DX推進の裏に潜む「リスキリングの闇」目的なしの学びが企業にブレーキをかける理由|#DX企画書のネタ帳
【記事概要】
リスキリングの重要性が高まる一方で、その闇も無視できません。デジタル時代において、個人や企業が直面する課題を、40年以上のデジタル業界での経験を持つ近森満が解説します。リスキリングが本質的に何を意味するのか、そしてスキルアップとの違い、さらには企業が抱えるリスキリングの問題点について考察します。
【目次】
リスキリングの闇とは
DX推進とリスキリングの関係
企業におけるリスキリングの現実
リスキリングとスキルアップの違い
リスキリング時代の未来予測
まとめと今後の展望
【本文】
こんにちは、株式会社サートプロの近森満です。
リスキリングの闇とは
リスキリングという言葉が、ビジネス界で頻繁に聞かれるようになっています。皆さんも「リスキリング時代」と聞いて、何か新しいことに取り組まなければならないと感じるかもしれません。しかし、リスキリングには明るい面だけでなく、その裏側に潜む問題もあるのです。
特に、多くの企業では「何のためにリスキリングをするのか?」という目的が明確でない場合があります。リスキリングを実施すること自体が目的化し、結果として従業員の負担だけが増えるという事態も少なくありません。目的のない学びが企業にブレーキをかける原因となるのです。
DX推進とリスキリングの関係
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、リスキリングは重要な要素です。DXを進めるには、新しい技術やデジタルツールを扱える人材が必要で、そのためにリスキリングが求められます。しかし、DXの成功は単に新しい技術を学ぶことにとどまらず、それをどのようにビジネスに活かすかという視点が必要です。
従業員にリスキリングを促す場合、その学びが企業の将来像やビジョンにどう結びついているのかを明確にすることが不可欠です。さもなければ、リスキリングが単なる負担に感じられ、従業員のモチベーションを下げる結果になるでしょう。
企業におけるリスキリングの現実
リスキリングというと、従業員の自主的なスキルアップをイメージするかもしれませんが、実際には企業が主導する場合が多いです。しかし、企業側もどのようにリスキリングを進めるべきか悩んでいるのが現状です。
新入社員研修は充実しているものの、その後のスキルアップやリスキリングの機会が減少している企業が多く見られます。特に、現場に配属された後は、自分で学ぶ時間を確保することが難しいという声が多く聞かれます。企業が予算をかけて研修を実施する機会も限られており、リスキリングに取り組む時間を捻出すること自体が課題となっているのです。
事例: 企業における新入社員研修
例えば、あるIT企業では、新入社員に対して3ヶ月間の徹底的な研修を行い、プログラミングやシステム開発のスキルを身につけさせています。しかし、現場に配属されると、その後のフォローアップ研修は限られており、自己学習が必要になります。これは、多くの企業で共通している課題です。
リスキリングとスキルアップの違い
リスキリングとスキルアップは似ているようで異なる概念です。スキルアップは、既存のスキルをさらに高めることを指します。例えば、現在C言語を使っているプログラマーが、Javaを学ぶことはスキルアップの一例です。一方、リスキリングは、全く新しい職種や業務に対応するために、新たなスキルを習得するプロセスです。安定したポジションを離れ、別の役割を担うための学び直しがリスキリングの本質です。
リスキリング時代の未来予測
リスキリングの未来について考えると、AIや自動化技術の発展が一つのキーポイントになるでしょう。生成AIが多くの業務を自動化し、従来のスキルが不要になる一方で、全く新しいスキルセットが求められる時代が訪れています。この時代には、リスキリングの重要性がますます増す一方で、企業や個人がその変化にどう対応するかが問われるでしょう。
ただし、リスキリングは万能ではありません。Eラーニングで多くのスキルを学べる時代ではありますが、それだけでは限界があることも理解する必要があります。実際に業務に活かすためには、学んだことを実践に移す機会が不可欠です。
事例: eラーニングでのリスキリング
私たちの会社でも、東京都が提供する中小企業向け東京都リスキリング事業に参加し、学習のためUdemy Businessを活用しています。オンラインで多くの教育コンテンツにアクセスできるこのプラットフォームを通じて、社員が自主的に学び直しを行っています。しかし、オンライン学習だけでは集中力が続かないという声もあり、リスキリングの効果を最大化するには工夫が必要です。
まとめと今後の展望
リスキリングは、個人のキャリア形成や企業のDX推進に不可欠な要素です。しかし、リスキリングの目的を見失わないようにしなければなりません。企業が従業員にリスキリングを促す際には、その学びがどのようにビジネスの成功につながるのかを明確にし、従業員のモチベーションを引き出す必要があります。
リスキリング時代において、個人も企業も新しいスキルを習得し続けることで、未来の変化に対応できるようになるでしょう。リスキリングの闇を理解し、正しい方向でスキルアップを目指していきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか?リスキリング時代の闇について、少しでも皆さまの気づきになれたのであれば幸いです。ではまた。
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