見出し画像

DX企画書のネタ帳をはじめた人「DXの鍛え方 伝道師」とは?「DXの道を切り開く伝道師、その人物と使命に迫る」|#DX企画書のネタ帳【自己紹介:2024年版】

はじめまして、近森満です。私はデジタル業界で40年の経験を持ち、ITプロフェッショナルの育成を専門としています。現在、株式会社サートプロの代表を務めています。

ここでは、「DXの鍛え方 伝道師」と自称している私が、どのような人物であり、どのような活動を行っているのかをご紹介します。

※このnoteに出てくるキーワードは以下の通りです。

https://textmining.userlocal.jp/

はじめに

デジタル時代における生産性とスキルアップの重要性

2024年現在、社会は急速に変化し続けています。インターネットの登場以降、人々の活動スピードは指数関数的に速くなり、ITの導入により仕事の生産性も飛躍的に向上しています。特に生成AIの登場は、作業の効率化を顕著に進め、ブログ作成などの知的労働も短時間で高精度に仕上げることが可能になりました。今後はITやデジタル技術をどれだけ活用できるかが重要となり、日々のスキルアップが求められます。

私は事業化コンサルタントとして、エンジニアがスキルアップすることで、エンドユーザーが喜ぶ社会が訪れることを切に願っています。エンジニアの成長は、サービスやシステムの品質向上に直結し、最終的にはユーザーの満足度向上に寄与するからです。技術の進化に伴い、エンジニアの役割もますます重要となり、そのスキル向上が不可欠です。

令和に入り人材不足ではなく、教育不足に陥る

令和の時代に入り、私たちは人材不足ではなく教育不足に直面しています。現在、教育というキーワードが注目されています。特にソフトスキル、すなわち形のない技能の重要性が認識されています。

教育を受けることで、その能力がテスト結果や認定試験などを通じて評価されます。そして、その過程で資格が大きな役割を果たしていることがわかります。教育と資格は車の両輪のように、互いに補完し合う存在なのです。

この教育不足という考え方については、私の議論となりますが、デジタル社会において新しいテクノロジーが次々と登場し、変化の速いITを最大限に利用するためには、自らをスキルアップしていく必要があると考えています。しかし、目の前の仕事や日々の生活に追われる中で、自分自身を見つめ直したりスキルを向上させる時間を確保するのは現代の人々にとって難しいことです。

※この点については、厚生労働省や経済産業省のホワイトペーパーなどに多くのエビデンスが示されていますので、ぜひ検索してみてください。

画像2

私はサートプロという会社で代表を務めています。社名は「サーティフィケーション・プロフェッショナル(Certification Professional)」に由来し、IT技術者のための資格認定・検定試験の運営と人材育成・教育支援を行っています。

詳しくは会社のホームページをご覧ください。

近森満が人材育成教育支援を行う理由

私はもともと沖電気の関連会社で仕事をしていました。1980年代に入り、オフィスコンピュータ(オフコン)、1990年代はパーソナルコンピュータ(パソコン)が登場した頃、会社でもワープロ専用機からパーソナルコンピュータが各部署に導入されるようになりました。この変化を目の当たりにし、私は時代が1人1台パソコンを持つ時代に向かっていると強く感じました。

この予感から、私は沖電気を退職し、コンピュータ教育に携わりたいと考え、転職を決意しました。当時、パソコンの使い方を学ぶニーズが高まっていましたが、私はユーザーがコンピュータを道具として最大限に活用できるようになるためには、エンジニアの力が不可欠だと考えていました。

転職先は、世界でもトップクラスのコンピュータ教育機関でした。ここで私は、ユーザーのスキルアップだけでなく、プロのエンジニアを育成するトレーニングやカリキュラムの開発に没頭しました。エンジニアがより高度なスキルを身につけることで、ユーザーにとってより良いコンピュータ環境を提供できると信じていたからです。

余談ですが、いまでこそデジタル社会やITシステムが当たり前の世界になりましたが当時はまだまだ「ITで飯が食えるの?」とか言われていました。

この経験を通じて、私は教育の重要性を強く認識し、IT技術者の育成と教育支援に取り組むことが自分の使命だと感じました。現在、私はサートプロの代表として、IT技術者のための資格認定や人材育成に尽力しています。プロのエンジニアを育てることで、より多くの人がデジタル技術を活用し、豊かな生活を送れるようになることを目指しています。

サートプロの歴史は検定開発の歴史

サートプロの歴史は、技術者のスキルを評価し、育成するための検定開発の歴史そのものです。設立以来、私たちは多くの認定試験を開発・運営し、技術者のスキルアップとキャリア形成を支援してきました。

2000年に入り、時代は組込みソフトウェア、自動車や家電で急成長

当社の設立は2006年で、組込みソフトウェア技術者向けの認定試験制度「ETEC(Embedded Technology Engineer Certification;組込み技術者試験制度)」の開発と運営から始まりました。

組込みソフトウェアとは、特定の機能を実現するために電子機器や産業製品に組み込まれたソフトウェアのことです。一般的なパソコンやスマートフォンのように汎用性を持つソフトウェアとは異なり、特定のハードウェアと密接に連携して動作するのが特徴です。以下に具体例を挙げて説明します。

組込みソフトウェアの具体例

  • 家電製品:洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫などには、その操作や機能を制御するためのソフトウェアが組み込まれています。

  • 自動車:エンジン制御やブレーキシステム、カーナビゲーションシステムなど、多くの部分に組込みソフトウェアが使用されています。

  • 医療機器:心拍計やMRI装置など、医療現場で使用される機器にも高度な組込みソフトウェアが搭載されています。

  • 産業機器:生産ラインのロボットや工場の制御システムなど、産業用機器にも組込みソフトウェアが使われています。

特徴

  • 専用性:特定のハードウェアに特化して設計されているため、高い効率性と信頼性を持っています。

  • リアルタイム性:リアルタイムでの処理が要求されることが多く、迅速かつ正確な動作が求められます。

  • リソース制約:限られたメモリや処理能力を前提に設計されるため、最適化が重要です。

組込みソフトウェアの重要性

組込みソフトウェアは、現代の多くの電子機器や産業製品の機能を支える中核的な存在です。これにより、製品の性能やユーザーエクスペリエンスが大きく向上します。また、組込みソフトウェア技術者は、これらの製品の開発・保守に不可欠な存在であり、その需要はますます高まっています。

日本は組込みソフトウェア製品に長けていると言われています。その一例として坂村健博士が開発したTRONというOS(オペレーティング・システム)があります。TRONは最盛期には世界の70%にまで普及したと言われています。

ETECの創設

この組込みソフトウェアやシステムが急速な普及により技術者が不足し、従来の「ITSS(Information Technology Skill Standard;ITSS、ITスキル標準)」では組込み技術者のスキルを評価することができませんでした。

そのため、後にETSS(組込みスキル標準)が制定され、組込みシステム技術協会(JASA)によって組込み技術者試験制度「ETEC(Embedded Technology Engineer Certification)」が開発されました。私はこのETECの立ち上げを任され、制度設計や検定の開発、その他、運営に携わりました。

2010年、突然スマートフォンが世界を席巻、Androidがオープンソースに。

2010年、突然スマートフォンが世界を席巻し、Androidがオープンソースとして登場しました。

Androidスマートフォンの登場背景

2000年代後半、スマートフォン市場は急速に進化を遂げました。当時、AppleのiPhoneが画期的なデザインと操作性で市場をリードしていましたが、これに続く形でGoogleは2008年にAndroid OSを発表しました。Androidは、オープンソースとして提供され、多くのハードウェアメーカーが自由に利用できるという点で注目を集めました。

スマートフォンの急速な普及の理由

  1. オープンソースの利点: Androidのオープンソース戦略により、Samsung、HTC、LG、Sonyなど、多くのメーカーがAndroidを採用しました。これにより、様々な価格帯やデザインのスマートフォンが市場に投入され、消費者の選択肢が広がりました。

  2. アプリエコシステムの拡大: Androidの登場とともに、Google Playストアが開設され、多くの開発者がアプリを提供するようになりました。これにより、消費者は豊富なアプリケーションを利用でき、スマートフォンの価値が大きく向上しました。

  3. 価格競争力: Androidスマートフォンは、さまざまな価格帯で提供され、高価格帯のプレミアムモデルから低価格帯のエントリーモデルまで、幅広いユーザー層にアプローチしました。これにより、スマートフォンの普及が加速しました。

  4. グローバルな普及: Androidは多言語対応と国際的なネットワークを備えており、全世界での展開が容易でした。特に新興市場において、安価で高性能なスマートフォンが普及し、デジタルデバイドの解消にも寄与しました。

  5. キャリアのサポート: 多くの通信キャリアがAndroidスマートフォンを積極的に推進し、契約プランに組み込むことで、消費者にとって購入しやすい環境が整いました。これにより、スマートフォンの普及が一層加速しました。

OESFの創設とACEの開始

Androidの急速な普及に伴い、技術者不足が顕在化しました。この問題を解決するために、「一般社団法人「Open Embedded Software Foundation:
OESF」が「Android技術者認定試験制度:ACE(Authorized Certification of Engineer for Android)」を構築し開始しました。

この認定試験制度は、Android技術者のスキルを標準化し、評価するためのものであり、世界中で多くの技術者がこの認定を受けています。

ACEの目的

  • 技術者不足の解消: Android技術者の数を増やし、スマートフォン業界の成長を支える。

  • スキル標準化: 技術者のスキルを客観的に評価し、一定の基準を設けることで、企業が信頼できる技術者を確保できるようにする。

  • キャリアアップの支援: 技術者が自分のスキルを証明し、キャリアアップのための足がかりとする。

試験内容

ACEは、Androidプラットフォームに関する幅広い知識と技術を評価するために設計されています。試験は以下のような内容を含みます。

  • Androidアプリケーション開発: 基本的なアプリケーションの設計から高度な機能の実装まで。

  • ユーザーインターフェース(UI): 直感的で使いやすいUIの設計と実装。

  • データ管理: データベースやネットワークを利用したデータの保存・管理方法。

  • パフォーマンスの最適化: アプリケーションの効率性とパフォーマンスの向上技術。

  • セキュリティ: アプリケーションの安全性を確保するためのベストプラクティス。

グローバル対応

ACEは、全世界に向けて提供されており、試験は英語、日本語、中国語の3言語で実施されています。これにより、多くの国や地域で技術者が受験できる環境が整っています。

受験者数と影響

現在までに10,000名以上の受験者があり、多くの技術者がこの認定を取得しています。この認定試験を通じて、多くの技術者が自分のスキルを証明し、キャリアアップのための新たなチャンスを得ています。また、企業にとっても信頼できる技術者を見つけるための重要な指標となっています。


電気・電子系が注目のエレクトロニクス産業

2011年、私は「E検定(電気・電子系技術検定試験)」の立ち上げを担当しました。最初は制度設計のコンサルタントとしてスキルマップの開発や評価システムの構築を行いました。

この試験はもともと株式会社デンソー社内の技術者育成制度として始まり、電気・電子系技術者の技術レベルを評価し認定するものでした。主催団体は、2014年に設立された電気・電子系技術者育成協議会で、理事長は元デンソー専務で技術のトップを務めていた加藤光治氏です。

デンソーは、自動車の電装部品の大手企業であり、自動車の進化に伴って部品も専門化が進んでいました。しかし、その結果として全体を見渡せる人材が減少するという課題が生じました。そこで、基本的な電気・電子知識や技術を持つ人材を育成するために、社内で試験制度が開始されたのです。

やがて、この試験制度はデンソーグループ内だけでなく、広く一般にも開放されることになりました。当社がその運営を引き受けることになり、「E検定」はより多くの技術者が受験できる認定試験として発展しました。この試験は非常に高度な内容を持ち、受験者のスキルを点数制で「見える化」することを目的としています。そのため、合否ではなく、点数によって自身のスキルレベルを確認できる仕組みとなっています。

「E検定」は、技術者のスキルを評価するだけでなく、スキルアップを目的としたコンテンツも提供しています。この試験にはイーラーニングもセットで含まれており、受験者は自分自身の得意分野や不得意分野を可視化することができます。これにより、継続的な学習を通じてスキルアップを支援し、幅広い電気・電子系の知識を活かすことができるのです。

イーラーニングコンテンツは、試験の準備だけでなく、実務に役立つ知識や技術の習得をサポートします。これにより、技術者は自分の弱点を補強し、強みをさらに伸ばすことができます。例えば、ある技術者が特定の分野で不足している知識を発見した場合、イーラーニングを通じてその分野のスキルを強化できます。また、得意分野については、さらに高度な内容に挑戦することが可能です。

このように、E検定は単なるスキル評価の手段にとどまらず、技術者の成長を促進する包括的な学習支援システムとなっています。結果として、電気・電子系の知識を体系的に学び直し、現場での実践力を高めることができます。これにより、技術者は最新の技術動向に対応し、より高いレベルでの業務遂行が可能となるのです。

E検定とイーラーニングの組み合わせは、技術者の継続的なスキルアップを支援し、電気・電子系産業の発展に寄与しています。これにより、企業全体の技術力が向上し、競争力の強化につながります。

E検定は、いまや全国の電気電子系技術者のスキル可視化の1つとして人気の試験になりました。
2020年には大手自動車メーカーの技術者全員が取得する号令が出され、約2000名が1社受講、受験しています。この試験を通じて、技術者は自身のスキルを客観的に評価し、さらなるスキルアップを図ることができるようになりました。

余談ですが、最近何かと話題のAI(人工知能)、ディープラーニング協会が運営している試験制度があります。G検定とE資格という名前なのですが、よくE検定とE資格を間違われております。

アジャイルが世界のソフトウェア開発の主流になる

アジャイル開発手法の普及に伴い、ソフトウェア開発技術者のための「アジャイル検定(アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験)」をリリースしました。「アジャイル」という言葉はIT分野だけでなく、ビジネスのさまざまな分野で耳にする機会が増えています。
2014年12月には、システム開発に年々適用が増えるアジャイル開発の技術者を育成するために、アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験コンソーシアムが設立されました。

アジャイル開発手法とは

アジャイルとは、開発対象を小さな機能に分割し、機能を追加・改善しながらシステムを育てていく手法です。1回リリースして終わるのではなく、継続的に更新を繰り返すのが特徴です。この手法により、変化に柔軟に対応し、迅速に価値を提供することが可能になります。

アジャイル検定の背景と開発

アジャイル開発手法は普及しつつありますが、各企業や個人によって捉え方が異なり、さまざまな“流派”が存在します。そこで、流派にとらわれないスキルセットを作るために、小規模から大規模開発を行うさまざまな企業にコンソーシアムへ参加してもらい、議論を重ねながら3年かけて「アジャイル検定」をまとめました。

アジャイル検定の実施と今後の展開

現在、アジャイル検定のレベル1が実施されており、約3,000人が受験しています。上級となるレベル2もリリースされています。
2018年7月からは世界的規模の試験配信ベンダーであるプロメトリック社によって日本全国150会場で実施予定です。

現在新しいレベル2試験を開発中で、近々ベータ試験を行なう予定です。


DX時代に必要なIoTは技術の総合格闘技

2015年からは、IoT、AI、ビッグデータなどに関する能力とコーディネータを認定する「IoT検定」の開発・運営を行っています。この検定は、IoT検定制度委員会という団体が実施しており、中島洋委員長を筆頭に、元Google副社長の村上憲郎氏など、業界の有識者がアドバイザーとして参加しています。私は理事兼事務局長を担当しています。

IoT検定の背景と目的

IoT(Internet of Things)は、様々なデバイスやセンサーがインターネットを通じて接続されることで、データの収集・分析・活用が可能になる技術です。AI(人工知能)やビッグデータ解析と組み合わせることで、スマートホーム、スマートシティ、産業用IoTなど、多岐にわたる分野での応用が期待されています。しかし、これらの技術を効果的に活用するためには、総合的なスキルが必要とされます。

IoT検定の特徴

「IoT検定」は、IoT技術に関する幅広い知識とスキルを評価し、技術者が自らの能力を証明するための試験です。この検定は、以下のような特徴を持っています。

  • 包括的なスキル評価: IoT、AI、ビッグデータ解析、ネットワーク、セキュリティなど、複数の分野にまたがる技術を総合的に評価します。

  • 実務に役立つ内容: 現場での実践的なスキルを重視し、技術者が即戦力として活躍できるように設計されています。

  • 多様な受験者層: IT技術者だけでなく、管理職やコーディネータとしての役割を担う人々も対象にしており、幅広い知識を持つプロフェッショナルを育成します。

有識者によるサポート

IoT検定制度委員会には、中島洋委員長をはじめ、元Google副社長の村上憲郎氏など、業界の有識者が参加しています。これらの専門家が提供するアドバイスに基づき、試験内容の開発や運営が行われており、技術の最新動向や実務に即したスキルセットを反映させています。



ビッグデータ時代の必須スキルのXML

このほか、2001年に発足したXMLスキルの認定資格「XMLマスター(XML技術者認定制度)」の運営も当社で行っています。XMLは今後のビッグデータ活用に大いに利用される技術であり、また中小企業DEIに採用され、検定も長い運営になりますがまだまだニーズがあります。

デジタル産業時代の必須要件「DX」認定制度を創設

2018年、IoT検定制度委員会の活動メンバーを中心に、デジタル時代に必要な能力を評価するための「+DX認定」オンライン試験を開発し、リリースしました。この新たな認定制度は、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に不可欠なスキルと知識を評価・認定するものです。

+DX認定制度の背景と目的

デジタル産業が急速に進化する中で、企業や個人がデジタル技術を効果的に活用する能力が求められています。これに応じて、+DX認定制度は以下の目的で創設されました:

  • デジタル技術の普及促進: デジタル技術の理解と活用能力を普及させ、企業や個人がDXを効果的に推進できるよう支援します。

  • 総合的なスキル評価: IoT、AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティなど、デジタル時代に必要な幅広いスキルを評価します。

  • 継続的なスキルアップ: 認定試験を通じて、受験者が自らのスキルを評価し、継続的な学習とスキルアップを促進します。

+DX認定オンライン試験の特徴

  • オンライン対応: 試験はオンラインで受験可能なため、場所を問わず受験できます。これにより、忙しいプロフェッショナルや遠隔地にいる受験者も参加しやすくなります。

  • 最新技術に対応: 試験内容は常に最新の技術動向を反映しています。業界の専門家の意見を取り入れ、実務に役立つスキルを評価します。

  • 包括的な試験範囲: IoT、AI、ビッグデータ、クラウド、サイバーセキュリティなど、デジタル時代に不可欠な複数の分野をカバーしています。

IoT検定制度委員会の役割

IoT検定制度委員会は、+DX認定制度の開発・運営において中心的な役割を果たしています。中島洋委員長をはじめ、業界の有識者たちが協力し、試験内容の設計や実施を支援しています。これにより、試験の信頼性と実効性が高められています。

認定、検定、試験、資格とは?

  • 認定:特定の基準や条件に基づいて、特定のスキルや知識を持つことを公式に認める「仕組み」です。

  • 検定:試験を通じて特定のスキルや知識を「測定」するプロセスです。

  • 試験:スキルや知識を評価するための具体的な「手段」や方法です。

  • 資格:認定されたスキルや知識を公式に証明する「証書」や「称号」です。

個人にとっての資格

資格は、個人の能力を示す強力なツールです。以下のようなメリットがあります:

  • 能力の証明:資格を持つことで、自分のスキルや知識を客観的に証明できます。

  • キャリアアップ:資格を持つことで、就職や昇進に有利になります。

  • 自己評価:資格取得を目指すことで、自分の実力を見直し、さらにスキルを向上させるきっかけとなります。

企業にとっての資格

企業にとっても、資格制度は重要な役割を果たします:

  • 技術レベルの把握:社員のスキルを検定することで、自社の技術レベルを正確に把握できます。

  • 信用の証明:社員が持つ資格を取引先に示すことで、企業の技術力や信頼性を証明できます。

  • 人材育成:資格取得を奨励することで、社員のスキルアップを促し、企業全体の競争力を高めることができます。

スキルの可視化

資格を取得することで、個人のスキルが「見える化」されます。これにより、個人の能力が明確にタグ付けされ、以下のような効果が期待できます:

  • 効果的な人材配置:スキルが可視化されることで、適材適所の人材配置が容易になります。

  • スキルギャップの特定:不足しているスキルを明確に把握し、教育や研修の計画を立てやすくなります。

  • モチベーションの向上:スキルの可視化により、個人の成長が実感しやすくなり、さらなるスキルアップへのモチベーションが高まります。

資格試験・認定制度が実施されるまでの流れ

資格試験や認定制度は、技術者のスキルを評価し、標準化するための重要なプロセスです。その開発と実施には、以下のようなステップが含まれます。

1. 発案とニーズの確認

資格試験や認定制度は、通常、関連する社団法人や財団法人、またはその業界の有識者が発案します。例えば、「組込みソフトウェアの技術者が不足しているため、育成を促進したい」や、「従来の基準や履歴書ではスキルレベルが明確でないため、評価基準を設けたい」といったニーズから始まります。

2. スキルセットの作成

最初に行うべきことは、対象技術のスキルセットを作成することです。これは、どの程度の能力があれば何ができるのかを定義するプロセスです。このステップは非常に重要であり、関係者が時間をかけて話し合い、技術者のデータを収集しながら進めます。スキルセットの構築には以下の要素が含まれます:

  • 能力レベルの定義:能力をいくつかのレベルに分ける。

  • 分野の分類:スキルを分野ごとに分類し、体系(モデル)を作成する。

3. 試験問題の作成

スキルセットが完成したら、それを基に認定試験の問題を作成します。この段階では、専門家が集まり、問題の品質と公平性を確保するために慎重に検討します。

4. 主催団体の設立

認定制度の主催は、通常、社団法人や財団法人が行います。これらの団体が存在しない場合は、業界の主要な企業や有識者で協議会などの任意団体を結成し、運営を担当します。

5. プロモーションと認知度向上

制度、スキルセット、試験問題、主催団体が整っても、試験はすぐにスタートできません。重要なのは、認定制度の存在を広くアピールし、試験の応募者を集めることです。これを実現するために、積極的なプロモーション活動が必要です。

6. 当社の役割

サートプロは、このプロセスにおいて重要な役割を果たします。特にプロモーション活動を通じて、認定制度の認知度を高め、試験の応募者を集めるためのサポートを行います。また、試験の実施や運営においても、多くの経験とノウハウを活かし、制度の成功を支援します。

パソコンの登場で教育市場が大きく変わった。

「当社の設立背景と私、近森満の経歴

サートプロの設立背景を説明するために、私、近森満のキャリアをお話しします。

最初の会社:沖電気の関連会社(名前がかわりました)

学校卒業後、私は沖電気工業の関連会社に就職しました。そこで有線・無線通信機器や制御装置を担当していました。当時はオフィスコンピュータ(オフコン)など大型コンピュータの時代で、パーソナルコンピュータが出始めた頃です。パソコンが1人1台になる時代が来ると確信し、私は沖電気を辞め、IT系の教育会社に転職しました。

2番目の会社:日本では役目を終え現在は存在しません。

その時代には、マイクロソフトのWindows OSが登場し、パソコンが急速に普及し始めました。同時にインターネットも浸透し、ネットワークエンジニアの育成が必要となりました。社会ではマイクロソフト社がMCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)の認定資格の普及を推進し始めた時期であり、転職先で私はその普及教育に携わることになりました。

3番目の会社:世界の教育会社Pearsonグループ

その後、世界的規模の検定試験配信ベンダーが2社存在する中、NCSピアソンVUEに2000年、ナショナル・コンピュータ・システムズ・ジャパン(NSCJ)の初代日本支社長としてヘッドハントされました。2年半の間社長を務め、全国を回り提携先を開拓しました。

4番目の会社:会社は役割を終え現在は存在していません。

2002年、アメリカのOMG(オブジェクトマネジメントグループ)というオブジェクト指向技術の標準化を進める国際的な非営利団体が、UML2.0(統一モデリング言語)の標準化を進めることになり、NCSJを辞めて、OMGなどの出資により設立されたUML教育研究所の代表取締役に就任しました。アジアパシフィック地域を担当し、UML2.0に準拠した「OCUP(UML技術者資格試験プログラム)」を立ち上げ、世界のUML技術者の認定に貢献しました。

5番目の会社:

その後、サーバーなど大型コンピュータのOSとして普及したLinux、そして組込みシステム用Linuxに関わるようになりました。同じLinuxでも、サーバー用は大手コンピュータメーカーが中心で、組込みLinuxはカーナビや携帯電話などライセンス単価の低いビジネスモデルのため、市場や販売方法が全く異なりました。企業ドメインも異なります。
実はこの会社(団体)は、設立時から私は関わりがあり、都度応援する立場にありましたので、ご縁があり入社しました。しかしながら、サーバーリックスと組込みLinuxでは全く同一の定義で語れないということがあり、サートプロとして組込み業界の技術者育成の仕事をすると決め、5社目に幕を閉じました。

6番目の会社

そこで、冒頭で述べたように、組込みソフトウェア技術者向けの認定試験制度「ETEC(Embedded Technology Engineer Certification)」を開発し普及するために、2006年にサートプロを設立し、その運営に取り組むようになりました。

資格試験・認定制度の価値

これまで資格試験・認定制度に関わってきた経験から、企業にとって資格認定の活用には2つの側面があることを実感しています。

1. 技術力の証明とスキルアップ

一つ目は、資格認定を通じて社内の技術者のスキルを評価し、さらにスキルアップを促進することです。このプロセスは、技術者の能力を客観的に測るだけでなく、彼らの成長を支援するための指標にもなります。さらに、認定資格を持つ技術者がいることで、企業は顧客に対して自社の技術力を証明し、信頼を得ることができます。

2. 顧客の要求に応える

二つ目の側面は、顧客の要求に応えるために資格を取得するケースです。特に、入札や仕事の請負に際して、一定数の資格保有者を確保することが求められる場合があります。このような状況では、資格認定がビジネス上の必要条件となり、企業にとって欠かせないものとなります。

技術者のスキル向上を目指して

私自身は、できるだけ前向きに資格認定を活用してもらいたいと考えています。技術者のスキル向上を促進し、彼らのキャリアを支援することが最も重要です。このため、検定制度を設計する際には、ユーザー企業の意見を積極的に取り入れるようにしています。

実例:Android技術者認定試験「ACE」

例えば、タブレットやモバイル端末のOSのシェアを見ると、世界ではAndroidが8割を占め、AppleのiOSは2割程度です。そのため、Androidのアプリケーション開発技術者の確保とスキル向上が急務となっています。あるメーカーでは、社内技術者の水準を確認するために「ACE(Authorized Certification of Engineer for Android)」を利用しています。最新のAndroid技術に追随しているかどうかを確認するため、当社に問い合わせがありました。

技術の変化に対応する

ソフトウェア技術は常に進化しています。特にAndroidのような技術は変化が激しいため、迅速に対応する必要があります。また、コアとなる技術や変化の少ない体系化された技術についても、ユーザー企業からの生の意見を反映し、時代に対応できるよう努めています。

IoT検定を例に取り説明

要素技術の多いIoT、検定は共通言語の役割

IoT検定制度委員会の発足と背景

IoT検定を主催するIoT検定制度委員会は、2015年11月に準備委員会が発足し、2016年3月に正式にスタートしました。委員長は一般財団法人 沖縄ITイノベーション戦略センター理事長で、国際大学(グローコム)客員教授の中島洋氏です。また、グーグル本社の元副社長で日本法人の代表を務めた村上憲郎氏がアドバイザリーボード・チェアマンを務めています。

IoTの要素技術と検定の必要性

IoTに関連する要素技術は非常に多岐にわたり、それぞれの分野で発展しています。そのため、こうした要素技術を統合できる能力を持つ人材を大量に育成する必要があります。しかし、初期の段階で有識者や関係者が集まって話し合ったところ、クラウドやネットワーク、データ分析などのITサイドと、センサーや制御装置などのデバイスを使ってデータを集める組込みサイドで話が噛み合わない状況が生じました。これは、これまでの技術分野が村社会的であり、視点や概念、言葉の定義が異なっていたからです。

そこで、IoT領域の「共通言語」を作る必要がありました。IoT検定のスキルセットはまさにこの共通言語として機能します。システムの提供側と利用側が共通言語で話し合えることで、ユーザーはシステムの価値を正しく判断できます。特にIoTのシステム開発では、ITベンダー任せでは通用せず、ユーザーが主体的に導入推進者になる必要があります。

IoT検定のスキルセットと試験内容

これまでの多くの検定のスキルセットは、技術に通じたスペシャリストのためのものでしたが、IoT検定は幅広い知識を持つプロフェッショナル向けの検定です。陸上競技でいえば、十種競技のように総合力が試されます。

IoT検定では現在も重要であり、10年後も重要であると考えられる8分野から70題が出題されます。以下がその分野です:

  • 戦略とマネジメント

  • 産業システムと標準化

  • 法律

  • ネットワーク

  • IoTデバイス

  • IoTプラットフォーム

  • データ分析

  • セキュリティ

現在はレベル1のみが提供されていますが、上級となるレベル2を開発中で、最終的にレベル3まで用意する計画で進めています。レベル1試験の受験者数は2年間で約1,500人で、半数が合格しています。合格ラインは正答率60%以上です。

受験者の属性と動機

受験者の属性は開発技術者が最も多いですが、ユーザー企業の社員も3割含まれ、IT系の検定としては珍しい現象です。本検定の狙い通り、IoTに関わる各分野のプロフェッショナルが受験しています。

受験者のアンケートによると、受験の動機は「自分のスキルの証明」が最も多いですが、きっかけとしては「上司や友人の勧め」が多く、所属企業の意向で受験する傾向が強いようです。所属企業には、コンサルティング会社や広告代理店のIT部門が多いのが特徴です。調査してみると、受験者の顧客がIoT分野でシステム構築を検討しているという取引先のニーズが背景にあることがわかりました。

開始早々で受験者が多岐にわたるとはいえ、受験者層の特徴としてはアーリーアダプターが中心で、大手企業といえども関わっている人材はごく一部に過ぎません。IoTはこれから普及期に入る段階に向かうと推測されるため、IoT検定は今後、受験者が本格的に増えると考えています。

冒頭に申し上げましたが、教育と資格は車の両輪のような関係です。

資格や検定を新たに作りたい、というニーズがあればぜひお声がけください。


教育の充実こそ人材不足解消のカギ

技術の進歩に伴い、新たな検定試験制度が次々と生まれてきています。仮に技術が枯れても、制度は一度始めたら、よほどの理由がない限り中止してはいけないと考えています。それは、エンジニアにとって資格が勲章のようなものであり、人生の一部だからです。資格が主催団体や運営会社の都合でなくなることは避けなければなりません。

そのため、業界で検定を廃止する場合は、当社が代わりに引き受けると宣言し、実際にいくつかの検定を引き受けています。どこまで頑張れるかはわかりませんが、このような思いで検定試験制度に関わり続けたいと考えています。例えば、XMLマスターやE検定も別の運営会社から全面移管され、運営を引き受けました。現在も交渉中の資格がいくつかあります。とはいえ、当社は表に出ず、運営のコストダウンや応募者数の増加を図って、資格の価値を維持し続けることが役割だと考えています。

資格の重要性

働き方改革が叫ばれる中で、自分の価値を高めたり、スペシャリストやプロフェッショナルとして本業や副業で活躍したりする上で、資格は自分の能力を証明する重要なツールになります。今、IT技術者が大幅に不足していると言われていますが、私はこれを「人材不足」ではなく「教育不足」だと考えています。企業には資格というツールを利用して、社員にもっと教育投資をしてほしいとお願いしたいのです。教育を充実することで、日本の人材不足を解決できると確信しています。

IoTとDXの重要性

IoTは、単一の技術ではなく、多くの要素が組み合わさっています。これらの技術が集まることで、世界的な潮流となり、プロダクト&プロセス・イノベーションを引き起こすための基盤となります。デジタルトランスフォーメーション(DX)によって、企業、人、そして社会全体が変わりつつあります。IoTは、IT業界だけでなく、製造、流通、エネルギー、金融、軍事、教育、農業、医学など、すべての産業と分野で研究や実装が進んでいます。

私がこのnoteを開設した当初は、「IoTの鍛え方伝道師」として登録していましたが、DXの潮流の中で、テクノロジーだけでなくマネジメント要素も多いデジタルトランスフォーメーションについてお話しするために、IoTの鍛え方から「DXの鍛え方伝道師」と改名しました。

スマート社会に向けて

これからのスマート社会では、賢くなることが求められます。私は、自らを鍛える方法を伝授し、皆さんが自分のスキルを向上させ、デジタル時代に適応できるようサポートしていきたいと思っています。教育と資格は、車の両輪のように不可欠な関係です。私たちは、この両輪を通じて、技術者のスキル向上と人材育成を進めていきます。

近森満(ちかもり みつる)
株式会社サートプロ 代表取締役CEO
IoT検定制度委員会 事務局長
一般社団法人IT職業能力支援機構 理事長
電気・電子系技術者育成協議会 副理事長

PS:DX企画書のネタ帳、始めました。
   毎日放送していますのでぜひご視聴ください!


ではまた。

画像1


この記事が参加している募集

#自己紹介

230,655件

よろしければサポートお願いします。DX関連のブラッシュアップに使用致します。どうぞ宜しくお願い致します。