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    オリジナルの短編小説です。

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    文芸Webサーチ公式メールマガジン「B-Search NEWS」の連載「春田康吏のラボラトリー」 ※尚、メールマガジンは現在廃刊しています。

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    私が書いたオリジナル創作童話です。

最近の記事

連載小説「甘美に……」(1)

僕が祖父の家の屋根裏部屋で、その絵を見つけたのは夏休みのことだった。大学生は基本的に暇でバイトに明け暮れていた毎日だったが、ある日、祖父から携帯にメールがあった。 今は、高齢者でも簡単なメールくらいなら打てる時代。内容はと言えば、毎年恒例のお盆に親戚一同が集まるときに屋根裏部屋の片付けをしてほしいとのことだった。もちろん、少しのバイト代は出すとのこと。僕は、金が出るならと引き受けた。相当、処分品があるらしく汚れてもいい恰好をしてくるようにとも書いてあった。 当日は、毎年お

    • 第94回「消えた店員」

      メールマガジン「B-Search NEWS 2019年10月25日分」に寄稿した文章です。 先日、こんなニュース記事を見つけた。 飲食店からホールスタッフが消えていく http://shogyokai.jp/articles/-/2039 それほど外食をするわけではないが、それでも薄々感じていたことだった。 席にタブレット端末が置いてあるレストランが増えてきたのだ。 中には安い端末を使っているせいか、反応が鈍いタブレットもある。 「寂しい」とか「温かみがない」とかそ

      • 第93回「字幕派?吹き替え派?」

        メールマガジン「B-Search NEWS 2019年10月18日分」に寄稿した文章です。 少数派だと思うけど、ぼくは外国の映画やドラマを字幕版で観ない。吹替版があれば吹替版を選択する。 「えーー」という声が聞こえてきそうだが、ぼくも最初は字幕派だった。 しかしテレビの場合、字幕にしていると、そこに視線が集中してしまう。字ばかり読むようになり、全体の映像がきちんと把握できないことに気がついた。 それからというもの、ストーリー把握重視を考え、吹替版にチェンジした。 テ

        • 第92回「記録する意味」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年10月4日分」に寄稿した文章です。 国立国会図書館が、特定の著名人のブログを保存収集することにしたと発表した。 選ばれたブログは下記の通りである。 http://warp.ndl.go.jp/contents/special/special201910.html 「現代社会における生の情報を記録する資料として、それらを保存し、後世に伝える意義は大きいと言えます。」との記載もある。 個人的な感想として、後世に伝える

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          第91回「5億年ボタン押しますか?」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年9月27日分」に寄稿した文章です。 ある漫画から生まれた話で、5億年ボタンというものがある。 ざっくり言うと、そのボタンを押すと何もない空間に飛ばされて、そこで5億年生きられる。 お腹も空かないし、眠たくもならないし、気絶もしない。ただ何もない空間で5億年。 終わると、元の世界に戻れて100万円がもらえる。5億年の記憶は消し去られる。 そんなボタンを押しますかという思考実験の一種と言ってもいいだろう。 ぼくは、

          第90回「かき氷」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年9月20日分」に寄稿した文章です。 今年の夏は、かき氷を一度も食べなかった。特に意識していたつもりはないが、なぜか食べなかった。 かき氷と言っても、よくある氷が山盛りになっているものではなく、スーパーなどに売っているカップに入ったかき氷である。氷菓と言うそうだ。 特に、毎年「コーヒーフロート」という真ん中にバニラアイスクリームが入っていて、その周りをコーヒーのかき氷が囲んでいるものを好んで食べていた。それを今年は食べ

          第89回「宝くじには敗者復活戦がある」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年9月6日分」に寄稿した文章です。 皆さんは、宝くじを買われるだろうか。ぼくは気が向いたら買う程度。 損する確率の方が圧倒的に高い宝くじは、買うだけ無駄という人もいる。 その一方で、買わなきゃ当たらないという人もいる。 その宝くじ、ハズレたらポイとゴミ箱に捨ててないだろうか。 それはもしかすると、もったいないことをしているのかもしれない。 なぜかと言うと、毎年9月2日のクジの日にハズレ券を対象にした敗者復活戦とも言え

          第88回「好きなものにはまる。現実逃避としての」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年8月30日分」に寄稿した文章です。 現実から逃げ出したくなるときがある。しかし逃げたくても逃げられないときもある。 そんなとき、少しでも気を晴らすために、 Amazonプライムビデオでアニメを観る。 録画したドラマを観る。 ニコニコ生放送で将棋観戦をする。 読書をする。 そうでもしないと気が落ち着かない。そうしていても気が落ち着かないときもある。 他に何かやるべきことがあるんじゃないだろうかとも思うが、自分

          第87回「夏の推薦図書2019」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年8月23日分」に寄稿した文章です。 夏も終わろうとしているのに急に思いついた企画。 そんなに本を読んでいるわけではないけれど、オススメ本をあげておく。 そこにいるのに 著者 : 似鳥鶏 夏と言えば、ホラー。現代的な話のホラー短編集。大人になってから読むと、 こういう書き方をすれば怖くなるのねと思ったりもした。 あひる 著者 : 今村夏子 今や芥川賞作家になってしまった今村夏子氏。芥川賞作品ではないが、代表作とも言

          第86回「1人目の「ない」とか「できません」を鵜呑みにするな」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年8月2日分」に寄稿した文章です。 以前、ちきりんさんがこんなことを書いていた。 「買い物にもセカンドオピニオンが必要な時代」 http://cozalweb.com/s/11 要は、1人目の店員で満足いく回答が返ってこなかった場合、それを鵜呑みにするなということである。 こんなことがあった。映画館で、人気作品だと予約が必要である。いつも行く映画館で一度、予約せずに行ったら入れないことがあった。仕方なくあきらめて、家

          第85回「昔、広かったところが狭く感じる」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年7月26日分」に寄稿した文章です。 選挙の投票には、当日に近所の投票所に行って一票を投じるようにしている。市役所での期日前投票や郵便投票という手法もあろうが行けるうちはそうしている。 ところで、その投票所は保育園である。小さい頃、自分が通っていた保育園でもある。 今は新しく建て替えられて、そのときの面影は無くなってしまったが、選挙権を得てから初めて行ったとき、とても狭く感じたのである。 そういうことって、ないだろう

          第84回「ドクターマリオは何科のお医者さん?」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年7月19日分」に寄稿した文章です。 子どもの頃にファミコンでやってよく分からなかったゲームの1つに「ドクターマリオ」というソフトがある。パズルゲームで同じ色のブロックをくっつけて消していくものだ。しかしいまいちコツがつかめず、挫折してしまった経験がある。同じパズルゲームの「ぷよぷよ」は楽しむことができたのに。 動画を探していたら見つけた。 https://www.youtube.com/watch?v=g8pXd-Y

          第83回「障害者界隈がざわついたNHKスペシャル」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年7月12日分」に寄稿した文章です。 少し前に、NHKスペシャルで外国で安楽死をした人の特集を放送していた。放送を観た人の話は聞いたが、僕自身は観ていない。 NHKスペシャル | 彼女は安楽死を選んだ http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20190602 放送直後にFacebookのタイムラインで反響があったというか、障害者界隈でざわついていたので観て

          第82回「三つ子の魂なんとやら」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年7月5日分」に寄稿した文章です。 こんな話を聞いた。3歳までの親の対応によって、その人の性格や考え方が形作られるそうだ。 つまり、親が不安そうに接する時間が多ければ不安感が強い子に育ってしまうし、明るく接すれば明るい子に育っていく。 それがすべてではないと思うが、この話を聞いたときに思い当たる節があった。僕は、心配性なところがある。それは子どもの頃からだ。物事に対する不安感が他の人よりも強いと思う。でもそれはどこかで

          第81回「キャッシュレス社会、道半ば?」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年6月28日分」に寄稿した文章です。 フリマアプリで物を売ることをやっていると、宅配料金が気になってくる。いかに安く送れるかを考えてしまう。 今年始めに、ヤマト運輸のクロネコメンバーズカードというものを作った。このカードにチャージしておくと、そこから運賃を支払えるらしい。しかもこのカードで支払うと、クロネコメンバー割と言って現金で支払うより少し安くなるようだった。 キャッシュレス促進のためにやっているものと思っていた。

          第80回「説明書が無くても使えるのは、優れたプロダクト」

          メールマガジン「B-Search NEWS 2019年6月21日分」に寄稿した文章です。 ここ数年、家電製品を買い換えることが多くなっている。完全に壊れたというわけではないけれど、思うように動いてくれなかったり、そろそろだよねと思って買い換える。 ブルーレイディスクレコーダーから始まって、パソコン、加湿空気清浄機、電気シェーバー、エアコンなど。もともと、家電好きということもあるのかもしれないが、なかなかの大型物件を次々と買い換えた。 そして家電には決まって、説明書という