ゴキブリを飼った話

ゴキブリと言えば、「ロボコン」。正式には「がんばれ!」が前につく、「がんばれ!ロボコン」であろう。
真赤なデカい卵型をした、ロボットである。故・石森(石ノ森)章太郎の漫画を原作とした実写版で、今でも人気のある。
ロボコンは、ゴキブリが大嫌い。
見つけると直ぐに「ぎゃぎゃ!ゴキブリ!」。
サザエさんの花沢花子ボイスでお馴染みの声優さんの、驚く演技力が未だ印象に残る。
「ゴキ」略す人もある。
一説によると、人類が誕生する遥か彼方。3億年も前からゴキ様一族。
ゴキブリ様の先祖は、しっかり地球に生息していたようだ。

そんなに古くからいるにも拘わらず、嫌われ者のナンバー・ワン。
断トツトップのゴキブリを何と昔、飼っていた。
亡母が、知らなかったのだ。
名前ぐらいは知っていたが、見た事がない。故郷の北関東・群馬県ではお目に掛かれなかった。
今ならキチンと(?)お目に掛かれるが、昭和20年代、30年代の北関東は寒すぎ、ゴキブリも住居地として選ばなかったのだろう。
結婚し、娘2人の母となり、暫くして千葉県へ。
団地であった。
備え付けの下駄入れに、何やら変な虫がウヨウヨといる。
「鈴虫?」
疑問を発した妹に、優しく微笑みながら、亡母が答える。
「そうだね、きっと。虫篭に入れて飼ってみようか!?」

嗚呼!
ゴキブリを鈴虫と勘違いする、バカ母子!!
わたしも、その気になる。
「何を食べるの?キュウリとかかな?」
「いっぱいいるねぇ」
「凄いなぁ」

虫篭を買って来て、5、6匹を入れたのは翌日だろうか?
「もっといるよ」
「いいねぇ、つかまえにゆく必要もない」
3人で暫く、じっと観察をしていたりした。
嗚呼!
ゴキブリを虫篭に入れ、観察をするバカ母子!!

一週間ぐらいして、隣の家の人が
「それ、ゴキブリだよ」
真実を聞かされた時の、亡母の顔と言ったらなかった。
嗚呼!
知らないって怖い。

余談だが全ての昆虫の目鼻立ちって、元を辿れば、ゴキブリのような気がする。
                            <了>


#創作大賞2023

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