【日本株】霞ヶ関キャピタル(3498) - 24/8期 2Q決算について
4/2に、霞ヶ関キャピタル(3498)が24/8期 2Q決算を発表しましたので、それについて書いてみようと思います。
主に、①決算は良かったのか? 悪かったのか? と、②バリュエーションはどうなっているのか? についてです。
念のため、これは私の個人的な見解ですので、「外れている可能性」や「見落としていること」があるかもしれません。ですので、「投資(or 売却)」をされる場合には、他の情報もチェックされることと、ご自身でしっかり考え、ご判断されることをお願いいたします。
※ 以前に書いた同社についてのnoteです。
では、早速。
最初に「結論」から。
決算は「イマイチ」といった印象でした。
売上げも利益率も期待値よりも低く、現状のままだと通期の業績(=利益)達成はカツカツか、やや未達になるのではないか? という印象です。
ただ、一点、良かったところは「開発用不動産の仕入れが、しっかり進んでいる」点です。これにより、下期の売上げについては達成できる蓋然性が非常に高くなっているのではないかと考えます。
しかし、現在のバリュエーションは高いと思います。ですので、ここから参戦するのはおススメできないです。現在の株価(4/3終値 16,290円)は、今期の会社予想(EPS 573.1円)に対してPER 28.4倍。来期に対しては、14.2倍になります。
決算の内容は?
1-2Q累計(上期)の決算は以下になります。
売上げ 208億円 +26.2%
営業利益 19.9億円 +38.5%
当期利益 12.9億円 +58.2%
成長率だけ見るととても高い数値が並んでいるので、「良い決算!」に見えます。しかし、今期(および来期)の会社予想はかなりアグレッシブな数値であり(当期利益 今期50億円、来期100億円)、かつ現在の株価はそれを基準に形成されているので、(その株価を考慮すると)今回の上期決算は「やや物足りない」という印象です。
通期の業績予想に対する進捗は以下になります。
売上げ 進捗率 34.7%
営業利益 同 23.4%
当期利益 同 25.8%
上記グラフのように、進捗率は(特に、利益については)毎年、かなり大きなブレがあります。加えて、毎年、4Qに大きな売上げと利益が計上されるので、上記の進捗率は「参考値程度」といった感じで見てください。
上記の決算を受けて、今日の株価は朝一に急騰し(最高値を更新)、その直後に急降下といった値動きでした。これは想像ですが、「良い決算!」と判断した投資家の方々が買いを先行させた後、「否定的」に見ている投資家の方々が(値上りしたところで)売りを出した、といった展開だったように見えました。
それでも、それほど大きく下げなかったので、そこまで悲観的な受け止めではないのかな・・・という印象も受けています - 個人的には、結構悲観的に感じていましたが。
決算は良かったの? 悪かったの?
結論は、「売上げは予想よりもやや小さい。利益率が低い点に少し心配が残る」。よって、「やや悪い決算」と(私には)映りました。
まず、2Q単独の数値ですが、以下の決算内容になります。
売上げ 87億円 ▲3.2%
営業利益 13億円 +21.1%
当期利益 10億円 +61.6%
売上げが、対前年比でマイナスになっている点がやや不安材料です - ただ、同社の場合(業態上)売上げが四半期毎に大きくブレるので、「2Qがマイナス成長になったこと」自体はそれほど深刻なことではないのかもしれません。
それから利益率ですが、2Q単独だと、営業利益率は15.4%、当期利益率は12.2%と好調なのですが、上期累計だと(1Qが悪かったので)それぞれ9.6%、6.2%と低くなります。
以下のグラフは、今期含めて過去5年間の営業利益率と当期利益率の推移です。今期の会社予想は、営業利益率=14.2%、当期利益率=8.3%が前提になっています。そして、1-2Q(上期)の実績は(前述のように)それぞれ9.6%と6.2%ですので、「前提」よりも低くなっています。なので、3-4Qで挽回できるかどうかがポイントです。
ちなみに、以下のグラフは四半期毎の営業利益率です。振れ幅が大きいのであまり”規則性”的なことは見えないのですが、過去4年間の実績だと「1-3Qは大きく凸凹するが、4Qに帳尻を合わせてくる」といった感じです。ですので、「上期の利益率が低かった」ことは、それほど心配することではないのかもしれません(とは言っても、やはり着実に利益が積み上がる方が、個人的には安心できます)。
と、いうことで、売上げと利益率にはやや不安があったのですが、安心材料もありました。
開発用不動産の「仕入れ」が順調に進んでいる点です。
同社のビジネスの特性は、開発する物件用の土地を仕入れたら、6ヶ月以内にそれを転売する点です(=転売先は、実際の開発に資金を出す投資家)。よって、これから6ヶ月間の売上げの素がバランス・シートに「販売用不動産」「開発事業等支出金」といった名目で乗っています。
それらは、1Q末には298億円だったのですが、今回(2Q末)は378億円に増加しています。そこに20~30%の利益を乗せて転売することになりますので、(計画通りに行けば)下期に453~491億円の売上げが計上されることになります。すると、(開発案件の成功報酬やアセット・マネジメント・フィーを除いても)通期の売上げは661~700億円になり、会社予想(600億円)を上回ります。
もちろん、「計画通りに行けば」という条件付きですが、下期の売上げ達成の蓋然性が明確になるのは大きな安心材料です。
以下は、そのB/Sに乗っている開発用不動産(378億円)の売却と、営業利益率・当期利益率の関係をグラフにしたものです(ちょっとわかりにくいので説明します)。
一番「左」の棒グラフは、通期の会社予想である売上げ600億円、営業利益85億円、当期利益50億円を達成するために、下期で必要になる売上げ、営業利益率、当期利益率になります。
中央は、B/Sに乗っている開発用不動産(378億円)が「利ザヤ20%」で売却できた場合の下期売上げと、会社予想の営業利益(85億円)、当期利益(50億円)を達成するために必要になるそれぞれの利益率です。「左」の棒よりも売上げが大きくなる分、利益率は低くても会社予想を達成することになります。
一番「右」は、開発用不動産が「利ザヤ30%」で売却できた場合の下期売上げと、会社予想の営業利益・当期利益を達成するために必要になるそれぞれの利益率です。
このグラフで言いたいことは、「現在B/Sに乗っている開発用不動産が利ザヤ30%で売却できれば、通期予想を達成するための利益率はかなりハードルが下がる」ということです。反対に、その利ザヤが小さくなると、利益達成が厳しくなる、と。
そして、そのためには不動産市況が引き続き「強い」ことが必要で、(結局は)そこが同社の業績を占う肝になる、という点です - この点について、現在、私は確固たる解を持っていません。同社の業況や不動産市況に対するモニタリングを継続することで、解を見つけていくことになるのだろうと思っています。
バリュエーションは?
今日(4/3)の終値は、16,290円でした。時価総額だと1,595億円です。
PERにすると、今期のEPSに対して28.4倍、来期だと14.2倍です。
ここから参戦するには「バリュエーションが高い」という印象です。
もし、株価が下がり、割安感が出れば、魅力ある会社だと思います。願わくは、PER 15倍の8,596円。最低でも、節目になりそうな10,000円(PER 17.4倍)を下回らないと、参戦できないように(個人的には)思います。
念のため、私は「割安成長株(できるだけ小型)」が好きなので、前述のような評価になっています。高PERでも、成長株を好まれる投資家の方々や、トレンドに順張りされる投資家の方々は、別の見方をされるかもしれません。
また、同社の株価はここのところ「値上りした後、2週間ほど下げる。しかし、その後、再び値上りに転じる」というサイクルを繰り返しています。そうしたサイクルを狙われる投資家の方々も、前述の私の意見とは異なる考え方を持たれるかもしれません。
同社の株価は値動きが非常に激しいので、外れると大きな損失につながる可能性があります(あるいは、大きな機会損失になるかもしれません)。ぜひ、慎重に、情報をしっかりチェックすることをお忘れなく。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
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