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485社で働いた私の便利な多重人格スイッチ ⑤『"パワハラ社長と恐怖のチョコレート工場"ゲームをクリアした菓子職人』


私の社会人経験は、6年間のお菓子職人から始まった。

和菓子から洋菓子まで、いろいろ手作りした。
カステラや羊羹は上級職人技。しかも、かなり力がいるので、男性職人には出来るが、私はとうとう作らなかった。

ケーキ作りは、手先と注意力が鍛えられる。
少し気を抜くと、コック着の袖に生クリームがついて、アウトである。
デコレーションは、飽きが来なくて面白いんだけどね。

「製菓製パン」と一緒くたに語られることが多いが、お菓子職人の技術は、パンやピザにも応用が効く上、手打ち蕎麦の製作にも活かすことが出来る。
一度だけ料理教室で、手打ち蕎麦をやってみたことがあるが「初めてにしては上手いね」と褒められた。


給料さえ安すぎなければ、そして繁忙期に朝5時から夜11時までの仕事にならなければ、それと腕が鉄板で火傷だらけになったり、鉄板を足の上に落とす事故とかがなければ、やりがいもあるし、楽しいし、たまに味見出来るし、スキルもつくしと、とても良い仕事なのに、と思う。


「昔とった杵柄」の諺の通り、6年もやったら、生きている限り体が技を覚えているようだ。


10年ぶりくらいに、チョコレート工場でチョコレート作りのバイトをした。


"トリュフ"という、中に柔らかい生チョコが入る難しい商品を作った。

生クリームを混ぜて緩くしたチョコレートを、穴の空いた硬いボール状のチョコの中に、穴の入り口ピッタリまで注入していく。

作業をトロトロやっていると、チョコボールに生チョコが垂れたり、穴の周りを汚したりして大変。
何が大変かというと、女社長がブチ切れるのが大変で、それ以外は、リカバリ可能なので大して大変ではない。

チョコが壊れるより、凶暴ゴリラのような女社長が壊れると手がつけられなくなり大変なのである。


そんな中でトリュフを600個作った。

パワハラが生きがいの女社長のギラギラの眼差しを浴びながら、1つも垂らすことなく生チョコを充填できた。
1つでも失敗すれば、女社長が激怒するのである。

まるでスマホのクソゲーみたいなルールだ。
失敗しなかったので、見事このステージは「Clear!」出来た。どんなゲームでも、クリアの瞬間は気持ちいい!


一緒に仕事をした非職人のスキマバイトの女性はどうしてるかな?

やはり素人は失敗するので「ゴミカスじゃね!?お前も、チョコも」と女社長に辛辣に怒られてしまった。
クソゲーの画面なら「Game Over」って出ているな。

(スキマバイトにプロを求めるな!
 ゴミカスは、お前じゃ!)
スキマバイターの心の声は皆、同じだろなあ。

ボウルから液体状のチョコをディスペンサーという容器に移し替えるのも、私は菓子職人的なゴムヘラの使い方を覚えていたので、難なく出来た。
ボウルの液状のチョコレートを、ほとんど残すことなく容器に移しかえ出来た。

ディスペンサー容器


素人さんは、ボウルに液体チョコがベッタリと残してしまい、またもや社長が「もったい、なーい!!!」と激怒!


怒るのが仕事みたいな女社長は「怒る」ためにスキマバイトを募集してるのかもしれない。
『パワハラ社長と恐怖のチョコレート工場』というB級ホラー映画の脚本が書けそうな気がしてきた。

『チャーリーとチョコレート工場』では、ウンパ・ルンパ達が歌と踊りをパワフルにやってのけ、悪いやつも吹っ飛ばした。



私は、お菓子職人の腕が蘇ったおかげで
『パワハラ社長と恐怖のチョコレート工場』で、"歌を忘れた悲しいウンパ・ルンパ"みたいにならずに済んだ。


「私の中のお菓子職人の人、助けてくれてありがとう!」

女社長をチョコレート噴射で吹っ飛ばしたら、従業員一同、スカッ!とて、ウンパ・ルンパみたいに踊りたくなっちゃうかも・・・。



会社を持っても
そんな社長には、

なりたくないなあ・・・。

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不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。