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タイトルすら思い浮かばないけど、おめでとうとまた今度。

1人でお祝いする誕生日にはもう慣れた。 

もう両手では数えきれないくらいやったから。 

好きだったコーヒーと甘いものを買って、
1人でおめでとうって心で言って、
生きていたらもう50歳過ぎてるらしいよって
笑う。
32歳までしか知らないから、
想像出来ないけれど、
あまり変わらない様な気がする。

24歳だった私はもうすっかりおばさんの域にどっぷり浸かっていて、別にそれも悪くはないと思うってるよ。

生きていれば痛い事も有るし歳も取る。
それだけだよね。

10月はやっぱり毎年辛くなる。
正直言えば、一緒にお祝いしたかった。
2年一緒にいて、
お互いの誕生日を過ごしたのは1回きり。
しかもその1回が、
まぁ私の誕生日は少し遠出して、映画見て、
途中に私が寝ちゃって、
それで言い合いにもなったけど、
寝た私も悪いけど、
ぶっちゃけ、英語難しいのよね。
あまり心理的に来るようなサスペンスとか
分かり難いのよね。
でもそれくらいで楽しかったけど、
あなたの誕生日は
これ以上ないわってくらいの大喧嘩になって。

私はやさぐれて飲めない酒をパカパカ飲んで、
案の定床にへたり込んでしまって、
セキュリティのいかついオジサンに抱えられて
場外。
しかもオジサンが
私を肩に抱えて運んだもんだから、
私はオジサンの背中に思いきりリバースしてさ。

あれは私も良くないけど、
オジサンも抱え方が良くないわー。
それでオジサンがブチ切れて、
飛び火して、
初めて行ったバーだったけど
出禁みたいになっちゃってさ。

あれはさ、
あなたが女友達をずっとずっとhoneyって呼んでたからよ。
彼女が特別な大親友だって心底から分かっているけれど、
日本人の私からしたらhoneyって使うのは特別な人って、違う意味があるんだよ。
あなたの線引きと私の線引きが違うって何回も言ったけど、そこはお互いに譲らなかったのよね。

Norikoはsweetyだって、
だから全く違うんだって言われてもね。

未だにあの1回きりのお誕生日を思い出すと、
後悔しかない。

仲直りした時、
これから何回もお誕生日なんか来るんだからって言ったけど、あれっきりになってしまった。
2回目はそれぞれの国で
結婚に向けて書類取ったり
ビザをどうにかしたり、
違う国で生きていくからお互い仕事探したりね。
電話だけでお誕生日おめでとうって。

なんであの時の私はhoneyごときの言葉で、
やさぐれて飲んじゃったかなぁ。
brideになる前に喪主になるなんてって、
みんながオイオイ泣いてくれているのを思い出す。

白いドレスを着たかったよ、あなたのために。
黒い服じゃなくってさ。

そんな後悔を
毎年じわっと味わう10月も終わる。

一つだけ、
あなたを亡くして分かった事は、
大切な人の死を受け止める事が出来た時、
私の生は今まで以上に深くなった。
どれだけ自分を傷つけても意味が無くて、
他人を憎んでもさらに無意味だと分かった。

今日が終わるって事は
今日が二度と来ない日であるという事。

あの時、私たちが思い描いた未来とは
全く違う今を、私はあなた無しで生きています。


でも私は笑っています。
あなたを知る人は少なくなって
あなたを亡くしてから知り合った人が
大半を占めているけれど
でも
あなたの事はずっとずっと
話していきます。

忘れられない。
20年以上たって
あなたがどんな声をしていたのか
どんなあたたかさだったのか
朧げになりつつあるけれど
一緒に過ごした日々は忘れない。

もらった言葉は忘れない。

あなたを忘れない。

10月生まれのあなた、
お誕生日おめでとう。
また来年。
また今度。


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