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青春エッセイ

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青春エッセイをまとめました。
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【エッセイ】僕とチョッパーと

バイクは18までシャコタンは20まで

それが当時の世の中との約束
二十歳を過ぎてから、ましてや中高年が暴走族の真似事をするなんて考えられなかった時代

18歳からの2年間、稼ぎと時間の全てを費やしたクルマ。だけど二十歳を契機にそれを卒業した僕は、物足りなさを感じながら毎日を過ごしていた。

多くの仲間がおしゃれな車に乗り換え、白いポロシャツの襟を立ててセカンドバッグを持った。

でも僕にはちょっ

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【エッセイ】夜のパッソル

【エッセイ】夜のパッソル

高1の夏休み。誕生日はまだ来ていないから15歳の夏ーー僕は、一番仲の良かった友達の紹介で、バイクを売ってもらうことになった。

先輩の家は小高い山の中腹、数年前に造られた団地の中にある。
僕は、友達をチャリンコのケツに乗せて一生懸命、坂を登った。

周囲は同じカタチ、同じ色の家がたくさんならんでいて・・・でも道路側の2階の部屋にブリヂストンのデカいステッカーが斜めに貼ってある家、そこが先輩の家だっ

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【エッセイ】ブルメタ・ブルース

【エッセイ】ブルメタ・ブルース

小さな街は古くから交通の要衝で、駅を中心にそこそこの賑わいもあった。
駅前から続く商店街には、左右の屋根を繋ぐアーケード代わりの万国旗がはためいていた。

そんな商店街の少しはずれ、国道沿いの三叉路の近くにレンタルビデオ屋があった。名前は思い出せないが、駐車場もない黄色い看板の店。

僕はその年の夏休みに念願の中型免許をとったが、16歳の高校生がすぐにバイクを買えるわけもなく・・・小遣いで買えるの

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【エッセイ】夜のハイウェイ

【エッセイ】夜のハイウェイ

僕は高校2年生になった。

アルバイトは、レストランでの皿洗いから居酒屋に変わった。
駅の近くにある居酒屋は毎日仕事帰りのお客さんで大繁盛だ。
毎日午後5時に出勤し、みんなで賄い飯を食べてから頭にねじり鉢巻をして接客する。
僕はそこで働く女の子たちにチヤホヤされながら毎日楽しく働いている。

アルバイトと言えば、少し前からおしゃれな美容院のポスティングも掛け持ちしている。給料は安いけど、カットモデ

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