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詩集「有人向西」

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人ありて西に向かう。その先に何が待つのか…
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融点

融点

壁が溶け
半透性の原形質が
あらわれる
果たして起きるのか?
核融合は

詩集「有人西向」(2005年)より
初公開作品
©︎2024九竜なな也

観念の淵

観念の淵

卑下の粘液を蓄えた
深い観念の淵
もがけばもがくほど
液体の粘度は増し
筋肉を重たく締めつける

淵は底無し
一条の光も見えず
声は聞こえない
浮き上がりもせず
沈み横たわることもない

ただあるのは
萎えかけの私

詩集「有人西向」(2005年)より
初公開作品
©︎2024九竜なな也

詩/恵まれ

詩/恵まれ

寝入る我が子に
天使を観る
夫は父
妻は母

詩集「有人西向」(2005年)より
初公開作品
©︎2024九竜なな也

詩/菩薩

詩/菩薩

おん かかか
びさんまえい そわか
ヤクルト
グリコ
チロルチョコ
悲しくて深い
母の想い

詩集「有人西向」(2005年)より
初公開作品
©︎2024九竜なな也

詩/咒、静寂

詩/咒、静寂

小雨降る
午前の閑室
鈍光の中
溶けてゆく

詩集「有人西向」(2005年)より
初公開作品
©︎2024九竜なな也

宮古空港 すなかぎ にて

宮古空港 すなかぎ にて

何のために生きるのか
どう生きるのか
考えても意味がない
この世に生まれ、今生きている。
その現実があるだけだ。
神の意志によって生かされ
そして死んでゆく。
その意図を知る由もない。
幸せになろうと求めれば
苦しみから逃れようとあえげば
ただ ただ 悩みが残るだけ
この人生。
幸せが多いか、苦しみが多いか
その釣り合い不釣り合いに意味はない。
静かに受け入れて
死ぬまで生きておればよい。
生の営

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