愛を叫ぶバレンタインデー
親譲りのチョコレート好きで子供の時からチョコレートばかり食べている。
そんなわけで日本式の「バレンタインデー」システムを恨みながら大人になった。
女だからという理由で、チョコレート大好きなわたしが「甘いもの苦手なんだよね…」なんつー男にチョコレートを献上せねばならないなんて!!
悪夢!!不幸!!地獄!!
さらには、この日、日本中のすべてのチョコレートが喜びとともに受け入れられるわけではないことも、チョコレート大好きさんのわたしにとってはつらい現実だ。
虚栄心のためにかき集められて打ち捨てられるものも、受け取ってもらえずに悲哀の象徴としてその生涯を終えるものもある。
なんという悪習!!ひとをしあわせにするために生まれてきたはずのチョコレートに!こんな仕打ちをするなんて!!虚無!!虚無!!
もう爆音でBABYMETALのギミチョコ!!奏でるしかない!!
あたたたたた ずっきゅん! わたたたたた どっきゅん!
そんなわけで。
かの邪智暴虐のバレンタインシステムを除かなければならぬと決意したメロスこと、わたしは、この世から悲しい運命をたどるチョコレートを撲滅したい!そんな祈りを込めて、5年前に生まれた息子にいつも言い聞かせている。
「バレンタインデーっていうのはね、チョコレートをいっぱい食べる日だよ!!」
われながら天才かと思う。自分で言ってて、めちゃくちゃテンション上がる。
純真無垢な息子は、母親であるわたしの言葉をすっかり信じて、3歳のバレンタインデーから毎年、この日はチョコレート菓子を作って家族で食べるという、わたしが考案した新システムで過ごしている。
今年はガトーショコラを作った。
お菓子作りとチョコレートが大好きな息子は、このシステムに疑問を抱くどころか、とても楽しそうに付き合ってくれる。
息子と一生懸命作ったガトーショコラを家族3人でむさぼり食べる。おいしいねえ、息子くんチョコレート大好きだよー、という息子の笑顔がたまらない。
これだよ、これ!これが、愛だよ!!バレンタインデーだよ!!
わたし、今日、最高にチョコレートを愛でてる!!
どんな限定品も高級品も敵わない、これがわたしにとっての「最高のチョコレート」で、わたしはいま最高にチョコレートを愛していると自信を持って言える!
チョコレートがおいしい!
わたしはこの愛の日に、そう叫び続けたい。
おいしいものを大好きなひとたちと食べられてしあわせ!
これ以上に望むことなんて何もない。夫と息子と、チョコレートさえそばにいてくれればそれでいい。
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