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どこにも辿りつくことができなかった疲弊

 いったん読みかけて途中で読むのをやめていた本があった。人から勧められたもので、島原と天草の一揆をとりあげた小説だった。
 1637年の陰暦5月から、1638年の陰暦2月28日のおよそ10ヶ月間くらいのことと、その前後のちょっとしたエピソードで700頁。
 前回途中でやめたのは、書き込みすぎていて疲れちゃったからだった。でもそのときよりいくらかは歴史に興味もわいているし、評価のいいレビューもあるようだし、私もちょっと大人になったから(?)今度こそとおもったのだ。
 おもったけれど、印象は変わらず、息切れしながらやっと読んだ。最後はもうヤケクソで流し読みみたいな感じだったけれどとにかく最後までページをめくった。

 解説を担当した方は絶賛だったし、先に書いたように評価の高いレビューもあった。私のアタマが悪いだけなのかもしれない。

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 その本が合わなかったのは、全体的な印象として余計な情報が多く、どこらへんに焦点をあてて読み進めばいいのか、迷ったからだった。

 そしてふとおもった。うちのボスに似ている。

 うちのボスの指示、会話、質問は、いつもたいてい何が言いたいのかわからない。加えて声と発声に問題があり、さらに本人の耳が遠いためさまざまな徒労や、疲労や、トラブルに見舞われる。ずいぶん慣れて、自分が消耗しないよう最大限の努力を払っていてさえ見舞われる。
 すごくイライラする。

 私自身、言語化に時間がかかるし見た目や話し方のせいかのんびりした人間に見られがちだけれど、どうかするとひどくせっかちだったりする。
 だから自分にも問題がある点を認めはするものの、それでもやっぱりすごくすごくイライラする。
 山羊座はムダが嫌いなのだ。私にとってはどうでもいい話題で時間を取られるのを太陽山羊の私は嫌うのだ。
 そういうわけで、ほとんど無視してやり過ごすのだけれども、めげずに話しかけてくるから蹴っ飛ばしたくなってくる。

 今日は口が悪い。

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 なんていう本か、気になっている方もおられるかもしれないので書いておくが、『出星前夜(飯嶋和一著)』という小説であります。
 この方の作品はこれしか読んでいないし、ファンも多いみたいなので興味がある方は手に取ってみるといいかもしれない。上記の感想は私の個人的な、とても偏った意見なのであまり気にしないでいただけるとありがたい。

 今日は雨が降って風が強い。傘をさすのも雨粒に濡れるのも好きじゃないけれど、Kさんが雨の音のことを以前言っておられたのを思いだしつつ、今日のは傘に弾かれてぱつぱつと鳴る音がいい雨だな、とおもった。

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今日の「風情」:風の強い日は、窓から私の間仕切りオフィスにクスノキの落ち葉が飛びこんできて、いちいち拾って捨てるのが面倒です(ぶつぶつ)。

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