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映画「オードリー」は、銀幕のスターの心の襞を見せてくれた【ネタバレあり】

映画、「オードリー」を見てきました。ドキュメンタリーです。

川崎アートセンター
アルテリオ映像館

ご本人の貴重な映像ももちろん、友人やご家族の語るオードリーヘプバーンの人となりは、私たちが知っていた銀幕のスターという面より、当たり前に暮らしたい一人の女性であったことを感じます。

私がオードリーの映画を初めてみたのは中学の頃かな?母に連れられて地元の名画座で「ローマの休日」を見たのが最初。良かったでしょう、良かったでしょうと。連呼する母が印象的な思い出です。確かに忘れられない素敵な映画でした。が、その後も色々名画座やビデオで楽しんだけど、本当の価値はちっともわかっていませんでした。

オードリーは、ただ、可愛くて美しい、ではなく、表現者として特別な才能のある人だったんですね。自分が他人からどう見えるかよくわかっていて、表情の作り方、動きか方、はては衣装のひらめき方まで、よくわかった上での動き。バレエダンサーを目指してレッスン、レッスンと努力したところが、生かされているのでしょう。が、やはり、私には生まれながらのセンスの良さを感じてしまいます。特に、真っ赤なドレスを着て階段から降りてくるシーンの撮影のメイキング画像には、息を飲みました。なんと美しい。なんと素晴らしい。なんとその表現力の輝かしいことよ。

また、自分とは全く違う人間を演じ、美しく見せる術を知っていたたぐいまれな人です。有名な「ティファニーで朝食を」は、娼婦のホリー役です。知らなかったけどマリリンモンローの代役だったとか?娼婦とはかけはなれたオードリーが、幸せを夢見て、時にはやさぐれる寄る辺なき娼婦にリアルを与えたのです。お色気うっふん、なんて、薄っぺらい娼婦ではありません。のひのびとホリーに唯一無二の人生を与えたオードリーの表現力に、改めて驚きを感じました。
私の大好きな「バリの恋人」は、ダンスで苦労したようです。ダンス素人は私には、ブレッドアステアを相手に遜色ないダンスをしてるように見えましたが、アステアのダンスは超一流だから腕の違いに苦しんだようです。
「マイ・フェア・レディ」「麗しのサブリナ」の撮影上の苦労や工夫、ジバンシーとの出会いも、オードリーの人生を大きく変えましたね。一流デザイナーと共に新しいファッションを作って行ける、単なるお人形さんではなかった!知らなかった!

首から肩のライン、デコルテの優美さ。うなじから背中、後ろ姿の美しくこと。立ち姿はしなやかに繊細だけれど、弱々しくない。アイデンティティーのある、当時としては新しい行動力のある、画期的な時代のアイコンにふさわしい。更に、大きなアーモンド形の目には、夢と希望と、喜び、憧れ、ときめき、時には孤独や悲しみが表現されます。豊かなんですね。

家庭や戦争の影響で、辛く悲しい幼少期、青春期を過ごしたからか、愛に飢え、愛を求めた人であったことが胸に迫ります。それが、豊かな表現力になり、何回かの結婚や恋愛になったのでしょう。そして、子育ての為に絶好調の女優人生を棒に振りますが、全く気にかけていません。あまりにも普通の人だったようです。

いつも愛をもとめていて、その愛を求めた姿が後半のユネスコの為に飛び回る人生に繋がったと。売名行為と批判されることがあっても、世界中の子ども達のために飛び回り、帰って来たら庭の手入れをする。

最終的には、努力して幸せになった人なんでしょう。


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