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食レポ すこぶる美味い白子の話

2022年の暮れに、高校生の時からの友人が転勤先から東京に帰ってきた。帰ってくる前から行くと決めていた店で美味いものを喰らい、生意気にナチュラルワインを嗜むなどする。よい年末だった。

元々彼女が教えてくれた西新宿の小さなお店。席数はカウンター6+テーブル4くらい。ナチュラルワイン好きのシェフが1人で切り盛りしている。 ド素人な私たちにも、それぞれの銘柄の特徴なんかを楽しそうに話してくれるので、こちらも気負いなく飲みたいものを選び、楽しめる。なんてありがたいお店なんだろう。

こんなことを書きながら、はやく白子の話をしたくて仕方ない。この画像を改めてご覧いただきたい。

「真鱈白子とカリフラワーのグラタン」
名前だけで既に旨い。

白子は加熱の加減が絶妙。加熱が不足すれば生臭く、ヌルヌルして気持ち悪いし、火を入れすぎてはボソボソになってしまうが、本当に絶妙。ぷりぷり、トロトロを保ちながら、表面には少し焦げ目が着いて香りが引き立っている。カリフラワーをあわせるセンスも感動的。カリフラワーって、あんまり馴染みがないかもしれないけれど、実はめちゃくちゃ旨味のある野菜。ブロッコリーの白い版では決してなく、プリっコリっとした歯ごたえがあり、ミルクによく馴染む甘味を持っている。でもやっぱりアブラナ科だから、ちょっと焦げ目が入るのもうまい。白子の風味を邪魔することなく、食感に華やかさと瑞々しさを添え、やさしいアクセントになる。白子とカリフラワーが纏うホワイトソースは、あえて薄めにさっぱり目に仕上げているそうだ。なるほど確かに、おかげで牛乳のミルキーさではなく、確実に白子のミルキーさが主役になっている。あー、おいしい。永遠に食べていられる。シンプルながら計算された、とろける白い具材たちに、美しきメイラード反応の香ばしさ。あー、ほんとうにおいしい。

これに合わせたワインはたぶんこの写真のやつなんだと思う。写真が並んでいたから……。料理の話は細かく書くくせに、酒の味の記憶の解像度が低くて私としても遺憾である。酒を飲むと酔っぱらっちゃうし、名前が沢山あってなかなか覚えていられないので許してほしい。
「ナチュラルワイン」の定義は結構細かく決められているようだけど、簡単に言うとオーガニックな原料を使い、添加物や酸化防止剤をほぼ含まないものを言うらしい。温度管理が難しく、冷たすぎても暖かくてもすぐに味が変わってしまう。栓を開けたらなおさら、どんどん味が変わるというなんとも繊細なヤツ。
酒の味を表現する語彙をあまり持ち合わせていないけれど、いわゆるワインとは別物という印象で、例えるなら微発砲の日本酒のような感じがある。爽やかさと、軽やかな発酵臭、発酵したフルーティさを感じる味。オーナーのチョイスのせいかもしれないけれど、香りだったり、苦味だったり、ちょっと癖のあるものが多いように思う。そして、酒自体が持つ旨みがつよい。白は洋梨やグレープフルーツのようにさわやかで、赤を飲んでも渋みや重みはあまり感じないので、もちろん、優しくまろやかな旨味をたたえた白子のグラタンともピッタリなのだ。おいしい。うれしい。たのしい。

最後に、この日のメニューとお店の名前を紹介して終わりにする。どのメニューも、シンプルながら工夫された組み合わせで感動がある。

2022年12月末訪問時のメニュー

ルネット ナチュラルワイン食堂
https://maps.app.goo.gl/dgCadFJ8qJUcN9jTA

今日は美味しかったものの話を書いてみた。ごはんの話ならずっとしていられる気がする。しばらく、過去のごはんログを気ままに書いてみたいな。

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