ビバ!脂ッ!

元々わたしは「脂(あぶら)」。肉の脂が、苦手である。ぶよぶよしていて、気持ち悪い。噛み応えがなく、嚙み切れない。

(どこがいいんだ)。ステーキ肉の脂身部分に思い、(理解が出来ません)サシの入りが素晴らしいだの、網目の艶具合が特別だのと言う、肉レポーターに(ふん)となる。そんな反応、家族の中でわたしだけ。「そうなんだよな」「美味しそうねぇ」「涎が出ちゃう」弾むように拡がる両親と妹の会話には、当然ながらついてゆけない。

牛より豚、豚より鶏肉。脂身が苦手=必然的に(?)大ちゅき=鶏の笹身。略し「鶏ササ」。焼いたのがサイコーとすら公言する、バカ舌の持ち主なのだ。牛肉は焼けば焼く程、ヘンな匂いが立ち込めて来そうな気がするのだから、増々をもってバカ舌アップ。たまにゆく、とんかつ専門店でも、豚のヒレカツか、鶏ササをどうにかしたものオンリーであった。ところが、だ。

某月某日某曜日(天気、忘れた)、見事に覆されて来た。「かつや」。

お昼には少し、早い時間帯。いつもものように、ヒレカツ丼をと思ったら、メニューにない。期間限定で、ロースオンリー。ロース祭り真っ盛り。店内全ての広告が、ロースで埋めつくされている。(え~っ。脂じゃん!)チッ!瞬間、心の中で舌打ちした後、(仕方あるまい)渋々注文。100円引きも、嬉しくない。

直ぐに運ばれて来た。(あ~っ、脂。脂身かぁ)ぶよぶよ。ゲンナリしつつ、軽く一口。(あっ、美味いじゃん!美味しい!)

ぶよぶよしてない脂である。旨味がぎしっと詰まっている。(美味い、美味い、美味いじゃん!)ブラボー、ブラボー、ブラ、ブラ、ボーッ!完璧花丸五重丸、お花をいっぱいあげましょう、てなもんだ。う~む、世にはこのように美味い脂もあったのか!

「ビバッ!脂ッ!」

アニメ「おじゃる丸」(NHK Eテレ)に出て来る、小町ちゃん。彼女が「ビバッ!○○ッ!」と叫ぶと暫くの間、町でそれが大流行する。肖(あやか)りわたしも叫ぼうかしらん。「ビバッ!脂ッ!ビバッ!かつや!」新しき脂との出会いでございました。




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