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津和野高校総合的な探究の時間【T-PLAN】全体像と5つの特長2020

島根の西端津和野高校コーディネーターめありが、総合的な探究の時間【T-PLAN】2020年度の実践について綴ります。

津和野町・津和野高校紹介

津和野町は、人口約6800人の山陰の小京都。

「まち全体が学びの場」と銘打ち、教育コーディネーターが保育・小学校・中学校・高校を合わせて8名在籍している町でもある。

津和野まちぜんたい

津和野高校は、「やってみたい」を「やってみる」にする学校だ。
全国から入学生を募集する地域みらい留学を実施しており、2021年現在、在校生の1/4以上が県外生。学校内外で高校生が学び、遊び、育っている。

ツコウの総合的な探究の時間【T-PLAN】とは

【T-PLAN】とは、津和野高校(通称:ツコウ)の総合的な探究の時間の取り組みを指す。2019年度までの実践は、HPに報告書として掲載されている。

サンフランシスコ探索 YouTubeサムネイル

【T-PLAN】の目的は、探究的な活動を通し、協同的な課題解決の学び方を身につけるとともに、地域や社会に対しての視野を広げ、社会貢献するための自己のあり方や生き方について考えること。

また、【T-PLAN】で育てたい資質・能力は、学校のグランドデザインに基づき「挑戦する意欲・表現力・豊かな感性・コミュニケーション力・寛容な心・当事者意識・行動力」と位置付けている。

そして、これらの目的を達成するため、2020年度は地域と連携した5つの特長的なカリキュラムを実施した。

【T-PLAN】5つの特長
①ブリコラージュゼミ 
②トークフォークダンス
③プロジェクト活動
④オープンスクール発表
⑤ふりかえり

①ブリコラージュゼミ

【概要】
1年生が五感を使って学ぶ、選択制の体験型講座年3回開催。
「ブリコラージュ」とは、フランス語で「日曜大工」という意味だ。
津和野のひと・こと・ものを組み合わせた講座を一度に約10講座開催し、生徒は受講したいものを選択する。講師は地域の方々

【目的】
・生徒に様々な体験や町の大人との出会いを届けること
・生徒が「今、身近に、自分の可能性を広げてくれる人や場所がある」と
気づくきっかけを作ること
・自分の興味関心や自分の感情がいつ動くのかを知り、自己理解を深めること

ブリコラ②学年通信用.pptx

ブリコラ②学年通信用.pptx (1)

②トークフォークダンス

【概要】
1年生と地域の方が同数集まり、短い対話を繰り返すコミュニケーションと出会いの場。「今日朝何食べた?」という軽い話から、「将来何したい?」といった深い話まで。2020年度はオンラインで6拠点分散開催地域参加者は90名年1回開催。

【目的】
・生徒がコミュニケーションに対して前向きになり能力が向上すること
・生徒が「今、身近に、自分の可能性を広げてくれる人や場所がある」と
気づくきっかけを作ること
・ブリコラージュゼミで得た学びや変化を相手に伝えることにより、自己理解を深めること

スクリーンショット

ブリコラージュゼミとトークフォークダンスにより、生徒は1年次に浅く広く様々な津和野のひと・こと・ものと関わる。2年次のプロジェクト活動をより主体的に行うための、種まきの期間とも言える。

③プロジェクト活動

【概要】
2年生が個々の興味関心に応じたプロジェクトに取り組む。その種類やジャンルは多岐にわたり、2020年度は28種のプロジェクトが生まれた。半年~1年間かけて実施。

【目的】
・自ら学び行動し、他者と協働する力を身につけること
・多様な価値観を尊重し、地域社会に貢献する態度を身につけること

▼プロジェクトの中身・伴走については、こちら

28種類のプロジェクトは、難民問題からお化け屋敷企画まで、自由度の高さが特長。生徒の「やってみたい」を大切に、多様な地域の方々とつないでいく。

④オープンスクール発表

【概要】
3年生全員が【T-PLAN】での学びや変化を深く掘り下げ中学生に発表。タブレット・紙芝居など、発表の形式は自由。最後に発表そのものをふりかえり、進路選択に活かした。

【目的】
・自ら考え表現力を身につけること
・内省を深め、自己理解を深めること

⑤ふりかえり

全学年が活動のたびに行う。
活動をやりっぱなしにせず、どこで自分の感情の針が振れたのか、どんなときに嬉しい・悲しいと思うのか、何に興味関心があるのか、うまくいったのはなぜか、うまくいかなかったのはなぜか、考え言語化する。

サンフランシスコ探索 YouTubeサムネイル (1)

【T-PLAN】全体を通して

「自分とは何者か?」
「自分らしさとは何か?」
「自分は何が満たされていれば幸せか?」

様々なひと・もの・ことと関わりながら、大人も答えが出ないこれらの問いに向き合い続けるのが【T-PLAN】だ。
その手段は、机の前でじっと考えるのではなく、まちのひと・こと・ものに触れること。知って、やってみて、ふりかえること。
どうなるかは未知数だけど、わくわくする旅路だ。

【T-PLAN】は進化を続ける。
【T-PLAN】そのものもまた、探究であり、挑戦だと思う。

また読みにきてくださると嬉しいです。