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【自己紹介】 遠藤菜摘(えんどうなつみ)

 初めまして。ボローニャ大学大学院 図書館情報学・アーカイブズ学専攻修士課程1年生の遠藤菜摘です。修士号の取得を目指して、2019年9月からイタリア・ボローニャ大学大学院に留学しています。ここでは、今回Twitterを通じてイタリア国内のコロナウイルスに関する情報発信をしようと考えたきっかけ、そして私自身について紹介させて頂きたいと思います。

・名前:遠藤 菜摘(えんどう なつみ)
・出身地:東京都町田市
・年齢:23才

1. なぜ今回Twitterでの情報発信をしようと思ったのか?
今回Twitterを通じて、イタリア国内のコロナウイルスに関する情報発信をしようと考えたのは、大きく次の2つの理由からです。まずは、イタリアには多くの日本人留学生がいるにも関わらず、学生の側から今回の状況に関する情報発信がほとんど見られないこと、そして、イタリアに留学している者の義務として、自分の環境と能力を活かして正しい情報を日本の人々に伝えたいと思ったことにあります。


イタリアでコロナウイルスが流行し始めて以来、イタリア国内の状況について、日本を含む世界各国で様々な報道が行われてきました。ヨーロッパで最も早く感染者が出た国であること、また中国と深い繋がりを持つ国であることなどの理由から、流行初期より世界の関心は高かったですが、今ではウイルスによって経済的な損失を含む様々な被害が最も大きい国として、益々注目を集めています。

そんな中で、イタリアの現在の状況に対する日本での報道、また現在イタリアで生活している日本の方の発信する情報の中には、表現が過剰であったり、有益な情報というよりは結果として発信者の不安を伝えてしまっているケースが多く見られることに気がつきました。このように不確かで感情と結びついた情報は、それを目にした人に猛烈な印象を与えることから、あらぬ誤解や偏見を生む可能性があります。実際に、現在Youtubeなどの動画サイトでイタリアのコロナウイルスに関する情報を日本語で検索してみると、1週間以上前に伝えられた状況(情報)が異なる題名で発信され続けていたり、確証のない仮説を紹介している動画など、イタリア国内のコロナウイルスに関わる現状についての情報は、その量および質の点で十分とは言えません。

こうした状況に対して、少しでも正確で脚色のない情報を日本の皆さんにお伝えしたいという思いから、今回、Twitter上でイタリア政府および関係機関が発表した内容の和訳を投稿することで、イタリアの今の状況をお伝えしていくことを決心しました。

2. イタリアに来る前のこと
イタリアに留学する数ヶ月前までは、日本国内の2つの大学で勉強していました。2015年〜2017年までの二年間、多摩美術大学美術学部芸術学科で博物館学を学び、2017年に筑波大学情報学群知識情報・図書館学類に編入学した後、2019年に卒業するまで、アーカイブズ学について学びました。

3. なぜイタリアに来たのか?
私がイタリアの大学院への進学を決めたのには、(1) 元々海外の大学院で外国語を使って専門分野を深めたいと思っていたこと、その上で、(2) アーカイブズ学の長い伝統を持つイタリアでは当該分野における質の高い教育が受けられると考えたこと(近年日伊のアーカイブズの比較研究が盛んに行われていることも理由の一つ)、そして何よりも、(3) 以前イタリアの言語や人々に強い関心を持っていたことの3つの理由があります。つまり、私にとって、自分で身につけた外国語の能力(この場合はイタリア語)を活かしながら、日本の大学で学んできた専門分野を深める場所としてイタリアは最適だったのです。

4. イタリアのどこで何を学んでいるのか?
イタリアでは、エミリア=ロマーニャ州のラヴェンナ(Ravenna)県で大学時代と同じくアーカイブズ学(Archivistica)を学んでいます。アーカイブズ(Archives)とは、歴史的な価値を有する文書・写真・地図、立体物を含むさまざまな「記録資料」のことを指し、アーカイブズ学はそれらの資料の管理や歴史、構造および利用普及についてを学ぶ学問分野です。イタリアを含むヨーロッパは、実務的な文書管理に必要な知識として古代ローマ時代からその芽生えが見られ、今日に至るまで、アメリカやオーストラリアと並び、アーカイブズ学の中心地となっています。私の所属するボローニャ大学では、大学院修士課程として ”Scienze del libro e del documento”(図書館情報学・アーカイブズ学)科が設けられており、イタリア人学生(大半を占めています)をはじめ、中国人やメキシコ人留学生を含むおよそ40人の学生が学んでいます。
そして、大学のキャンパスがあるラヴェンナは、ビザンチン美術(モザイクアート)、またかつての東ゴート王国の首都であったことで有名な街です。2019年には、毎年EUが選出する『欧州文化都市』の候補としても選出されました。実際、今回のコロナウイルス流行以前には、世界中から毎日沢山の観光客が訪れており、街の中では様々な言語が行き交っていました。(ちなみに、イタリア国内ではあまり知られてはいませんが、イタリアの中ではローマに次ぐ二番目に大きいコムーネでもあります。)


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5. イタリア語はどのように勉強したのか?
イタリア語については、大学二年生の時から主に一般書籍と実際のイタリア人との電話やチャットを通じて、約4年間独学で勉強しました。昨年12月には、シエナ外国人大学が行なっている言語能力試験において、ヨーロッパ共通言語参照枠 (CEFR) のC1レベルを取得しました。(下の表は、公益財団法人日本英語検定協会様のホームページより借用させて頂きました)

EU共通参照枠

 https://eigonotomo.com/hikaku/cefr

私が最初にイタリアとその言語に関心を持ったきっかけは、大学二年生の夏に東京・上野の国立西洋美術館で行われていた『カラヴァッジョ展』を観に行ったことでした。大学では美術史の授業も受けていたので、西洋美術史上イタリアが大きな貢献をしたことを理解はしていたものの、実際の作品を目にしたとき、「こんな作品を描いた画家を育てたイタリアの文化を知りたい!」と強く感じ、その日からイタリア語の勉強を始めました。

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https://www.raicultura.it/webdoc/caravaggio/index.html#gallery

終わりになりますが、イタリアの状況を知りたい日本国内の日本の皆さんにとって、またイタリアに在住しつつも十分な情報を入手することが難しい日本人の方に積極的に役立てて頂けるよう、努力していきたいと思います。


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