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新国立劇場2024/2025シーズン『ピローマン』

新国立劇場小劇場で上演されている『ピローマン』を観に行ってきました。
前回の投稿からだいぶ間が空いてしまいまして……
間にも数作観劇していたので、そちらの感想も載せたいなとは思いつつ、衝撃が強かった本作を先に。

『ピローマン』
作:マーティン・マクドナー
翻訳・演出:小川絵梨子

『悲劇喜劇』11月号に戯曲

悲劇喜劇11月号に小川絵梨子氏訳の戯曲が掲載されると知り、観劇よりも前に購入。
観劇前に読もうかどうしようか、と思っていたところ、プレビュー公演を観た方から「観劇してからの方が!」と。というわけで、あらすじのみを頭に入れて劇場へ。
(これまでの上演なども観たことがなく、ストーリーも知らなかったので完全初見)
(結果的に、読まずに観劇して、良かったです!!)

衝撃強し

こちらの作品、以下のようなトリガーアラートが出ています。

本作には、フラッシュバックに繋がる/ショックを受ける懸念のある場面・表現が含まれます。
児童虐待、性的虐待、暴力、殺人、流血、銃声、差別的な表現

ピローマン公演案内より

これらを認知した上で観劇したものの、(あ、ちょっと駄目かも……)と思った部分もあり。特に残忍性の部分。個人的にはなかなかの刺激強めでした。不安な要素がある方は、観劇無理せず。

役者陣について(兄弟)

カトゥリアンは成河さん。成河さんの芝居で、過去に観たことがあり明確に覚えているのは、15年の『十二夜』と、23年の『ある馬の物語』。劇場全体・観客全体が引き込まれるようなお芝居をされる方だなと思っていましたが、今回も流石。(劇場毎に、その空間サイズに合わせた引き込み方!)

カトゥリアンの兄ミハエルは、木村了さん。『レオポルトシュタット』で拝見してから気になる役者さんでした。元々ご出演予定だった亀田佳明さんの降板で代役となり、稽古期間も短かったのではと思いますが、大変魅力的なお芝居でした。

※画像の下から、物語の内容に触れます

いつものクマたち

(※ここ以降、物語の内容に触れます)

【印象に残ったことや、気になったこと色々箇条書き】

・何故カトゥリアンは、あそこまで【物語】を残すことに強く執着するのか
(物語を書くことが、彼の人生において唯一の救い(?)逃げ場(?)であったから?)(彼が生きた証が、物語だけであったから、かな

・トゥポルスキの「そのままじゃおかしいでしょ。」という(カトゥリアンへの)台詞。
冒頭の(何故目隠しをつけたままなの?)という箇所と、後半の(何故跪いたままなの?)という箇所。トゥポルスキの口癖的なところなのか、もっと意味があるのか。

・ミハエルは、何故【嘘】をついたのか。何故嘘に選んだのが、『小さなキリスト』なのか。

・「三人の子供を殺してないって命に懸けて誓う」が引っ掛け問題だ、という話。(観劇中、ん?と、この台詞に引っ掛かりを覚えたものの、その時点では真意に気付かず、後から(あの台詞ーーー!!)となりました)

・トゥポルスキとアリエルの、「とっとと書け」「とっとと?」「さっさと」のところ。言葉遊び的な部分だと思うけれど、原文ではどんな言葉なのだろう。

・各所に言葉遊びのような箇所が多々。(面白い!)

”残酷なおとぎ話”の世界へ

感じたものも気になる箇所も、もっとたくさんあるものの、なかなかうまいこと言語化できず、もどかしく、何度も戯曲を読み返しています。表面上の感想ならどんどん書けそうだけれど、本質はより深いところにあるような。
表層を、ゆっくり剥がしていきたい。
緑色をしたコブタが、頭の中でウロウロしています。

『じゃあ、やっぱり何もかもそのままにしておくほうがいいね。』
凄惨で残酷なのに、どこか少しだけ温かい。
芝居・演劇というものの面白さを感じる作品でした。

#ピローマン #新国立劇場
【作】 #マーティンマクドナー
【翻訳・演出】 #小川絵梨子
【キャスト】 #成河 #木村了 #斉藤直樹 #松田慎也 #大滝寛 #那須佐代子 #石井輝
#演劇 #芝居 #観劇記録 #観劇

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