フィルムカメラで撮ること
昨今、なんとなーくフィルムカメラが流行っているとかいないとかで、フィルムの値段も高騰しているのになんとまあ贅沢なことと思いながら、わたしも出がけにハードオフで見かけた状態のいいフィルム一眼を買って帰ってしまったり。とはいえなにかとお金がかかるし撮った写真を見るまでも面倒だしで、あまり使う機会はありません。
ですがわたしはもともと、1年ほど前にフィルムカメラから写真に入ったくちでして、その撮影体験のおもしろさや、カメラという機械そのものへの浪漫的な情動、出てくる画の美しさなどなど、魅力に感じる部分も多分にあります。
しかしなぜそんなにおもしろいかねという話になりますと、わたし個人としてはひとえに、撮影者に許された無責任さにあると思っています。ファインダーを覗いて構図を決め、露出を決め、撮る。実はデジタルより撮影時に考えることが少なくって、現像はラボ任せですから、純粋に撮影に没頭できるのですね。
なんならF11くらいまで絞ってパンフォーカス撮影したっていい。目測式のオリンパスペンなんかはそんなふうにやっておいて、気が向いたら被写体に向けてシャッターを切る、ただそれだけ。そういった無責任さが、気負いのない散歩の延長線上にほどよく調和してくれます。デジタルではなかなかそうはいきません。結果がなまじ見えているぶんだけにこだわり始めて、足が止まる。それが楽しいのではありますが、それでいい写真が撮れるわけでもありません。
つまりもっと肩の力を抜いちゃって、結果はあとの祭りでおまかせで、OVF越しの生の世界と向き合うのがやっぱりいいんじゃないかなって。実際、わたしのメイン機であるE-P7にOVFを装着して出かけてみると、なんともサクサク写真を撮るものですから、撮影に対して真面目すぎるなくてもいいのかなと。
そんなわけで最近はX-Pro1でOVFだけを使って、JPEG撮って出しの擬似フィルムカメラ体験をしたりしています。忘れましょう、ヒストグラムなんて、水平水準器なんて、ホワイトバランスや厳密なピント合わせなんて。デジタルを捨てたそのときはじめて、自由に自然を見られる気がするのです。
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