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【私と本】柳宗理のデザイン考

 図書館がだいすき。先日、大橋歩さんの本のことを書きたくて、図書館のホームページで検索をかけたとき、一覧表の中にこの本があって貸出リストに入れた。

 柳宗理という名を知ったのは、高校生のとき。
 自営業だった我が家は、私が中学生のころにはもう店の経営的にも、家族という集団的にも、ちょっと危ないだろうな、という雰囲気だったので、進学先には工業高校を選んだ。進学校に行くような頭脳もない、大学への興味もない、未来に対するワクワク感もない、そのへんの色んなものを持ち合わせていなかったから高校卒業後は就職とおもっていた。工業高校を選んだのは、中学校の美術の授業中に、先生から「君はあそこのインテリア科なんかいいんじゃないの」と言われたことがあって、それが頭に残っていたからだった。

 中身ではなく競争率がすごく高かったその高校の希望科の受験は、周りの人たちをとてもとても心配させたけれど、受かった。授業では一般科目の他に専門科目(私の場合インテリア関係)の授業がいっぱいあって、図面をひいたり、木工をしたり、モデルハウスに見学に行ったりもした。専門科目の中にインテリア史がある。世界的な有名デザイナーの名がいっぱい出てくる中に、この人がいた。教科書に『バタフライスツール』が載っていた。

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バタフライスツール

 今この本を読んでいると、高校生のころにもっともっと真剣に学んでおけばよかったとおもう。もったいないことをした(自分のせい)。

 デザイン十ヶ条は地球に暮らすひとみんなに読んでもらいたい。この人の書いたものを読むと、この思いがぎゅうぎゅうに詰まっていて胸がうたれる。あらゆる立場の人が、それぞれの立ち位置でこういう出発点から生きていると、とてもうつくしい世界になるんじゃないだろうか。
 とはいっても、聖俗入り交じっているのが世界だし、何事も安易に『イイ・ワルイ』なんて言えないのだけど。

 この本の中では色んな人から見た『柳宗理』のことが書かれていておもしろい。大橋歩さんも寄稿しておられる(それで検索にヒットした)。
 評判のいいキッチン用品は私もずっと憧れで、フライパンと片手鍋、カトラリーをいくつか所有している。色々取り揃えたいけれど、これ以前から持っている”まだ使えるモノ”を処分してまで買うことに何年も躊躇を重ねている。たくさん持つのも好きじゃない。

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 本に掲載されている柳宗理氏の写真を見ると、少年みたいな印象を受ける。こんなふうにいつまでも少年みたいな人っていいな。私が好きと思う人にはそんなところがある。

柳宗理 「美しさ」を暮らしの中で


 

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