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パトリック・ジュースキント著『香水 ある人殺しの物語』

1985年にドイツで発行された小説。日本では2003年に発刊され、2007年に映画も公開されている名作。

18世紀のフランスを舞台に、超人的な嗅覚を持って生まれた孤児ジャン・バチスト・グルヌイユの生涯を描いている。

この物語の主人公は劣悪な環境での生まれ育ちと、持って生まれた偏執的な性格傾向、異常なまでの嗅覚が全て揃った事で殺人犯にまでなってしまったのだろう。

この物語のほとんどは優れた嗅覚

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ボフミル・フラバル著『わたしは英国王に給仕した』

ボフミル・フラバル著『わたしは英国王に給仕した』

初版は1971年に共産主義国のチェコスロバキア(当時)で発行された小説。
日本では2010年に同タイトルで池澤夏樹「個人編集 世界文学全集Ⅲ-01」で刊行され、2019年に文庫化されている。

舞台は20世紀初頭頃のチェコで百万長者を目指してホテル給仕見習いとなったチェコ人の青年・ジーチェの数奇な人生が描かれている。

この時代を描いた映画や文学には必ずナチスの影響があり、多くの人達の人生が翻弄さ

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