宝塚花組『アルカンシェル』観劇_美しい虹

宝塚歌劇花組公演 ミュージカル『アルカンシェル』～パリに架かる虹～
（作・演出／小池　修一郎）

前回は、ナチス描写に焦点を当てて書きましたが、
物語の本筋にはそれほど触れない程度に、色々と思ったことを。

下級生にもライトを

もっとお役がほしい！！と言うと語弊があり、キャスト一覧にお名前がある生徒さん自体は通常公演程度います。
ただメインキャスト陣以外、（これまでの公演で比較的活躍されてきた生徒さんたちでさえ）正直殆ど台詞も見せ場もない状況。（※勿論、台詞がなくとも、皆さん生き生きとお芝居をされています）

帝劇演目など、プリンシパルキャストたちとアンサンブルキャストたちと……といった程度の規模のカンパニーであればありかなと思いますが、それを更に超える人数の演者が出演する舞台です。
小池氏らしいといえば小池氏らしい脚本ですが、欲を言えば、2時間半ある一本物ですし、もう少しだけ下級生などにもスポットがあたる箇所がある作品だと良かったかなと思いました。

何はともあれ退団公演

今回の「アルカンシェル」は、トップコンビの退団公演。
退団公演はトップのもの、などと昔からよく言いますが、軽やかなダンスと柔らかな雰囲気、そしてそのビジュアルで人気を博している柚香光さんの魅力が存分に生かされた演目であることは間違いありません。

演目・退団が発表になった際は、（所謂ダンサー系である柚香さんの退団公演が一本物？）と思いました。
しかし、作品解説に『宝塚歌劇ならではの絢爛豪華なレビューシーンを交えてお届けする～』とある通り、華やかなレビューシーンも多くあり、ピアノ生演奏もあり、お衣裳のバリエーションも様々…… ファンの方々の「観たかった柚香光」が多く詰まった作品ではないでしょうか。（個人的には、冒頭のピエロのシーンのアンニュイな雰囲気と美しい動きにも惹かれました。）

看板歌手のカトリーヌを演じるトップ娘役の星風まどかさんも、今回が退団公演。
か弱いヒロインというわけではなく、柚香さん演じる人気ダンサーのマルセルと対等な立場で意見を交わし、舞台をともに作り上げるパートナー。トップ娘役としてキャリアを積み上げてきた星風さんによく似合うお役だなと思いました。
（赤いドレス姿の横型スチール写真、とってもお綺麗で、絵画のようです。）
多幸感あふれるデュエットダンスも素敵で、日に日に輝きが増しているように感じます。

美しい光を望む

少しでも前方席で観たい！という方も多いかと存じますが、今回の公演、個人的には2階席からの観劇も良いなと思いました。
（舞台美術が隠れてしまったり、大階段上部にいらっしゃる生徒さんが見えなかったりのデメリットも勿論ありますが）

というのも……照明づかいが大変美しいです。

副題にある「～パリに架かる虹～」。舞台美術としても登場しますが、ラストシーンで舞台上に描かれる虹がとても綺麗でした。オペラでトップコンビを追いかけていると見逃す可能性もありますので、是非全景を。
デュエットダンスの後、柚香さんのソロダンスのシーンの照明づかいも好みです。美しい光に包まれた柚香さんを見て（嗚呼、退団なんだなぁ）と、しみじみと……

【照明】勝柴次朗（現在帝劇で公演中の『千と千尋の神隠し』もご担当されています）

それでもやはり気になるあれこれ

公演脚本が掲載されたル・サンクが12日に発売になり、購入しました。前回の投稿内容含め、色々と気になる点もあるので、次の観劇までに文字情報としてじっくり読もうかと思います。

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