お手軽な「励まし」~三浦春馬さんのS0Sに~

自ら命を絶った俳優に、三浦春馬さんがいる。
享年・30。30歳の若さで彼は、自らを以って死を選んだのだ。

一番最初にわたしが三浦さんを知ったのは、東京電力のCM。
八代亜紀さんと共演されていて、カレンダーに何故か「春馬 バイオリン合宿」と記されている。横で半ズボンス姿の三浦さんが、ご機嫌に歌う、意図すら分からない(?)CMであった。

数年してから「徹子の部屋」で、拝見。今より髪が長かった。
(大人しそうな、線の細そうな男の子)それだけが印象だ。
(どこからやって来たんだろ?)ぐらいには思いもしたけど、特にどうこうはない。
今、思えば個人的嗜好。髪の長い男が嫌いなわたしの、盲点であろう。

更に何年か過ぎたある日。
テレビを見ていると、どこかで見たような俳優。黒子のある俳優が映る。
(あっ!三浦春馬じゃん!髪の毛を切ったのね。美男子だわ。男はやっぱり短髪よ!頂けないわね、ロン毛は。美男子こそ短髪)
一挙に見方が変化した。が、例によって(?)それだけ。特にどうこうはなかったが、好感は持て。。

スカウトと思っていたが、実は子役から。
児童劇団に4歳から所属していた、バリバリの芸能人。
自ら命を絶った原因は、当時、調査中とされていたが、SOS。
いつもとは違う自分。気づいて欲しい自分の本音、心内を、目一杯に三浦さんは、発していたはずだ。

「農業をやりたい」「地元に帰りたい」
口にしていた。けど、家族その他が、ちゃんと受け止めなかった。「思い留ませて」しまっていた。
イケメン俳優、売れてる俳優、いわば「華やかな世界で活躍している、自慢の息子」。
何を言っているんだおもろう?戯言(たわごと)?忙しすぎて、ご乱心?
「ふぅーん」「そうなの」
(軽く聞き流してやればいっかぁ、テキトーに相槌でも打っとけば)
親族間での、暗黙の了解がありもした。

(自分の本心を話しているのに、受け止めて貰えない)
どこか軽くあしらわれいる感覚に、衝撃を受けた。打ちのめされ、ズタズタになった。
東京に戻り、普段の生活をしていても、心が晴れない。いつもどこかでぼやけている。
打ち明けたのを後悔。(何てバカなんだ、俺は。家族に何て言うんじゃなかった)自分を責めに責め、息苦しくなった。

徐々に徐々にああいう結果を招いてしまったのではないかと、推測する。

誰から「苦しい」「辛い」と胸の内を明かしても、悲しいかな、多くの日本人は「皆な同じだ」だの、「君だけはたらじゃない」だの、全く愚にもつかない、言葉を掛ければいいとすら思っている。
「止まない雨はない」も、同じ様な感覚で使う。お手軽励まし言葉である。三浦さんは「SOS」を発していた。けど、残念ながらの結果となったのは、我々日本人の風潮。
やたら「一人じゃない」。
悪い意味での「みんなと一緒」が、働いてしまったのではなかろうか。

<了>


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