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埴輪紹介所

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はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
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#馬

こまりんぼ【埴輪紹介所その1】

埴輪紹介所はじめました。 初回はこまりんぼ。 埴輪ならではのプロポーション。 上着の下のトリック。 横から見ると、とっても細い。 クツは平べったい。 でも鼻は高く、立派なミズラを結っています。 弓もユギもないけど、鞆を腰に下げる。大刀も。 肩甲(かたよろい)と籠手(こて)で腕はがっちりガードも、胴体はのっぺりで甲っぽくない。大丈夫か。 冑は謎多し。 いつもこまり顔。ため息が聞こえる。 そんな彼がわたしは大好き。 群馬県藤岡市白石字滝出土の男子埴輪。 所蔵はトーハ

たまには放牧【埴輪紹介所その152】

バランスの取れた体型。 馬形埴輪にしては。 この埴輪は、埴輪ファン以外にもけっこう知られている。と思う。 なぜなら、馬具の説明を担当しているから。 トーハクの解説馬。 ただし、解説の図は別の埴輪。 おそらく埼玉県熊谷市上中条日向島出土の馬形埴輪。 解説馬には馬鐸(ばたく)がない。 そのぶん、杏葉(ぎょうよう)をたくさん下げている。 口元の鏡板(かがみいた)はだいぶ丸っこいが、おそらくf字形。 ところでこの埴輪、いつも壁のケース内に展示されています。 埴輪群像

明白にオス【埴輪紹介所その151】

丸い目。まぶたはややふくらむ。 轡(くつわ)につけられた鏡板(かがみいた)には、鈴が6個もついている。胸には花のような馬鐸(ばたく)も4つ下げている。 うるさくてかなわん、と思うが、埴輪の鈴は鳴らないから彼は平気。 「彼」? そう「彼」です。 見出し画像では盾持ち人埴輪が隠している。 性別が明らかな埴輪は、馬形埴輪のほか人物埴輪にもありますが、ごくまれ。 おまけ。後ろから見ると 脚が斜めにカットされている。蹄を表したらしい。 埼玉県熊谷市上中条日向島出土の馬形

80%子馬【埴輪紹介所その141】

かつて犬形埴輪とみなされていた。 しかし子馬形埴輪に訂正された。 決め手は足元です。蹄です。 しかしこれだけでは犬ではないと言い切れない、とはにこは思う。 安定のために足の下端を広げただけかもしれない。吉備器台のように。 そして決定的な部分がない。 しっぽがない。 しっぽが巻いていなければ犬の可能性を完全に否定できるのだが。 ただ、しっぽがあったと思われるお尻の上側の孔の大きさからいって、根本はかなり太い。 犬形埴輪のしっぽは細く、お尻の上にちょろっと巻いて乗ってい

鳴き声を失った馬【埴輪紹介所その140】

蹄がちゃんとある馬。 馬具つきの馬。 しかし 口のない馬。 ない、というかぼやけているので表情があいまいなのが惜しい。 そのぶん、まぶたで語る。 巻き上げられたしっぽ。 実際の馬では見たことがない。 上向く尾は馬形埴輪の最大の特徴でしょう。 大阪府四條畷市の南山下遺跡(みなみさげいせき)出土の馬形埴輪。高さ54㎝、鼻からしっぽまで86.5㎝。 所蔵は四條畷市立歴史民俗資料館。 撮影は2020年『「ベゾアール(結石)」シャルロット・デュマ展』銀座メゾンエル

おおきなタメイキ?【埴輪紹介所その131】

これほど大きな口の馬を見たことがない。 おおきなタメイキ? 埴輪時代の馬にもいろいろあったのか。 その口元に、轡(くつわ)の鏡板。 J? 定番はf字形。 ところで ちゃんと蹄がある。 腰とお尻の孔は通気孔。 千葉県香取市の鴇崎(ときざき)天神台遺跡3号墳出土の馬形埴輪。 所蔵は香取市文化財保存館。 撮影は2018年、香取市文化財保存館の常設展にて。 またね。

ねじられたたてがみ【埴輪紹介所その80】

きれいなカーブのたてがみの前のほう、細くねじられています。 フック? 人物埴輪のミズラといい、埴輪はまとめたがる。 もっとも、髪やたてがみをおろした状態を埴輪で表現するのは難しいか。 しっぽもまとめるのが馬形埴輪。上向き。 ただ、しっぽは復元みたい。口元もだいぶ復元か。 馬具、鞍に刺突紋。シンプルな輪鐙(わあぶみ)。障泥(あおり)には梯子様の線刻あり。 お腹どうなっているのかよく見えず。 奥側の障泥に小孔。 大阪府大阪市の長原古墳群の長原87号墳出土の馬形埴輪。高さ

やや脚の長さが…【埴輪紹介所その23】

ピンと立てた耳、アーモンド形の大きな目。まぶたのふくらみ。 いい顔である。若干お直しされているが。 馬具もちゃんとつけている。鞍や鐙。障泥(あおり)もついている。 特に手綱が立体的で身体から浮いているのはすごいこと。 たいていは体を這うようにくっつけられている。埴輪だから。 この馬形埴輪は力を入れて作られたのかもしれない。 しかし やはりちょっと 横から見たりなんかすると おみあしの長さが気になる。 他の馬形埴輪と比べて、やや、短い。 怒った? 島根県松江市の石屋

目が離せない馬【埴輪紹介所その10】

縦長の目。 寄り目。 たてがみ、耳の間ではクギのようにまとめられている。 しっぽは巻き巻きされて上を向く。 鞍から下がる丸い鐙。 体や顔に残るハケ目。 などなど、押さえたいポイントいっぱい。 しかしこの埴輪に関しては、それより何より 顔です。 何かを語ってくれている。懸命に。 群馬県前橋市の白藤V-4号古墳出土の馬形埴輪。高さ50.4㎝。 所蔵は前橋市教育委員会。ふだんは前橋市立粕川歴史民俗資料館にいるらしい。 ちなみに、2019年の「群馬HANI-1グランプリ