"春去にて" 歌詞の現代語訳と解説

歌詞解説の第二弾です。

今回の曲はこちら。
元々の伸びはそんなでもなかったのですが、
平成最後のボカランED曲という光栄すぎる場所に使っていただいたこともあって、以後多くの反響を頂きました。
筆舌に尽くしがたいくらい、非常にありがたいことです。

まえがき


さて歌詞の内容についてですが、
「あたはず」「しかめやも」「知らぬれど」とか、
言い回しからして国語で習う「古文」の内容にかなり忠実に作っています。
ボカロで習う古語とかありましたけど、
私としては古語やるならここら辺までとことんやれよって感じがs(ry

歌詞解説シリーズの投稿動機ですが、
私自身いろいろなギミックを詰めるのが好きなもので、
これだけいろいろ詰め込んだのに誰にも知られないのは勿体ないなあ」という気持ちだけでこの記事を書いています。
ワードチョイスとか、掛詞とか、裏の意味とか、
それなりにこだわってるので、話しておかずにはいられない。
歌詞原文だけじゃマジで意味不明だろうし、
もの寂しさは伝わるんだろうけど、最低でも現代語訳くらいは見せたい。

まあ前記事で触れたとおり、
作者の含意など受け取り手には関係ないわけなんですけど、
作者の自己満をちょっとだけ許してほしいです。

どこかの誰かがこの記事を読んだことで、
よりこの曲を好きになれるようなことがあれば、
もしくは何か自分の創作に活かせるようなものがあれば、
非常に光栄に思います。

歌詞全文と現代語訳

彼の日々を想ひ返す
蛍雪と色恋の学び宿
駆け抜ける、前へ進む、迷ふことなく
己が夢探し
<勉強と色恋に溢れていた日々を、
学び宿に通っていた日々を想い返す。
まっすぐに夢に向かって迷うことなく駆けていたものだ。>

枯れ果つる事を忘る泉が如く
恋し君想ふ
夜露に濡らす枕も隠せし文も
思へば懐かし
<枯れ果てるという概念を忘れてしまった泉のように、
恋しかった君を溢れるほど想ったりもしたものだ。
枕を夜にひっそりと濡らしたり手紙を隠したりしたこともあって、
今となって思い出してみると懐かしいものだ。>

あひ秘めたる言の葉を
胸の奥にもて隠す
隣、うつくし君が
清しゑみを零す
<お互いに愛の言葉を胸の奥にそっと隠している。
隣にいる顔だちの整った君が綺麗な笑みをこぼす。>

泡沫の夢に揺れて
宝のやうに輝く
淡き記憶に消ゆる
童の想ひ
<水面に揺れ動く儚い泡のような夢の中で揺れ動いて、
宝石のように光り輝いている、
もう朧気になってしまった記憶に消えていく
子供の頃の熱い感情がそこにはあったものだ。>

桜舞ひ散りて
彼の日々は空の彼方
暦ぞ流れし今は
還ること能はず
<桜が散って、(輝いていた)あの日々は空の向こうへと消えてしまった。
年月が流れてしまった今となってはもう戻ることなど出来るはずもない。>

桜舞ひ散りて
春は宵闇の中
風ぞ吹き去りて今は
寂寞こそ残る
<桜が散って、春は宵闇に隠れてしまった。
風が吹きすさんで桜を散らしてしまった今となっては、
ただ寂寥感が残っているだけだ。>

花より何某と言へど
正に甘し糧にしかめやも
眺めし酒の肴も人の噺も
などやいと寂し
<花より何とかとはよく言ったものだが、
確かにおいしいご飯に及ぶものはあるだろうか、いや、ない。
酒の肴として眺める花も、談笑している人々の噺も、
なぜか虚しく空回りしているように思えてしまうものだ。>

空霞むるがあはれも夜の帳も
昔は知らぬれど
さりとて人の情けも小さき頃の
勝りたるぞかし
<空が霞がかった時の情緒も夜の帳のそれも昔は知らなかったが、
そうは言っても小さい頃の方がよっぽど
人間らしい感情を持っていたのではないかなあ。>

花の盛りを終へて
地へと伏したる花弁
枯れし心に深く
蒼き影を落とす
<花の盛りを終えて地面に落ちる花弁が、
すっかり枯れきってしまった私の心に深くくすんだ青い影を落とす。>

鳥の番睨めては
空に独り嘯く
「幼心に契る愛の幻」
<おしどりのようなつがいを睨みつけては、
空に向かって豪語するものだ。
「所詮あれは愛というものを分かっていない童心で契っている
愛の幻なのだ」、と。>

春が去にて
青き日は霞の中
刻が過ぎ去りし今は
恋さへも解らず
<春が過ぎ去って、青春の日々は霞の中だ。
時間が過ぎ去って年を取り、
もう恋というものも分からなくなってしまった。>

春が去にて
花弁は土の中
夢ぞ溢れし頃は
嘆けども戻らず
<春が過ぎ去って、花弁は土に還ってしまった。
夢に溢れていたあの頃は、いくら嘆いても戻ってはこないのだ。>

桜舞ひ散りて
彼の日々は空の彼方
暦ぞ流れし今は
還ること能はず
春が去にて
青き日は霞の中
刻が過ぎ去りし
今は恋さえも解らず<※繰り返し>

此処に詩を詠み綴る
枯れし陵(みささぎ)が如く
青き春は眠りし
ただ永久(とこしえ)に
<この詩を詠み綴ることによって、
私の枯れた青春の日々の墓標としよう。
青春の日々は終わってしまったのだ。
そう、永遠に。>

春去にて / Lyric by 那於志 (a.k.a. NAOSHI*)


※注意(というか警告に近いもの)※


これ以降は最低ロット(100円)の有料記事となっています。
理由は歌詞の意味を知りたくないリスナーのミスマッチを防ぐためです。
その為にひと手間設けてます。

貴方がこの曲について自分の解釈を大切にしたいのであれば、
この先を覗くことはおススメしません

完膚なきまでに作者目線で分解してるので、
貴方の感じた世界が壊れる可能性があります。
投げ銭をしたいのであればそれは非常にありがたいのですが、
別の手段を設けていますので、そちらで頂けると嬉しいです。

またこの記事は返金可に設定しています。
下記に合致する方なら気軽に見に来てOK。読み終わったら即返金していただいて構いません。(儲ける為に有料にしているわけではないので)

・歌詞に込められた作者の含意がどうしても気になる方
・他人の歌詞解説を読むことで、何か盗んでやろうという創作意欲溢れる方

この先を読んで損した気分になる人が後を絶たないようであれば、
その時点で返金不可に切り替えさせていただく場合があります
予めご了承ください。

ここから先は

3,555字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?