ディズニーランドで危険な目にあった話


ディズニーランドで、ミッキーの耳を増やし顔面を囲えば花のようになると思い立ち実行したところ、思ったより不気味な感じになってしまった。

しかも、友人とはぐれた。
園内を耳だらけの不気味なミッキーが仲間を求め練り歩く事となった。
その道中、同じく迷子の子供に出会った。
近くにいた親切なカップルが協力してくれキャストを探しに行ってくれている間、子供は「迷子じゃない」と先に私に釘をさした。
実感が沸くと悲しくなってしまうのだろうと思い頷くと、事情を知らぬ親切なカップルがキャストを連れ
「この子、迷子です」
と、地雷を踏み抜いた。

子供が泣きそうになったので私も迷子であると主張したが、私の場合は「迷『子』」ではないなどと直前に頭に過った為
「人です」
と、種の段階からの自己紹介となった。

キャストとカップルの動きが一瞬止まった。
子供も何かを感じ取ったのか涙が止まった。
子供が安心するよう、私も迷子であるが元気だと伝え、励まそうとしたが
「私もずっと路頭に迷っていますが、強く生きてますよ」
などと、園内ではなく人生に迷っていそうな発言となった。

そもそもミッキーの耳だらけの時点で、風貌から迷走を極めている。
彷徨っている間に買った私の手に握られている食いかけのチキンがより哀愁を漂わせ、私の元気さは子供では無く大人に妙な効力を発揮した。

とりあえず迷子センターへ行く流れとなり、安心したのも束の間、子供がザリガニを思わせる握力で私のズボンを離さず動かない事態が発生した。
しかも、身長差がある為、若干ズボンが下がり、私の露出度がクマのプーさんに匹敵しようとしている。

100エーカーの森に私という名の暗雲が近づいている。
人のプーさんは国家権力に弱いため、罪にならぬよう必死の抵抗である。

その最中に子供の親が現れたが、頭が耳だらけの不気味な者のズボンを必死に掴んでいる我が子の姿を目にする事となった。
「何やってるの、うちの子」
と、思った事だろう。
子が世話になったという感謝の意以外に、私のプー化の危機についての意も含めた「すみません」が、母親の口から放たれた。

親子は無事に再会を果たしたが、私はまだ路頭に迷っている。
ふと、スマホを見ると友人から
「プーさんのハニーハント前で落ち会おう」
と連絡が入っていた。
しかし、私の手元に地図はない、あるのは食いかけのチキンだけである。

この装備では全く辿り着ける気がしないのでキャストに道を訊ねると、まだ近くにいた親切なカップルの彼氏から「何故こんな目立つ頭をしているのに仲間からはぐれたのか」という疑問が吐露され、キャストを突き刺していた。

「どちらへ行かれますか?」
と、キャストが若干震える声で訪ねたのでプーさんのハニーハントだと伝えようとしたが噛んだ為に
「長さんのハニートラップ」
と、夢を見せた後に地獄へ叩き落とすタイプの何かになってしまった。

長(チョウ)さんとは一体誰なのだろうか。
とりあえずピンチである事は伝わった。
長さんも心配であるが、そんなものを夢の国で探す方の精神も心配である。

私のこの日のディズニーの思い出は、この記憶で塗り固められている。

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