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「人が魅力な会社」の魅力が伝わらない理由

「人が魅力な会社」「アットホームな職場」「人を大切にする会社」「風通しのいい職場」
耳触りのいい言葉が書かれている求人を目にすることは多いけれど、
実態として伝わってこないのはなぜなのか。

就職先を決める上で、「社員の方々が魅力的でこの会社に決めました。」「面接の時の雰囲気が良くて内定を受けることにしました。」といった声はよく耳にする。

仕事を決める上で、待遇以外に惹かれる何かは必ずある。

以前noteにも書いたけれど、その中でも一緒に働く人というのは大きいウェイトを占めるんじゃないかと思う。


人材媒体社で働き、仕事上、5000件以上は求人原稿を見てきたけれど
こと、求人に関しては形容詞ほど魅力を伝える上で、説得力について欠けているものはないかもしれないと思った出来事があった。


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今週は保育施設を運営するクライアントと打ち合わせがあった。
クライアントの求人には 人が魅力の保育園 だということが全面に打ち出されていた。

なぜ人が魅力だと言えるのか会話の中で、質問してみた。

すると、ぽろぽろといい話エピソードがこぼれでてきたのである。

「うちの保育園は転職で入ってくる人が6割で、一般企業に就業してからやっぱり保育士の仕事にい戻りたいと思って転職してきた方が多い。中には、一般企業でストレスによりパニック障害になった方も今活躍している。」

「ピアノなど実技が苦手な先生もいるけど、無理やり不得意なことをお願いすることはない。それぞれの先生が自分の得意分野で幼児と触れ合ってもらうようにしてる」

「コロナがきて初めてweb面接を導入するようになったが、職場の様子をどう伝えるか試行錯誤していて、web面接の途中で園長先生や職員の先生を呼び止めて登場してもらうようにしている」

.....など

紐解けば本当に人を大切にしていて、人が魅力の園だと言えるエピソードがたくさんあるのに求人原稿上では「人が魅力の保育園です!」の一言にまとめられてしまっていることに歯がゆい思いをした。

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どうすればこの会社の魅力が伝わるのか。

アンテナを張っていると何気なく読んでるニュース記事だったりyoutubeだったりからふと答えが降ってくることがある。


なぜ今、ストーリーが大事かというと、ストーリーがあると、みんなが共感して、好きになってもらいやすくなるからです。
例えば、仮にNewsPicksの佐々木さんが嫌われているとします。そして、もし佐々木さんが人に好かれたいと思ったら、佐々木さん自身の物語を語るしかありません。
佐々木さんは九州で育って、大学から東京に来て、慶応に行って、NewsPicksでメディアや学校や社交場をつくって、「令和の福沢諭吉」になりたい人なんだと説明すると、ストーリーが生まれて、共感しやすくなるでしょう。
これからの時代は、本当に必要なもの、つまり、エッセンシャルなものだけを消費する時代になっていきます。
だから、なおさら「その人にしかないストーリー」が大切になってくるんです。
“エッセンシャル消費”の時代になったときに、僕らのようなクリエイターは、八百屋でも、農家でも、電機メーカーでもないので、生活必需品は作れません。
僕らが創れるのは、なんか欲しくなるもの、なんか好きなもの。つまりは、ストーリーなんです。


このお二人は動画クリエイターという立場での対談をされているけれど、

求人を読んで会社に興味を持ってもらって応募→採用に繋げる支援をしている上では、

人の心を動かす何かが必要で、

それはつまり ストーリー なのだと思う。


ストーリー性のある求人原稿で溢れる世界を想像するとなんだかワクワクする。

そして、そのストーリーに共感して集まってきた熱い想いを持った人々の集団が、世界を変えてくれるような気がする。


待遇や形容詞だけの求人原稿はもう、やめよう。


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