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強い労組/弱い労組 (個人で入れる労組の話)

※ 会社内の企業別労働組合の話ではない
※ 3000文字


最近、私は労組の手伝いや、集会・勉強会に頻繁に参加している。

私の加入している労働組合(合同労組:ユニオン)は、戦略や交渉力が強くて、頼れる労組だ。

メンバーの話を聞くと、数名は、他所のユニオンから移籍してきたとのこと。
前に在籍していた労組は、頼りなかったんだって。

・戦略に長けている
・高い交渉力

・社外行動力(街宣ビラ撒き、街宣車の手配など)
・弁護士との連携
・人的資源(ベテラン幹部の存在や活動メンバーの数)
・入会金や月会費(入会金は千円のところもあれば、1万円というところもある。月会費も大きく差がある)
・成功報酬(10%から20%と、開きがある)
・組合の資金、事務所や設備
・全国の組合ネットワーク、連帯行動やイベントなどの社会活動力
・ネットでの発信力(YouTube配信、SNSの活用、ブログやnote、組合のサイト)
・メディアとの連携(新聞・テレビ、ジャーナル)
・官僚や国会議員、都道府県議会議員との人脈

は、組合ごとに異なる。


戦略と交渉力は基本なので、ここが弱いと辛い戦いになってしまう。反対に、強い労組だと、百人力!というくらい、心強く感じる。



それと、大事なのは「組合の資格」。

労働組合は、労働者の自由な意思だけで結成することができ、届出や許可は一切必要ないのだけれど『労働組合法』に定められた「労働組合」に該当するかが問われるケースが少なくない。

「労働組合法 第2条及び第5条第2項」を満たしていないと、労働組合として正式に(公的に)認められない。

労働組合法

第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでな

労働組合法第2条

2 労働組合の規約には、左の各号に掲げる規定を含まなければならない。

一 名称
二 主たる事務所の所在地
三 連合団体である労働組合以外の労働組合(以下「単位労働組合」という。)の組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱を受ける権利を有すること。
四 何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと。
五 単位労働組合にあつては、その役員は、組合員の直接無記名投票により選挙されること、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあつては、その役員は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票により選挙されること。
六 総会は、少くとも毎年一回開催すること。
七 すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によつて委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書とともに、少くとも毎年一回組合員に公表されること。
八 同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと。
九 単位労働組合にあつては、その規約は、組合員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあつては、その規約は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと。

第5条第2項


わが国では、労働組合は自由に設立することができます。したがって、労働組合を設立してもどこへも届け出る必要はありません。ただし、労働組合が労働組合法の定める手続きに参与したり、救済を受けるためには、労働組合法第2条及び第5条第2項に定める一定の資格要件を備えていなければならないことになっています。

厚労省


労働争議の解決は、最終的に『都道府県の労働委員会』を頼るケースが多い。
裁判とは違い、労組を通すことで無料で使えるし、会社側と決着をつけるにあたり、最終手段となることが多い。

労使紛争は、労使当事者がお互いに誠意を持って話し合い、自主的に解決することが望ましいのですが、実際には労使当事者だけでは解決しないことがあります。

そこで、労使紛争の解決に当たる公平な第三者機関として、労働委員会が設けられています。

厚労省


団体交渉が決裂したり、不当労働行為があった場合は、労働委員会に申し立てをする。申し立てが受理されると、調査・審問の場が設けられる。

例.東京都労働委員会の審査の流れ

(補足事項:  不当労働行為、命令・救済について)


東京都の場合、都庁南側の38階に呼び出される。

都労委の審査には、
申し立て人(労組)側は当該の労働者と労組の仲間、
会社側は、関係者や人事部、弁護士が数名参加、
労働委員会側は「学識経験者から選ばれた公益委員・労働組合から選ばれた労働者委員・使用者団体から選ばれた使用者委員の三者」が参加する形となる。

※労組のメンバーは労働問題のベテランなので、弁護士をつけなくても戦えるケースが多い。

38階は見晴らしがいいよ。
32階の食堂は、お昼時は凄く混む


労働問題に強い弁護士を招いた勉強会でも
「労働委員会による"救済"制度が、解決の決め手になることが多い」と聞いた。

一番良い解決は、団体交渉や事務折衝で解決することなんだけど、労組と長期間戦うような会社はマトモでないところが多いので、労働委員会のような第三者が介入しないと解決しないケースが多い。

なので、「労働委員会を使える資格のある労組か?」は、要となるのだが、たまに資格のない合同労組が存在する

会社側につく弁護士も、次のように述べている。
資格がないのは、重大な弱点となる。

労働組合がどのような団体かは、労働組合法に定めがあります。労働組合法に定められた「労働組合」に該当しなければ、同法の保護を受けることができず、不当労働行為の救済を受けることができません。これに対し「労働組合」に該当すれば、不利益取扱い、団体交渉拒否、支配介入といった行為が、不当労働行為として違法になります。

そのため、団体交渉の申入れを受けたときは、まず初めに、「その団体が、労働組合法の『労働組合』の条件を満たしているか」を確認してください。

企業の労働問題解決ナビ


そうすると最悪、裁判でないと決着をつけられないということになる。



労働争議を裁判でやると、長期化するし、お金もかかる。
その上、会社側の屁理屈な主張が通ることも少なくなく、労働者側に不利になりやすい。


判決は裁判官の判断に委ねられるので、「明らかにその判断はおかしいだろう!」ということも、裁判ではまかり通っているのが現実だ。

原告(労組側)は、怒りと失意でメンタルが疲弊する。

お金がかかるから裁判をしないとなると、会社と不誠実交渉を長期間やる羽目になり、それもまた申し立て人が疲弊する原因となる。
(たまに10年でも戦ってやる!と継続している申し立て人もいるけど・・・)



そういうわけなので、労働委員会が使えないと色々と辛い・・・。


労組の資格要件を満たしている団体なのか調べるには

① サイトに記載があるか調べる
 (資格があれば大抵記載がある)

② 初回相談時に、労組資格を満たした組合なのか尋ねる

どちらかを、加入する前にしておいたほうがいい。




労組のベテランの方が読んだら、上記の説明の欠けている点に気づかれるかもしれないので、コメント欄にてご教授ください。

不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。