からの視線が入らないようにしてあって、もう一方は海に面している。野崎島を歩き回った汗を流し、この宿の方が営む食堂でちゃんぽんを食べた(絶品です)。小さな島の夜はとても静かで、ぐっすりと眠れた。
この島に、また行こうとしている。12月の半ばだ。オフシーズンで、もっとゆったりとしているだろう。また、あの鹿たちに会いたい。