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自動運転プログラムの罪と罰

 ききーーーーっ!

 どん!!

 ぴーぽーぴーぽー・・・・

『本日、午後×時××分、AI操縦の自動車が事故を起こしました。

 事故にあったのは道路を横切ろうとした10才の男の子とのこと。現在、病院に搬送されています。

 監視カメラの映像によると、事故の際にブレーキがかかった様子がなく、自動運転のエラーも疑われております」

 ―――翌日

「昨日のAI操縦による事故ですが、ブレーキの挙動がなく、センサー異常やAIエラーが考えられておりましたが、メーカー側はこれを否定しました。

 事故当時のシミュレーションを行ったところ、回避行動を取った際の進行方向に別の男性がおり、かつ、急操作と激突による運転手の怪我の確率と、男子を轢くことによる被害度係数を照らし合わせた結果、回避行動を取らないことを選択した、とのことです。

 この被害度係数については、自動運転の法整備時にAI判断の優先順位付けに必須とのことで認められており、過去の判例でも認められているものです。

 そのため、メーカー側はAIに対しての責任はない、との見解です」

 ―――翌日

「先日から続いていたAI運転事故ですが、AIの被害度係数判断の基準が海外基準だったことが判明しました。

 被害度係数の概念は全世界共通ですが、その優先順位付けには国ごとのバージョンがあります。

 今回適用された国では、年齢による優先度なし、となっておりました。しかしながら、我が国の基準では年齢ごとに比重を分けております。

 回避行動を取った際に轢かれる可能性があった別の男性の年齢は高齢で、今回事故にあった男の子との年齢差を考えると、本来轢くべきという判断が正しいとなります。

 メーカーは本来海外版として展開していた車種を国内向けに販売する際のミスとのことで、謝罪を表明しております。

 また本来轢かれるべきだった男性に対しての誹謗中傷がSNSに―――」


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