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4 英語教育歴と大学教員採用

 大学の教員を目指している人たちの多くは、博士課程満期退学者、博士課程修了者、ポスドクの身分で無給の待遇で研究している研究生、学術振興会のPDでかろうじて生活の糧を得ながら研究している人たち、非常勤講師で日々の生活の糧を確保しながら研究している人たち、等々多岐にわたります。おそらくほとんどの方々は、毎日、JREC-INのサイトをながめながら自分に合ったポストを探していることでしょう。
 人文社会科学系等のポスト探しだけに限っ、言いますと、自分の専攻や研究内容とうまく合致したポストだけを探すのは賢明ではありません。私の場合、専攻は歴史学、政治学、国際関係学などなどですが、現在大学でメインで教えている科目は、英語です。私は海外での留学生活が長く、英語圏で生活し、博士論文なども英語で書きました。非常勤講師時代では、ほぼ英語科目のコマ数で生活費を稼いでいました。大学での英語教育歴は自分の現在の職を得る際、大いに役立ちました。最初は不本意ながら始めた英語科目の教育が最後になって役に立ったわけです。非常勤勤務先の大学では、英語の読解もさることながら、基礎的な英文法を学習させながら訳読もこなす授業、英作文の授業、などを行いました。
 自分の専攻にこだわり、専門科目だけを非常勤で教えていたら、おそらく生活に困っていたでしょう。大学の英語の授業で生活を工面し、家族を支え、同時に自分の研究をしてきたわけで、大学にポストを探す際、この経験が大いに役立ちました。現在、日本の大学のカリキュラムにおいて英語教育が占める比重は高まっています。そして、自然科学はもとより、人文社会科学系等の教育においては、英語を活用したアクティブラーニングが盛んになってきています。「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」教育が今後の大学教育において大きなウェートを占めるようになっております。
 現在、私は本務校において英語科目以外に、人文系の教養科目(歴史、国際関係論など)も担当しています。英語圏での経験や複数の英語論文による研究業績が自分の大学教員採用にプラスになったと思っております。

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