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【読書感想文】『キッチン』

『キッチン』吉本ばなな

「決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざしが、くりかえす日々が自然と決めてしまうのだ。そして人によってはこうやって、気づくとまるで当然のことのように見知らぬ土地の屋根の水たまりの中で真冬に、カツ丼と共に夜空を見上げて寝転がらざるをえなくなる。」

お恥ずかしながら吉本ばなな先生の小説を初めて読みました。

陽の中で陽を突き進む人もいれば、陰の中で些細な陽を見出す人もいる。
死が隣り合わせにあるからこそ、温かみを感じれるそんな小説でした。

冒頭の引用は一番好きな箇所。

ネガティブな情景の中で、普段は何にもならないカツ丼が温かみを出していて、それと共に夜空を寝転んで見上げるんです。真冬に。

たまに一昔前の表現だなーってところも、急にでてくる「ヒズマザーは言った」の独特な表現も良きでした。

次は何を読もう。

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