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コーヒー、映画、ハイボール

“生きてるだけで、愛。”
これは私の大好きな小説のタイトルである。
劇作家でもある本谷有希子さんの作品だ。
鬱と躁を繰り返す寧子(ヤスコ)と彼氏である津奈木(ツナキ)の
ラブストーリー、というには少々エモ過ぎる話である。

今日は地元の小さな映画館で“生きてるだけで、愛。”を鑑賞した。
念願だった、ずっと観たかった映画だった。

電車から降りてふと、今日観たいな。と思って気づけばチケットを購入。
レイトショーだったので少し安かった。
映画まで一時間弱あったので近くの喫茶店にて小説片手にコーヒーを一杯。
ああ、なんて贅沢。
(コーヒーと恋愛についてはまた書きたいな。)

いざ、鑑賞してみると
まあ、とにかく寧子が痛々しい。
観ていられない。起きられない。働けない。感情を抑えられない。
それでも私は寧子が愛おしくて仕方なかった。
血を流しながら青いスカートを靡かせて
ウォシュレット壊して全裸になって
叫んで、怒って、泣く。
そんな寧子の虜になってしょうがなかった。

観終わった後は、何というか一種のエクスタシィがあって
心ここに在らず、恍惚になって、昂りとともに
一杯のハイボールが異常に欲しくなった。
この心地よさにさらにもうひと押しのウイスキーを、と
どうしても欲しくなった。
一杯飲んだらあら、不思議。気がつけば、三杯に。

今日はなんて贅沢なのでしょうか。
コーヒー、映画、ハイボール
こんなに素敵なものを一日で味わって。

最後に、
“でもお前のこと、本当はちゃんとわかりたかったよ”
これは物語の最後に津奈木が寧子に向けた言葉である。

そういえば、私にもどうしても分かり合いたかった人がいた。

私は今でも、あの人に
そう、言ってやりたい、と思っているし
そう、言ってくれ、と思っている。




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