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佳石[かせき]
2021年1月21日 01:17
この部屋にあるのは、おんぼろな椅子と、体重をかけるたびに軋むうるさいベッド、そして、東側に突き出た小さな出窓が一つ。それだけ。日がな一日、横になるか縦になるかしかない私は日々その窓の四角の向こうが晴れたり曇ったり雨だったりするのをただただぼんやり眺めてた。外に出たい、なんて思ったことはない。だってお外は怖いところなのよってお婆さんが口酸っぱくして何度も何度も何度も言うのだもの。