中国ベンチャーに学ぶ・贰拾壹「業界の発展を支える"強み"」

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🔳ITの強みが自動車業界の発展を支える

丸紅が資本業務提携した中国の新興電気自動車(EV)メーカー「BYTON(拜騰汽車)」が、中国本土での事業を7月1日から一時的に停止すると発表し、資金繰りの悪化による人材削減を始め、コストダウンによる戦略の立て直しを迫られています。

BYTONは、自動運転などの先端技術を扱う北米本社をシリコンバレーに置き、2019年にドイツのフランクフルトで開催されたモーターショーで、SUVタイプの高級EV「M-Byte(エムバイト)」を初公開しました。

これを中国で2020年、米国で2021年に発売すると発表し、一時はテスラのライバルとなるかとの期待をされていた矢先だけに、とても残念なニュースとなりました。

そんな中、家電大手の美的集団(びてきしゅうだん/Midea Group)と戦略提携の協定を結んだ「宝能汽車(Baoneng Motor)」や、民間企業の「吉利汽車(Geely Automobile)」が早くもデューデリジェンス(DD)を行ったとされる話もあり、BYTONの今後の行方に注目が集っています。

中国の自動車市場はおよそ年間2,500万台と言われており、断トツで世界トップ規模を誇ります。

2位の米国が約1,700万台、3位の日本が約500万台ですから、その数の差に圧倒的な開きがあることがわかると思います。自動車販売は全世界でおよそ9,000万台の市場ですので、上位3国で世界の半分以上約52%を占める割合となります。

一方、メーカー別に見てみるとドイツの自動車メーカー「VW(フォルクスワーゲン)」が2019年の販売台数を1,097万4,600台として世界ランキング第1位となっています。中でも中国はVWにとっても最優先の市場となっているので、中国に集中して中国人の嗜好をとらえ、中国向けモデルのラインナップを急拡大して、とにかく売れるだけ売っています。

▼2019年グローバル販売台数トップ10(MARKLINESより抜粋

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同社は今後の戦略として「ディーゼル車からEV(電気自動車)への変換」や「車を情報端末として扱うソフトウェア産業への注力」を挙げていますが、これはVWの最大市場である中国が正に国を挙げて進めようとしているCASEにも乗っ取った施策であると言えます。

ちなみに、世界第2位はトヨタで2019年は1,074万2,122台とVWに迫る勢いです。トヨタも中国でのEV強化を掲げており、中国自動車市場の戦いはEV市場の制覇にも繋がる重要な戦いと位置付けられそうです。

3位に位置するルノー・日産・三菱自動車連合が同じく1,015万5,193台としたのに対し、4位のGM(ゼネラルモーターズ)は771万7,930台とかなり差を開かれた結果となりました。

ドイツ製や日本製の自動車はしっかりとした作りで故障しにくいのがウリとなっています。特に日本製の自動車はそこが最大の特徴でもあるので、今までに築き上げたブランドの信頼値が結果として支持に繋がっています。

こういったハードウェアの整備が中国はまだ技術的に追いつくことが難しい為、世界と勝負しているソフトウェアの土俵であれば戦える可能性があるということで国の方針を新技術を駆使した新しい電気自動車の世界へとシフトさせて行きました。

元々中国では環境問題の解決が課題でもあった為、排気ガスや工場から出る汚染物、一時ニュースになっていたPM2.5問題など大気汚染との向き合い方も重要な懸念事項でした。つまり、従来のガソリン・エンジン自動車の領域においては、とても不利な一面があったのです。

そこで、国が打ち出した方針がEVの奨励です。企業が生産する自動車に占めるEVの割合を1割に求められたり、エンジン自動車整備工場の営業認可が下りにくくなったり、また、消費者がEVを購入する際の補助金を設けたり、と需要と供給を少しずつコントロールし始めました。

そして、EVならではの強みを最大限に生かし、かつ、より快適で豊かなカーライフの実現を目指して提唱されたのがCASEという考え方です。

コネクテッド(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Sharing)、電動化(Electrification)の頭文字をとってCASEと呼ばれていますが、自動車と自動車間で、もしくは自動車とネットワークで繋がることによって、ただの電気自動車という発想ではなく、その先にある暮らしや人々の生活をよりよくするための自動車のあり方や、その周辺のビジネスが大きく変わろうとしているのです。もちろん、そこにはAIや5Gの恩恵が少なからず関係してくるので、更に強固なインフラが整備されてくるでしょう。

この為、中国のIT系企業はますます重要な存在になってくると言えます。
これからの中国自動車業界の繁栄と共に、技術的にも役割的にも大きな意味を持つベンチャーやスタートアップが創出されていくのかもしれません。

<続く>

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