七篠独迷

永遠の迷い猫。 あっちに行ったりこっちに行ったり。

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最近の記事

「死ぬ」の反対ってナニ?~ 「死」について考える~

 「死ぬ」の反対と言われて、最初にどのような言葉を頭に思い浮かべるだろう。僕は、この問いを実際に何人かにしてみたことがある。皆一様に、こう答るのだ。「生きる」だと。  今、多くの人が、未来への希望を見失って生きている。それは、「生」を見失って生きているからに他ならない。日本の10代の死因一位は自殺だ。日本財団の第4回自殺意識調査では、10代後半の約三割が「これまでの人生のなかで、本気で自殺したいと考えたことはあるか」という問いに「はい」と答えている。物心ついてたった10数年

    • 「もったいない」が隠す人間の価値とは? ~フードロスとルッキズムとショートフィルム~

       「規格外で売り物にならない野菜を廃棄するのはもったいないから、ちゃんと利用しようよ」という取り組みを、最近よく見かるようになった。世界中でフードロスが問題になっていて、それに反対する流れだ。僕は、非常にいいことだと思う。日本でも、東京五輪で1か月で13万食が廃棄されたと報じられて話題になっていた。ただし、これは42会場ある中の20会場分なので、実際はこれより遥かに多いはずだ。  まず、フードロスについて整理しておこう。これは、僕も今回調べてみて「へぇ~」と思ったことだが、

      • そっと歩く Step Softly in San Francisco

         微かなオイルの匂いが鼻腔をそっと撫でた気がして、祖父を亡くした時のことを思い出した。  そのとき、僕はサンフランシスコにいて、葬式には出席していない。アメリカに留学していて、冬休みの旅行で西海岸をカナダのバンクーバーから南下していた途中だったのだ。  なぜ、一時帰国して葬式に出なかったのだろうか。別に後悔しているわけではない。葬式に出ても、そこに祖父はいないのだ。    日本を発つとき、祖父にはお別れを済ませていた。端から見れば、それは一時のお別れだが、僕にとっては違った

        • 教師のバトンを誰の手に? ~不平不満からしか生まれない希望~

           昨年ツイッターで話題になった「#教師のバトン」というプロジェクト。現役の教師から、未来の教師に向けて教師の魅力を伝えてほしいとして、教員不足に悩む文科省が始めた「リレー」だ。当然のように、大炎上。教師のバトンは火炎瓶となり、文科省に投げ込まれた。当たり前だ。僕が最初に思ったのは、こうなることを読めなかった文科省の現状把握能力は、ここまで皆無だったのかということだった。文科省は、教育先進国と言われるフィンランドの現場でも見ているのではないかと疑ったほどだ。  さて、この「#

        「死ぬ」の反対ってナニ?~ 「死」について考える~

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        • そっと歩く Step Softly in San Francisco

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          彼女は左回りの夢を見る She is in Counterclockwise

          「君、死ぬの?」  背後から声がして振り向く。モデルのような長身ですらりと長い脚が、一歩ずつこちらに向かってくる。低く少し籠ったような声が、不思議とよく聞こえた。 「来ないで」  飛び降り自殺をしようする人間がよく言うセリフを、まさか自分が同じ状況で言うことになるとは思わなかった。そう、私はビルの屋上のフェンスの外側にいるのだ。 「君は本気じゃないだろう。ちょっと魔が差しただけだ」  風下にいるはずの男の声が、空気の流れに逆らって耳まで届く。いや、この声は空気を伝わる振動なの

          彼女は左回りの夢を見る She is in Counterclockwise