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コントロールできる感情なんて

「感情的な人」と聞くと少しネガティブなイメージがある。感情のコントロールができない人、情緒不安定な人が思い浮かぶ。「すぐ泣かない」「そんなことで怒らない」と言われて育った人も多いだろう。感情的な人=ちょっと面倒というイメージはある。

しかし最近、私の中でそれが覆りつつある。もちろん、自分の機嫌を自分で取れない人のことではない。
喜びであれ怒りであれ、心が揺さぶられたときに素直に感情を表現できる人の話だ。

ちなみにこれはタイトルからもわかるように、感情がコントロールできてしまう人間の嘆きだ。笑


面倒な人であっていい

私が「感情的な人」に対するイメージが変わったきっかけは、今ハマっているアメリカのファミリードラマTHIS  IS USだ。

とある家族の一生が、過去現在未来を行き来しながら描かれている。脚本も構成も役者陣も素晴らしく、毎回自分でも驚くほど心が揺さぶられ、涙を流している。過去イチ大好きな作品だ。

これは単なるアメリカの幸せ家族の話ではない。
親であろうが子であろうが、老若男女関係なく人間の弱さや矛盾、不完全なところもかなりリアルに描かれている。



私はこのドラマに出てくる登場人物たちの、繊細さ、素直さ、不器用さに今ものすっごく惹かれている。見方によっては面倒な人たちだとも言えるが、人間って本来は、これほど感情的で面倒な生き物なんだと思う。そんな彼らが愛おしい。

本当に大切な人たちの前では、面倒な人であっていい。本当に大切な人たちのために、面倒になれる人間がいい。

私たちはいつから感情を「コントロールしよう」と思うようになったんだろう。どんなときも感情がコントロールできる人間ってなんだか寂しい。



感情を作り置きしない

自分は感情が豊かなほうな人間だと思う。感受性も人一倍強い。だけど、そう見られることは少ない。幼い時から、特にネガティブな感情を表に出すのが苦手だ。なんの苦労もなく自分を納得させ、コントロールする。

社会生活ではそれがいい風に働くことが多いけど、時々自分を「人間味がないな」と思う。そもそも興味がないっていう場合もあるけど、どっちにしろ感情的になることはほぼない。

私は、腹が立ったり悲しい思いをしても「このまま感情的に伝えても言いたいことが伝わらない、傷つけたくもないし頭を冷やしてから言葉を選んで伝えよう」となるタイプだ。

いい関係であれるようにと自分なりに感情をコントロールし、それに伴うストレスは仕方ないと思っていたが、今はそれが少し違う気がしている。

側から見れば平和的で効率的だけど、それを伝えられた相手に私の「温度感」は伝わらなかった。



出来立てホヤホヤの一番おいしい状態よりも、「作り置き」という効率さを優先して冷蔵庫に入れているようなものだ。

時がきたら伝えよう、と思っているうちに鮮度が落ちていく。しまいには作ったことすら忘れる。でも消えるわけではないので、いつか心の奥底から鮮度を失って出てくる。それを受け取ってほしいというのも難しい話だ。

そんなことが、お互いの間に生まれたかもしれない幸せを逃すことになるのかも、と思った。


THIS IS USでは家族同士やパートナー同士のぶつかり合いがたびたび描かれる。

そもそも言い合いの喧嘩というものをしない私は、いつも心をザワつかせながら見ていた。最初は「普通に話し合えばいいやん」と思っていた。でも徐々に、感情だって言葉と同じくらい大切なコミュニケーションツールであり、相手に伝えるべきものなんだと思うようになった。

昔からネガティブな感情を厄介者扱いしているところはある。できればハッピーでいたいし、面倒なことは避けたい。でも、それも認めるべき大切な感情だった。

言葉はシンプルでわかりやすい。だけど感情でしか伝えられないものもある。感情で訴えるには限界があるように、言葉にも限界がある。

私にとっては、相手が大切な人であればあるほど、自分の心から湧き出てくる感情を鮮度100パーで伝えるって、大事なのかもしれない。私は感情をいつも自分の中で処理して鮮度を失わせてから論理的に話している。
ちゃんと伝えたいからという反面、その方が自分の心のダメージが少ないからなんだろう。


コントロールして自分を守っている

私は、感情をコントロールすることで自分を守っているのかもしれない。自己開示して否定されることや、受け入れられずにそれで関係が終わってしまうことを恐れているのかもしれない。いつの間に、こんなに勇気がいることになったんだろう。

THIS IS USでの、互いに感情的に全力でぶつかり合ったとしても「私たちなら大丈夫」と内心思っている関係がとても素敵だと思った。
何があっても必ずどちらかが歩み寄り、許しあい、仲直りしている。彼らには、相手の本音に傷つけられたとしても、それが相手の気持ちだと受け入れられる心がある。いつも仲良しであることがいい関係とは限らない。彼らの信頼関係がすごく魅力的だ。



パートナーとそういった関係を築いている友達がいる。オーストラリア人の彼氏がいる子で、話を聞くたびに、二人の関係性にとても心が温かくなる。もちろん私には見えていない大変なことの方が多いと思う。でもその子の話からは、いろんな違いを乗り越えている二人にしか築けない唯一無二の関係であることが伝わってくる。


そんな人と出会えることはとても幸せなことだ。そしてそれはラッキーなだけでなく、自分たちで築いていくものでもあると思う。私もこれからの人生で、大切な人とそんな関係を築いていきたいなぁと思わせてくれた。
愛おしい二人だ。




「人間」しながら生きていく


『THIS IS US』は、シーズン6まであり、1シーズン18話、1話50分弱のかなり長いドラマだ。私は最近見始めたばかりなので、まだシーズン2にいる。

すでにこのドラマには、人生で大切にしたいことが詰まっているように感じる。

人生何があるかわからないし、そのとき自分が何を感じどんな選択をするかなんて、その時の自分にしか分からない。でも、さまざまな人生のターニングポイントで私はこの作品をまた見たくなるだろうな。


私がこの登場人物たちに惹かれるように、コントロールできない感情こそがその人を魅力的にするんだと思う。

自分らしく「人間」をしながら、面倒な人生を歩もうと思えた。なんとなく、全て見終わった頃には自分の在り方が少し変わっている気がしている。


最後まで読んでくれてありがとうございました🦋


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