アムステルダムの循環型都市構想
Hoi!こんにちは!
前回の記事ではアムステルダムがlearning by doingの理念の下、循環型経済都市を実現することを目標にしているとお伝えしました。
今回の記事ではアムステルダムがこの考えに至った背景や実際の構想モデルについてお話しします。
なぜアムステルダムは先進都市になったのか
環境保護政党グリーンレフトの元党首であり、2018年にアムステルダムの初の女性市長となったフェンケ・ハルセマ氏は、日本のある雑誌の取材でこう話しています。
変化を拒まないリベラルな土地柄が循環型経済都市のパイオニアとなる要因になったのですね。
アムステルダム・シティ・ドーナツ
そんなアムステルダムがモデルにしているのが、イギリスの経済学者ケイト・ラワース氏が提唱するドーナツ経済モデルです。
その名の通り、お菓子のドーナツの形をしたこのモデル。
ドーナツの内側を社会的基盤、外側を生態学的な境界として、社会面での不安がなく、環境面での負担の超過のない黄緑色のドーナツ生地部分で住民がサステナブルに暮らせるという考えを表しています。
生態学的な境界(ecological ceiling)は「地球の限界(planetaly boundary)」という気候変動や空気汚染などの*9指標で構成されていています。
※ 気候変動、海洋酸性化、オゾン層の破壊、窒素とリンの循環、淡水利用、土地改造、生物多様性の損失、空気汚染、化学物質による汚染が含まれる
保証されるべき社会基盤(social fundamentals)はSDGsに基づき、*²12の指標で構成されています。
※2 食料、水、健康、教育、労働、平和と正義、政治的発言、社会的公正、性的平等、住まい、ネットワーク、エネルギーが含まれる
上記の12の社会的基盤を住民皆が保証され、かつ人間の活動による環境への影響が生態学的な境界を超えない、均衡の整った世界がドーナツ経済論でいう理想の状態とされています。
シティ・ポートレート
ドーナツモデルの地球規模の境界線を都市規模のツールに落とし込んだのがこのシティ・ポートレート。
都市生活とその影響をSocial(社会的)、Ecological(生態学的)、Local(ローカル)、Global(グローバル) という4つの「レンズ」を通して表現しており、それぞれの視点でアムステルダムの繁栄の意義を問うクエスチョンを示しています。
<訳>私たちの街は、すべての人々の幸福と地球全体の健康を尊重しながら繫栄した場所で成熟した人々のホームであるためにはどうしたらいいのか。
社会×ローカル:
アムステルダムの人々が繁栄するためにそれはどんな意味を持つのか生態的×ローカル:
アムステルダムにとってその自然環の中で繁栄するためにそれはどんな意味を持つのか生態的×グローバル:
アムステルダムにとって世界中の人々の幸福を尊重するためにそれはどんな意味を持つのか社会的×グローバル:
アムステルダムにとって地球全体の健康を尊重するためにそれはどんな意味を持つのか
このポートレートは以下の5つのことに利用できると考えられています。
①社会的目標と生態学的目標、地域的(ローカル)な願望と世界的(グローバル)な責任を組み合わせることによって、繫栄する都市について構想すること。
②共通のフレームワークを通じて、多様な興味関心を持つ都市の人々のつながりを作ること。
③都市の人々の、相互のつながりへの理解、緊張感の認識、行動のための相乗効果を見定めを促し、総合的な視点から都市を探求すること。
④変革的プロセスの反復プロセスを通じて都市全体の構想と共創を促すこと。
⑤21世紀の都市にふさわしい指標を作り、この都市が繁栄するためにそれが何を意味するかを見定め、反映し始めること。
まとめ
このようなプロセスを用いることでアムステルダムは自身と、世界全体の繁栄を目指して革新的な都市構想を行っているのです。さて、少し難しい話になってしまいましたが、具体的にどんなことに取り組んでいるのかが気になってきたのではないでしょうか。
次回はそんなアムステルダムやオランダが持続可能な未来のために実際に取り組んでいる事例をいくつかご紹介します。それでは、Tot Ziens!
参考文献:amsterdam-city-doughnut.pdf
訳:7th Throw note編集担当
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?