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1-6*告白するまで帰れま10

自分の最寄りの駅を通りすぎて、彼の最寄りの駅で彼と一緒に降りる。
彼は自転車を押しながら並んで歩く。
会話は途切れないように、意識して。場を暖めておかないと心臓が持ちそうになかった。
「じゃあ」
右折すると彼の家。
「...あの、ちょっと待ってもらってもいいですか」
彼は頷き、自転車を道の端に寄せる。そんなかしこまらないで、緊張が高まっちゃう。
「あの...」

好きな人に告白するのは初めてじゃない。
小学生のころの、所謂、初恋でバレンタインを口実に伝えた。
その時は手紙を書いただけで、渡すときに声がでなくて、トトロにでてくるカンタがさつきに傘を渡すときみたいに「ん!」とだけ唸って渡したんだった。

そんな私がすぐにすきです~!なんて言えるわけがない。
けど、待たせてるこの間が申し訳ない。

「あの、私、Iさんのこと、すきになっちゃったみたいなんです」
絞り出した声は途切れ途切れながら彼に辿り着く。
彼はうん、と頷き、それで?と言わんばかりの間をあけた。
すきと伝えられたらそれで良かったのに、その間がいたたまれなくて
「...付き合ってもらえませんか?」
「いいよ」
間をくれ。食い気味の返事にさっきまでの鼓動が落ち着いていく。
「もっと何かないの~?」
もはや、笑えてしまって。どうやってフラれるかいろいろ考えたのにさあ、と愚痴をこぼすまでに。
「俺ってこんなんだよ」
私の愚痴に優しく笑いながら答える彼が愛おしい。

じゃあ、またね。と別れたあと、急いでTに電話をかけた。