鈍風

主人公はこれまで出会った方やたまたま見かけた方。あとたまに過去の体験も。 通勤の1時間…

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主人公はこれまで出会った方やたまたま見かけた方。あとたまに過去の体験も。 通勤の1時間であらすじを考え、酒を飲みながらスマホで執筆しています。

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    青春エッセイをまとめました。

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カブで山遊び

空冷大排気量には真夏はキツイよね 特に最近は記録的な猛暑が続いている メインバイクはフルカウルだからさ 試しにメッシュジャケットも着てみたけど、風が当たらないから全然涼しくない じゃあ夏の間は涼しい山を走ろうか、一人の馬鹿が言った 2ヶ月も経たない間に、みんなが車体を手に入れて、ボアアップして、ブロックタイヤ履かせて、アップマフラーとかアンダーガードも そう、何故かベースはスーパーカブで あっという間に馬鹿が揃った ただボトムリンクのダートはキツい 分かる人には分

    • 2台のモンキー達

      モンキーパーツの供給元だった先輩が他界した 今日は追悼のつもりで、関わりのあったモンキー2台を転がしてきた Z50Z(A)の方は、先輩のさらに先輩が乗り続けてきたもの それを先輩が貰ってそのまま自分が貰って、色々あっちこっち回ったけど自分のところに着地 Z50Jの方は、自分が18歳のころ、当時クルマの面倒を見てくれていた人から買ったもの それを先輩に譲って、色々あっちこっち回ったけど同じく自分のところに着地 そうなんだよ 結局は仲間内で行ったり来たり そこの中心人物も

      • バイクっていいだろ?

        小さいバイクはいいよね 最近はさぁ排気量マウントなんていうおかしな造語ができてさ 大きいバイクに乗ってるときに小さいバイクに話しかけることが憚られるんだよ 目線の高さは同じなのにね、バカバカしい バイク乗りはみんな仲間、本当はそう言いたいけど 今の世の中はさ、余計な、本当に知りたくもない情報に溢れててさ それに流されるやつがほとんどでね それがどーした、とか、ふーん、なんて懐疑的な目で見ることもないんだろうね それに流されてさ、ハーレー乗りがマナー違反してます、とか

        • cool RS gang

          高校生のころ GPZ400に乗っていたとき この通りの直線で180kmを見た あれから40年 久しぶりに夜の道路を走ると ゆっくりなのに怖くてしょうがないな なんだろう、見えていないかもしれないというリミッター もう最高速チャレンジをする勇気も視力もない なんてこった でも身体に走りを合わせるのが正解かな 仲間も同じ気持ち 少しでも長く乗り続けたいからさ

        カブで山遊び

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        記事

          20240922

          5日間燃え続けた大きな山火事が消えた日 ずっと世話になってきた先輩が旅立った 「ヘッドガスケットないですか?」 「たしかあるよ。72用?88用?」 「47ミリの方です」 「探しとくよ、あったら連絡する」 「テールレンズありませんか?」 「明日持って行く、ダックスのでいいか?」   「はい、お願いします」 「ガソリンタンクの穴埋めしてくれ」 「いいですよ」 メールのやり取りを振り返ると、ここ何年もずっとこんな感じだ そんなメールも、9月の半ば、レストア中のエルシノアの話

          [初恋ストーリー] どうしようもない恋の唄

          彼女はピアノを弾いている。 僕が見るとき、彼女はいつもステージの上にいる。 ・ ・ ・ たしか小学5年生になった頃、彼女と同じクラスになれた。斜め前が彼女の席になった。 こんなに近くから彼女を見たのは初めてかもしれない。 サラサラの髪、細い首、長い指。 いつもはステージの下から見ていたけど、近くで見るともっともっと大人っぽかった。 嫌いだった音楽会も彼女がピアノを弾いてくれるから、少し楽しみになった。 ただ、一度も話しかけることができないままで席替えとなり、学年も上が

          [初恋ストーリー] どうしようもない恋の唄

          THE ROOSTERS

          偏った青春時代を経たからか音楽の好みも偏屈となったのかもしれない。 その余波はいい歳になっても現れ、ヒット曲を知らない、流行りのドラマの主題歌を知らない、カラオケで歌う曲が無い、と言った状況が今でもあり、周りの人々との温度差を生む。 先日も、連れて行かれたスナックで、女の子の入れた知らない曲を順番にマイクを回して歌うという拷問があり、自分に歌えるはずもなく終わる。またロック通の顔をした他の客は、巻き舌で歌う湘南かどっかのクソ音楽を真似して歌い、それを強制的に聞かされるとい

          THE ROOSTERS

          家庭菜園のハナシ[再開編]

          我が家は郊外の団地の一画にある一戸建てですけど、何故かミニ耕運機を持っています。 コロナが始まる少し前、息子も一人暮らしを始めたころ、芝生を張った庭を見て思いました。 「ここ、畑にできるんじゃ?」 私は、自他共に認める思い付きの男なので、他人様のブログや、ものの本など一切読まずに取り急ぎ着手することにしました。いつものことです。 芝生自体はホームセンターで買ってきて自分で張ったので、「売っていた形に切り出す」ことにして、スコップで少しずつ四角くく切って剥ぎとりました。まあ

          家庭菜園のハナシ[再開編]

          【短編小説】まつ毛 〜第6話〜 [隆男とGOLF]

          「悪いなぁ・・・どうしても足が動かなくてなぁ・・・すぐ良くなると思ってたんだけど、もうお前には乗れなくなっちまったなぁ・・・」 山本は夜のガレージでそう独りごちた。 ・ ・ いいんですよ。ここに来て30年近く、あなたにはとてもよく可愛がってもらいました。日本人は一台の車にあまり長く乗らないから、私もすぐに買い替えられるんだと思ってました。・・・私が杖がわりになれたら良かったんですけど、こちらもドイツのカローラ、なんて揶揄されることもある大衆車で、ご存知のように「自動」が付くよ

          【短編小説】まつ毛 〜第6話〜 [隆男とGOLF]

          【短編小説】まつ毛 〜第5話〜 [海辺のプロポーズ]

          ・・・そんなことがあったんだね。 隆男は、長い長いまつげの奥にある、ほんの小さな目に涙を浮かべながらそういった。 ・ ・ ・ 今日は2人の3回目のデートになる。 ここは海の見える広い公園の、その中にポツンとある素敵なレストランだ。 少し小高い場所にある板貼りの建物は、海側に大きな木枠の窓とパーゴラのついた小さなテラスがあり、その周りを何本ものユーカリとオリーブの木が覆うように配植され、周囲の景色と優しく調和している。 優香がリクエストした、その素敵なレストランの海側

          【短編小説】まつ毛 〜第5話〜 [海辺のプロポーズ]

          【エッセイ】僕とチョッパーと

          バイクは18までシャコタンは20まで それが当時の世の中との約束 二十歳を過ぎてから、ましてや中高年が暴走族の真似事をするなんて考えられなかった時代 18歳からの2年間、稼ぎと時間の全てを費やしたクルマ。だけど二十歳を契機にそれを卒業した僕は、物足りなさを感じながら毎日を過ごしていた。 多くの仲間がおしゃれな車に乗り換え、白いポロシャツの襟を立ててセカンドバッグを持った。 でも僕にはちょっと。 クソみたいなDCブランド クソみたいなドラマ クソみたいな音楽 心の中で

          【エッセイ】僕とチョッパーと

          シェフの物語

          ——ここは県庁所在地なのだが、数年前に映画館も無くなってしまった、そんな静かな街 この街で暮らしたことがあるというアーティストは唄う 「蛍を見るならあの街が一番さ・・・ひっそりと、そしてあったかい」と。 そんな街の片隅、美しい街路樹で覆われた道路沿いにそのお店「シェフ」はある。 お店のドアを開けると、カウンターといくつかの小さなテーブル席、3組、15人も入れば満席だろうか。 お店の佇まいは喫茶店のようでもあるが、ふわふわの卵につつまれたオムライスは絶品、いやいやハンバ

          シェフの物語

          【短編小説】まつ毛 〜第4話〜[ブラッシー]

          あーこの家か、まあ世話になるぜ ・・・ん?何を食べさせようかって? 俺は生まれてこのかた、食いもんを選んだことはねーよ 出てきたものは何でも食うから、そんな余計な心配するこたーねーぜ うんうん、残り物でもうめーや お、水浴びか 体がかゆいからありがてーな なんだその泡が出るやつは あー、悪くねーな、ついでに首の周りも頼むぜ スッキリしたぜ、ありがとよ 寝る場所?そんなのどこでもいいさ でも出来たらノミのいない陽当たりのいい場所がいいけどな はー?家の中に寝るのか?

          【短編小説】まつ毛 〜第4話〜[ブラッシー]

          【エッセイ】夜のハイウェイ

          僕は高校2年生になった。 アルバイトは、レストランでの皿洗いから居酒屋に変わった。 駅の近くにある居酒屋は毎日仕事帰りのお客さんで大繁盛だ。 毎日午後5時に出勤し、みんなで賄い飯を食べてから頭にねじり鉢巻をして接客する。 僕はそこで働く女の子たちにチヤホヤされながら毎日楽しく働いている。 アルバイトと言えば、少し前からおしゃれな美容院のポスティングも掛け持ちしている。給料は安いけど、カットモデルもできるし、こちらは少し年上の美容師のお姉さんたちにチヤホヤと可愛がってもらい

          【エッセイ】夜のハイウェイ

          【エッセイ】ブルメタ・ブルース

          小さな街は古くから交通の要衝で、駅を中心にそこそこの賑わいもあった。 駅前から続く商店街には、左右の屋根を繋ぐアーケード代わりの万国旗がはためいていた。 そんな商店街の少しはずれ、国道沿いの三叉路の近くにレンタルビデオ屋があった。名前は思い出せないが、駐車場もない黄色い看板の店。 僕はその年の夏休みに念願の中型免許をとったが、16歳の高校生がすぐにバイクを買えるわけもなく・・・小遣いで買えるのはせいぜい月刊オートバイとモーターサイクリストくらいだ。 とはいえ、ため息をつ

          【エッセイ】ブルメタ・ブルース

          【短編小説】まつ毛 〜第3話〜[隆男]

          「工事の人ですか?」 と聞かれた。 「あ、いや、違いますけど、車ならすぐ退けます。」 すると「え?じゃあ隆男さんですか?」とその女性は言った。 お節介な後輩が、一度会ってみてくれという優香さんだ、きっと。 そろそろ初雪が降る頃 初めての顔合わせは、何故かサファリパークに行くことになった。 ・ ・ ・ 「・・・その辺でお茶すればいいんじゃないかなぁ」 「それじゃあ楽しめないでしょう?ただお茶するだけでいいんですか?無人島に筏で行くような人が」 「里美、あのなー、

          【短編小説】まつ毛 〜第3話〜[隆男]