vol.09イタリア買い付け旅行記「白トリュフ祭りのアルバ」
2001年10月26日(金) 9日目
本日のハイライト
・白トリュフの町アルバでトリュフを堪能する
東から西への大移動
マルチェロ・マストロヤンニの常宿であったロカンダ”Da Lino”をチェックアウトし、今日はヴェネト州から、ピエモンテ州への大移動だ。イタリア北部を東から西へと横断するような形である。直通の電車は存在しない。特急やローカル線を4回も乗り継ぎ、ほぼ丸1日かけての移動である。めざすは、イタリアワインの雄バローロ・バルバレスコのふるさとピエモンテ州はアルバの町。FIAT企業城下町で有名な、トリノ市南東部の山の中である。
何故この地なのかというと、今はちょうどトリュフのシーズン。昨日の街と同じように小さな田舎町であるが、安くて素晴らしい料理屋が多く存在し、トリュフを始めとした山の幸をふんだんに楽しめるのだ。宿泊先となったアルバ駅前の三ツ星ホテル「HOTEL SAVONA」に到着したのは、既に夕方5時を回っていたのであった。
ホテルSAVONAのロビーに並ぶワインたち
ここでもまた問題発生。なんとまたパソコンがホテルの部屋の電話線につなげないのだ。設定をいろいろ変えてみたりしたものの、ダメ。ホテルのフロントに聞くと、「確か以前ノートパソコンをつないだ人は、外線発信のダイアルゼロ(0)の前にカンマ(.)を入れていた」との情報を得る。早速この設定に直し、さらにプッシュ方式だったので「トーンを待たずに接続」に変える。ついにようやく接続に成功。
たまったメールに目を通すことが出来た。もしかしたら、ローマやコネリアーノのホテルでも、この方法でアクセスできたかもしれなかった。ちょっとした設定の工夫がいろいろとあるのだ。旅をしていると、勉強になるね。
"OSTERIA DE‘LLA ARCO" (オステリア・デッラ・アルコ)
中山氏ご推薦の、「安くて美味い」オステリアに、今日はなんとか予約がとれた。トリュフ祭りの最中のこの期間、どのレストランも既に予約が沢山入っており、なかなか席が取れなかったらしい。キャンセルが出たため、我々は幸運にも安くて旨い夕食にありつくことができた。
ホテルから歩いて数分の奥まったところにあるその店は、「オステリア」の名が示すとおり、格式ばらない定食屋の値段なのだが、どっこいインテリアはとてもお洒落である。日本なら十分気取ったリストランテと呼べるセンスの良い内装には驚いた。
さらにもっと驚いたのは、その料理の内容である。洗練された味付けは、なかなか予約がとれないのも仕方がないと納得させられるものがあった。特筆もののメニューは以下の通り。
Menu della Tradizione「伝統的メニュー」とMenu Degustazione「お味見的なメニュー」の二種類があるがそれぞれ値段はサービス料込みで50000リラ(当時でだいたい2900円)。どちらのコースでも白トリュフがふんだんに散りばめられているので、日本なら軽く1万円以上するコースであろう。
アルコのアンティパスト
キノコと3種の肉。トラディツィオナーレ・バルサミコで味付けしてある。超美味!キノコのアンティパストほんの少しのバルサミコが効いている一品。バルサミコはここではMALPIGHI社の12年熟成のものを使用し販売も。
ごく薄くスライスされた牛肉カルパッチョ。白ワインビネガーによりピリッと引き締められた一品だ。
アルコのプリモ
手打ち卵麺タリオリーニ(タヤリン)。この地のパスタはほとんどこれである。パルミジャーノだけをたっぷり使用しただけなのに、深みのある味はバターとサルビア(セージ)が演出している。そしてアニョロッティという詰めもの入りのラビオリ。肉汁がぎゅっと出てくる。これもパルミジャーノが降りかかる。バターとサルビアで味付けしてあり、ボリュームたっぷりだ。
アルコのセコンド
ウサギ肉のグリル。ウサギは鶏肉に似た味でとても食べやすい。付け合せのポテトが美味い。
アルコのデザート
柿とブロッコリのムース。栗のクリームが添えてある。イタリア語では日本の柿はCACHI(カキ)なのだ。偉大なる日本の果物がヨーロッパにも!
最後のパンナコッタはミルクの風味がたまらん!洋ナシ添え。
あんまり美味しいので平らげてしまったけれど、自分の胃袋の小ささを忘れていました。自分は高校3年の秋に胃潰瘍で胃袋切っちゃっている。あれから20年以上過ぎていればもう元に戻っているだろう、と過信してしまうのだ。ホテルの部屋へ帰ってからもなかなか寝付けず胃薬を飲む。
こんなに食べて、ワイン除いて50000リラ(約2900円)のコース(ワイン除く)にもかかわらず、中山氏は「トリュフ祭の期間だから、少し割高なセットメニューだったな。」と言い放ったのでした。
(注:イタリアの物価は2020年現在、当時の約2倍以上に上がっています)
サポートは、今以上に役にたつ記事作成のために使わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。