連載小説「甘美に……」(2)
川島清は今日もぼんやり外を見ていた。40の働き盛りと言われる時期に働かず、風の音に耳を澄ましているとは、いい気なものだ。彼が一つやれることと言えば、絵を描くということだけだった。
少し前までデイサービスというのに通っていたが、バカバカしくなって止めてしまった。一言で言えば、そこにいる人たち(職員や利用者(多くは老人ばかりだった))と合わなかった。
昼食に前日のカレーを温めて一人で食べていると、窓から見える草木や花を描くのも飽きたなと思った。川島の絵は、ただ一人で描いて自己