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【反省会】7/29~8/2 を振り返る(1/3)

すごい1週間でしたね。

この数週間に私が書いた「円安・株高ストーリー」とはまったく別の世界線になっているので、とてもお恥ずかしい限りです(涙)。

なので、【反省会】というテーマで、この1週間を振り返ってみたいと思います。

内容としては、① 簡単に1週間を振り返った上で、② 有名な企業の株価がどうなったか? をチェックし、③ 今後について少し考えてみたいと思います - この note は、そのうちの①部分です。

①~③を通してのサブ・ポイントとして、「どのような投資スパン(投資期間)で考えるのか?」という点と、「その場合、どのようなリターンの源泉を狙うことになるのか(狙うべきか)?」という点を、あわせて書いていこうと思います。

先に、この note(1/3)のポイントを書いておくと、
① 今回の「日銀の利上げ」は、日本経済をデフレに逆戻りさせるリスクがある。仮にそうなった場合、日本株のパフォーマンスはかなり悪くなる可能性がある。

②「強い米国経済」は日本経済にとっての「大前提」だった。それが崩れそうな時に日銀は利上げをしてしまった - 内需にまでブレーキをかけてしまう。
という点です。

では、早速。

この1週間の振り返り。

以下では、この1週間(7/29~8/2)について、ポイントを振り返った上で、少し細部について考えてみたいと思います。

まず、ポイントです。

やはり、① 日銀の利上げ、② それに伴う円高、③ 米国経済の後退、の3つが大きなポイントだと思います - 皆さん、既にご存じの通りです。

一般的な解釈をすると、以下のような感じだろうと思います。

①については、今回の「利上げ」だけでなく、「年内の追加利上げも排除しない」といったニュアンスの発言を植田総裁がされたことが大きいと思います。そこが、ドル円にも、日本株にも大きなインパクトになっているのだろうと。

②は、①の結果としての円高と、③の米国経済の後退による円高の双方の力が働いていると思います。

そして、③は「(兆候はあったが)急に、現実味を帯びてきた!」といった感じでしょうか。なので、急な市場の変動になってしまった、と。

あわせて、(上記とは別に)個人的な印象を述べさせていただくと(=外しているかもしれないので、テキトウに読んでください)、以下のような感じです。

このタイミングでの利上げは、「政治的な意図が強く働いたのだろう」という印象です - 前日の夜中に出たNHKや日経新聞のリーク記事などからもそんな気配を感じます。特に、円安による輸入インフレを抑制したいという意図と、金利を上げることで地銀や農協の収益を確保したいという意図が大きかったのではないかと想像しています - どちらも、選挙を意識した意図のように思います。

しかし、国内の(とても弱い)個人消費の状況や、(企業の大多数を占める)中堅・中小企業の低い収益性の現状を考えると、ここでの利上げや年内の追加利上げは非常にリスクが高いように思います。

国内経済が、再び「デフレ」に逆戻りするリスクさえあるのではないか、と。

そこへ、円高と米国経済の後退が加われば(欧州や中国の経済は既にかなり減速していますし)、輸入物価の上昇も沈静化してしまうので、国内物価を押し上げるエンジンはなくなってしまうのではないか、と。

本来は、国内経済の構造改革を実行し、国内の需要が牽引するカタチで物価が上昇するような経済環境・経済構造を実現することが最優先事項だろうと思います - アベノミクスの第3の矢はこれだったはず。

しかし、そこに手を付けず、金融政策や財政政策だけで「日本経済の構造問題」を解決しようとしている点が大きな問題のように思います。しかも、重要局面になると、選挙などの政治課題が優先され、その場しのぎの解決策が実行されてきたのが、この30年間だったように思います - いつものパターン。

結果として、「本質的な問題」は手つかずのまま先延ばしされ、そう遠くない将来、さらに大きな問題として我々の前に立ちはだかる、という繰り返しのような。

と、やや愚痴っぽくなってしまいましたが、今回の日銀の利上げは「将来、高くつく打ち手」になるかもしれない、と感じています。

「日本株」という視点で見ると、この2年間、日本株を押し上げてきた大きなエンジンのひとつは「インフレ > 金利」という環境だったと思います。

仮に、今回の利上げによってインフレが鎮静化したり、デフレに逆戻りした場合、この環境はなくなります。それに代わるエンジンが必要になりますが、現状のままでは限られた企業しか株価を押し上げるエンジンを持っていないように感じています - それは、独自の実力で業績を押し上げる地力を持っている企業だけ。

やや話が広がり過ぎましたので、話をもとに戻します。

この1週間を、「少し細かい部分」に目をやりながら振り返ってみると、少し異なる景色になります。

以下のグラフは、7/29~8/2 の日経平均の1分足チャートです。

7/29~8/2の日経平均の値動き(チャートは1分足)

ポイントは、① 利上げがあった7/31には日経平均は上げている、② 大きく下がったのは8/2だ、という2点です。

よって、「この1週間」という期間に限って言うと、「日銀の利上げ」はそれほど大きな影響はなく、「米国の景気後退懸念」の方が遥かに大きなインパクトを与えている(ように解釈できる)、という点かと。

8/2(金)に日本株が大きく下落したのは、(一般に言われているのは)日本時間の8/1の夜に発表された「米国のISM製造業景況指数」が悪かったため米国株が下げた。その影響で翌日の日本株も下げた、ということです。要は、「米国の景気後退が現実味を帯びてきた」ので、株価が下げたという理由です。加えて、翌8/2には雇用統計の発表を控えていましたので、「早目に逃げる投資家」が多かったのかもしれません。

もちろん、それは大きいとは思うのですが(実際、8/2の雇用統計が悪く、米国株は大きく売られましたし)、あわせて気になっているのは先週発表のあった大手ハイテク企業の決算です。マイクロソフト、アップル、アマゾン、インテルなど、ハイテク産業を牽引する企業の決算発表(四半期)があり、いずれも弱い決算でした。いずれの企業も、売上げが市場予想を下回る、AIが収益につながっていない、今後のガイダンスも弱気といった内容で、いずれの株価も下がっています。

その中で、特に悪かったのがインテル。売上げは(前年同期比)▲1%、当期損失が▲1.6bn(約▲2,400億円)という内容でした。そのため、従業員の約15%(15,000人)を削減することを発表しています。

米国経済は、GAFAMに代表される最先端の企業群が牽引するカタチで成長してきました。高金利の下で、オールド・エコノミー産業が苦戦する中、そうした最先端企業群が経済を引っ張ることで「(全体として)景気が強い」という状況を維持してきました。しかし、その牽引役の成長や利益率が鈍化してくれば、経済全体の鈍化が(急に)鮮明になります。

加えて、「全体として景気が強かった」ためにFRBは高金利を維持してきましたが、最先端企業の成長が鈍化すると、一気に「FRBは後手に回っている」という状況になる可能性があります - それは、必要以上に景気にブレーキをかけていることになります。

そして、これまでの日本にとって「米国経済が堅調である」という点は「大前提」であり、そこに円安が加わり輸出企業の業績をさらに拡大させていたという構図でした。「米国経済の後退」は、その「大前提」を壊すことになり、日本経済が前進するためのエンジンを失くしてしまう、という状態です。

そんな時に、「日銀は利上げをしてしまった」というのが、今回の利上げだったのかなと思っています - 「外需(米国経済)」というエンジンが失速しそうになっている時に、「内需」というエンジンにもブレーキをかけてしまったと。

利上げは「弱い国内経済」に対して、じわじわ効いてくるのではないかと思います。そうした懸念が集中したのが、8/2(金)の東京時間だったのかな、と。

「じゃあ、どうしたらいいのか?」といったことが「次の疑問」になりますが、それについては「続き」の note に書いていきたいと思います。

今日のところは、こんな感じです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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