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地球に会いに


2021年12月 念願のフェニックス褶曲を見に出かけました。噂によると足場が悪く危険をともなう・・・鎖を伝って崖を降りるところのようだ。わたしの足ではずっと見に行くのは無理だろうと思っていた。そしたら、ジオクルーズでなら見られると聞き計画を立てました。



日時:12月14日
コース  10:00すさみ観光協会集合→10:30口和深港 乗船→フェニックス褶曲→13:00一枚岩→ 14:00瀧之拝→15:00橋杭岩→16:00南紀熊野ジオパークセンター→潮岬 望楼の芝→潮岬灯台展望所 本州最南端の夕日


■予約までの流れ
電話で問合せ(南紀熊野ジオパークセンター)→希望のコースのリストアップ→ジオガイド申込み→ジオクルーズ申込み(すさみ町観光案内所)→予定確認→ガイドさんから行程詳細がメールで届く→出発


今回、事前にジオパークセンターの上野さんに、和歌山の地層の見どころなどを相談に乗っていただきました。突然電話したにもかかわらずとても丁寧にお答えくださったので大変感謝しています。
「まずは、フェニックス褶曲がみたいんです。そして、
1、時間的に回れるところ
2、絵画制作のヒントになりそうなジオサイト
3、足場が悪くないところ
4、車で近くまで行けるところ
5、お手洗いが近くのあるなど
をおしえてください。」
  色々思いつく条件を申し上げ、リストアップしていただきました。
そのあと、すさみ町観光案内所に電話を入れジオクルーズの予約をとりました。心配は、お天気のみ。風が強すぎると欠航になってしまうからです。念のため、悪天候の場合に備え、次の日に予定を変更できるかどうかの確認も取っておいたのですが、前日にすさみ観光案内所から予定通り船が出るとの連絡をいただきホッとしました。

■南紀白浜に向けて出発
宿は、南紀白浜に予約して1日目は移動のみ。高速道路もしっかりチェックしたはずなのに…。なんと、“夜間通行止め”
気を取り直して進むも、夜の山道は和歌山初心者にはドキドキハラハラの連続でした。本当にこの道で合っとんの?(笑)やっと、宿についたときには真夜中になっていました。明日に備えて早く寝よう。

12月15日は朝からよい天気

■10:00すさみ町観光案内所
ガイドさんの柴崎浩子さんと中村さんにあう。「 石ころを触ってみよう」と差し出された大小の石ころ。ワクワク感がたかまる。
触ってみて何を感じるか。考えた途端に私の脳のアンテナがピンとたつのがわかった。柴崎さんはそれを狙ってるのだ。気がとおくなるほどの長い年月かかってできた石ころが小さな石ころになって私の手の上に来るまでを話していただき、一緒にその膨大な年月に思いを馳せてしみじみ味わった。


■10:30船に乗る
書き忘れていたが今回は家族と一緒。うちの柴犬も連れての行程である。船には人間のみが乗船。ガイドさんは、マイクロホンで到着までの視界に入るものや地層の色の変わったところ、釣り人についてのお話をしてくれた。褶曲のミルフィーユ状の縞模様は、白っぽい砂岩の層と、薄く黒っぽい泥岩の色の違いでそう見えること。5000万年前に海の底でたまった層がプレートに乗って移動してきたこと。その途中で大きな力で押しやられるときにできたのが褶曲だと伺う。

漁船に乗せてもらってうみへ 水は透き通っていてすごくきれい



■ついに見た!フェニックス褶曲
船から見た褶曲の地層は、「よくきたねー」といっているかのようだ。
あんなに固い岩石がぐにゃ~っと曲がっている。どんな大きな力が…どんな長い時間が…この景観をつくったのだろう。

太古からのメッセージをうけとる。人間はウイルスに翻弄されているけれどもっと大きなものをみてください。もっと大きな時間の流れ感じ取ってください。
と言われているような気がした。

ネットに上がっているフェニックス褶曲の写真はほんの一部。やっぱり全部見なくちゃわからないことがあるなぁ。特に遠くの山がうねっているのまではここにこなければわからなかった。


岸に戻ると流れ着いたヤシの実があった。海は広いけどちゃんと繋がっているんだよね。

■お昼ごはん〜夫婦岩~古座川の一枚岩へ
「今日の潮の流れは夫と妻どちらが強いかな。」と柴崎さん。夫婦岩を回るように右からと左からの波が渦巻いている。地面から突き出た岩に見とれながらCAFEでランチ。野菜の味が濃い。とくにサラダにっていた小さなミカンは、初めて食べる味だ。ここでしか味わえないものに会えて嬉しかった。

一枚岩



昼からは、柴崎さんの車について古座川の一枚岩へ。500メートル続く一枚の岩。まずは、の対岸から全体像をながめる。ん?これが一部?どれだけ大きな火口だったのだろう。



大きなカルデラのハシッコの一部分なんだそうだ。
今度は、岩の真下でごくごく近景を眺める。
触ってみるとなんだか温もりがある。岩って冷たいとばかり思っていたけれど。柔らかくもろい感じまでする。「触ってみてください。」という柴崎さんの気持ちがわかる気がする。頭で考えていたのと触った感触が全然違ったからだ。岩の上の方には、チソウ類が生えていてとても無機質なものには思えなかった。夏にはたくさんの子供たちがここに遊びに来るのかな。一枚岩と私も友達になったよ。


岩に生えるチソウ類

■かくれんぼの名所へ
水の力でえぐられたくさんのくぼみがあるここは「滝の拝」と呼ばれる名所。近づくと人が入れるくらいのものもあるそうだ。そのくぼみに水がたまり金色に光っている。私が「何か陶芸の土が溶けたようなところがありますね」というと「それは良いところに気が付きました。何か熱が加わった痕跡があるのだと思います。」と教えてくださった。「子供たちと穴ぼこでかくれんぼできるんですよ」ときき、それは楽しいだろうとおもった。



■橋杭岩
古座川沿いの道を海にむかう。
巨岩が橋の杭のように並んだ景観は、写真では感じることができない時間と力の大きさを実感できる。実際に触った岩を持ち上げることなんて到底できないけれどその何倍もの大きさの巨岩が崖の上にのっている!!!「大津波が来てその力で乗ったのではないかと考えられていますが、その大きさは、東日本大震災のパワーの何十倍もの大きなものだったそうです。」と柴崎さんが言った。人間の想定以上のパワーが地球にはあるのだ!

杭のように海に突き出た橋くい岩


■潮岬ジオパークセンター
    お世話になった上野さんにお目にかかることができた。褶曲のできるしくみをくるくルハンドルを回しながら確かめることができる装置はとてもおもしろかった。この装置よく考えたなあ。
    水を流して侵食する様子も必見だ。
   褶曲ができる仕組みや カルデラとはどんなものか、子供たちにもよくわかるし、きっと私のように興味を持つ子がいるだろうと思った。

ジオパークセンターを出て望楼の芝を歩く。枕状溶岩を見ることができる場所もありました。枕って昔のまるいまくらのことね!


■あと何万年経っても
わたしたちのなかに地球の物質が受け継がれていくのです。と言われた柴崎さんの言葉はとても印象に残りました。
■石ころの絵本
これはいい本。柴崎さんに紹介してもらいました。すっごくわかりやすい。私の愛読書になりました。柴崎さんにも私の恩師原田憲一先生の「地球について」を紹介しました。今度お目にかかったら本のはなしをしたいなあ。
とても有意義な取材だった

桂雄三/文 平野恵理子/絵「石ころ ちきゅうのかけら」1991年月刊たくさんの不思議 福音書店


今回はとても有意義な取材だった。ガイドさんをお願いするとこんなにいろいろなことがわかるのか・・・。と感動した。理解の度合いが全然違うなあと思った。

感動が冷めやらないうちに新作に取り掛かる。今度の画面はM120×3枚で構成する。大型作品です。1940mm×2910mm。写真は、線描後支配色をおいたところ。



2022年この取材をもとに出来上がったのが「希望の地球(ほし)~不死鳥~」

第78回現展 第20室”俊英作家展”にて(国立新美術館)





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