マガジンのカバー画像

短編小説

8
オリジナルの短編小説です。
運営しているクリエイター

記事一覧

連載小説「甘美に……」(7)

美咲は1時間後に、清のアトリエを覗いた。 そこには一心不乱に絵を描いている一人の男がいた…

連載小説「甘美に……」(8・最終話)

「魂の画家‐川島清企画展」 大げさなタイトルが付いた企画展が地元の美術館で開催されること…

連載小説「甘美に……」(6)

「それでは、準備してきますね」そう言うと、アイリは風呂場の脱衣場に向かった。美咲と二人っ…

連載小説「甘美に……」(5)

意外にも引き受けてくれるヌードモデルはすぐに見つかった。セミプロといったところだろうか。…

連載小説「甘美に……」(4)

「はい。分かりました」 若い女性のお願いには弱い。ただ、安請け合いしたものの、清の最近の…

連載小説「甘美に……」(3)

部屋に戻り、パソコンを開けると見慣れないアドレスからメールが来ていた。どうせ迷惑メールだ…

連載小説「甘美に……」(2)

川島清は今日もぼんやり外を見ていた。40の働き盛りと言われる時期に働かず、風の音に耳を澄ましているとは、いい気なものだ。彼が一つやれることと言えば、絵を描くということだけだった。 少し前までデイサービスというのに通っていたが、バカバカしくなって止めてしまった。一言で言えば、そこにいる人たち(職員や利用者(多くは老人ばかりだった))と合わなかった。 昼食に前日のカレーを温めて一人で食べていると、窓から見える草木や花を描くのも飽きたなと思った。川島の絵は、ただ一人で描いて自己

連載小説「甘美に……」(1)

僕が祖父の家の屋根裏部屋で、その絵を見つけたのは夏休みのことだった。大学生は基本的に暇で…