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2020日本シリーズの4タテ試合を振り返る

2020年の日本シリーズは多くの讀賣OBの予想を覆し、下馬評通りにホークスの勝利となりました。日本シリーズ2年連続4タテ、合計8タテの結果となったため、リーグ間の格差解消についての様々な記事が書かれていますが、単純に選手、球団の力量の差によるもので、スカウティング、選手育成といった根本から見直すべきと思います。以下はSports navi戦評です。

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1.両チームの打撃成績

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ホークスと讀賣の安打数には倍近くの差がありますが、ホークスの方が長打力に優れており、その結果が4試合合計得点26−4、通称「264」となったと思われます。(余談ですが「334」の記録の偉大さが良くわかります)

OPS、ISOの数値を見ても長打力の差の傾向は明らかです。また、打順1番から6番の上位打線で見てもその傾向は顕著であり、打席数が多く回る上位打線の打撃力、得点能力の差が出ています。讀賣は打順1番から6番の三振数も多く、出塁、得点のチャンスを作れなかったと思われます。

2.個人別の打撃成績

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出場選手の個人別打撃成績を打席数15打席以上と以下でOPS順に並べてみました。上位はホークスの2番から5番打者と甲斐拓也選手となっており、1番打者の周東佑京選手の不調を補って余りある上位打線の充実ぶりがわかります。讀賣は主軸の一角である岡本和真選手、丸佳浩選手の不調が響いています。また15打席以下の選手でも讀賣の1、2番打者の吉川尚樹選手、松原聖弥選手は10打席もありながら打撃が振るわないまま終わったことがわかります。

3.両チームの投手成績

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防御率、被安打数、他の指標もホークス投手陣が圧倒している数値ですが、奪三振、与四死球の数値は他数値と比べてそれほどの差があるようには見えません。実は投手力はそれほど差がなく、先発・リリーフの起用・運用がよくなかったためにこのような結果になったのではないかと思います。

4.個人別投手成績

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先発投手とリリーフ・クローザー投手を防御率順に並べてみました。ホークスの投手陣が順当に上位を占めており、公式戦同様の力を発揮できた結果となっています。

ホークスのムーア投手の7回ノーノーの快投、讀賣のサンチェス投手の奮闘、ビエイラ投手は160キロオーバーのストレート、ツーシーム等で存在感を出していました。讀賣の今村信貴投手、畠世周投手、ホークスの和田毅投手の出来が悪く降板しましたが、ホークスはリリーフ陣が充実していることもあり、勝利することができました。讀賣の投手起用ですが、戸郷翔征投手は今シリーズはリリーフでの登板で5回を投げて8三振を奪っており、先発起用であれば4タテは防げたかもしれません。(菅野ーサンチェスー戸郷の中4日2回転くらいの思い切った策があったら面白かったかも)

5.ホークス投手陣の投球内容と結果

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前出ですが、ホークスと讀賣の右投手の実力はそれほど差がないということが、この図と下の図を比べるとわかります。ただし、左投手はホークスのムーア、モイネロの両投手の力が抜きん出ていることがわかります。

6.讀賣投手陣の投球内容と結果

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7.両チーム投手の球種別の球速レンジ比較

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ホークス右投手のストレートは高速であることと松本裕樹投手のスローカーブが特徴的です。ストレート、スライダーの下振れは高橋礼投手の球速が昨年並に戻っていないためです。讀賣右投手はビエイラ投手のストレートとツーシームの速さが抜きん出ていることがわかります。スライダー、チェンジアップも投手によって投げる速度域に幅がありますが130ー140キロ台だと捕まる可能性が高いです。

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ホークス左投手はストレートの速さとカーブの速度差が目立ち、打者も対応が難しくなっていると思われます。讀賣の左投手はストレート、ツーシームでも140キロ台、スライダーも120キロ台ではホークス打線を抑えることは難しいと思います。今後は150キロ台の球を投げる左投手が必要になってくると思います。

日本のプロ野球も投手の高速化とそれに対応する打撃力が必要となってきており、パ・リーグではそれがひと足先に来ていたため、2020年の日本シリーズは「8タテ・264」という一方的な試合結果になったのではないかと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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